籠の鳥は大空を飛ぶ
鳥籠の中で産まれ大切に飼われた鳥は、望むだけの餌も食べられて幸せものだと思っていました。
ですが、ある日窓の外に同じ鳥を見つけてしまいます。
その鳥は大空に輝く朝日の向こうに飛んで行きました。
その姿を見た籠の鳥は大空に憧れを抱きます。
外に出たいと足掻きますが叶うことはありません。
今まで幸せだったと感じていた環境が不自由で地獄に思えてしまいました。
そうして落ち込んだ鳥は、だんだん餌も食べられなくなり次第に弱っていきました。
そんな鳥を哀れに思った飼い主は自然に帰す事にしたのか、鳥籠を開けたまま外に出してくれました。
そうして初めて外に出た鳥は青空を自由に飛び回りました。
晴の日、風の日、雨の日。
新しい体験はどれもキラキラしていてとてもとても幸せでした。
しかし、餌の取り方があまり上手ではない鳥は次第に弱っていきました。
最後を悟った鳥は美しい夕焼け空をゆっくり羽ばたきます。
最後の場所はもう決めていました。
そうして鳥は飼われていた家の屋根で美しい星空を観ながら息絶えました。
知ってしまったら戻れないのですね。
生きることは知ることで、憧れは止められないと思います。
我慢して苦しみ続けるのか、踏み出して苦しむのか。望んだ苦しみは苦しみなんでしょうか。
鳥は幸せだだったと思います。