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リバーの仮説を、みんな真剣に聞いている。


「過去よりも今が発展しています。スイーツもその他も未来にできるモノだった。

魔力は体を巡っています。巡っている魔力が寝ている時に作用して、未来の知識を視せていたのでしょう。

ただ、これだけだと光の魔法とあまり変わりません」


「変わらないのではなく、あまり変わらないというのは?」


「光の魔法の予知夢は、大雨が降るとか日照りがあるとかの予知夢を数回視るのみです。ルチル様みたいに国を潤すものではなく、災害のみです。

そして、今回ルチル様は魔物の襲撃を視られた。


予知夢だけは同じ、内容と視る回数が異なるということです。


光の魔法も金色の魔法も予知夢する原理は、寝ている間に勝手に魔力が作用するということでしょう。

ルチル様の場合、金色の魔法が起きている時に暴発してしまい、脳が停止をしてしまった」


黒歴史……脳に魔力を集めるなんて、もうあんなバカなことはしない……


「2年間体を巡っては作用して、勝手に使っていた魔力が偶然瞳に溜まり、起きている時に未来の知識を視られるようになったのでないかと」


「なるほど。未来の知識か……ルチルの状況を考えると、金色の魔法はそれで間違いないだろう」


祖父の言葉に、みんな頷く。


「でもリバー、お前は未来の知識よりも魔物の現れ方を気にしていたな。どういうことだ?」


「金色の魔法の魔力が偶然瞳に溜まってしまったことで、魔力が見えるようになったのではないかと思ったんです」


リバー以外の全員の視線が、ルチルに向く。

リバーは、相変わらず宙を見ている。


「見えたことありません。お祖父様が魔物を倒した時、炎以外見えませんでした」


「では、ルチル様。私の拳を見てもらっていいですか?」


リバーが、ルチルを見ながら右手で拳を作った。


「ん? あれ? 歪んでる?」


目を擦ってみる。


「右目だけで見たらどうですか?」


「……歪んでない」


「左目だけでは?」


「……拳の原型がないくらい歪んでる」


リバーがパッと手を開いて、また宙を見はじめた。


「私は今、右手に全ての魔力を集めました。ルチル様は魔力が見えるのです」


「待て……リバーが言いたいことって……」


「そうです。何者かが、学園に魔物を放ったのです。しかも、アズラ王太子殿下目掛けて」


リバー以外が飲み込んだ息が重なった。


ちょっと待って!

確かに、小説はエロ120%なのに血生臭い話だったよ。

でも、誰かがアズラ様を狙っているとか、魔物を放つとか、そんな話は書いてなかった!


「そもそも魔物は放てるのか?」


「放てるんでしょうね」


「待って。リバーは前に、魔物は自然発生するって言ってたでしょ。たまたま校庭に自然発生したとは考えられないの? 自然発生する時に魔力が生まれるかもしれないでしょ」


「タンザ様、3メートルもある魔物だったんですよね?」


「ああ、そうだ」


「では、自然発生ではありません。魔物は謎が多いですが、生まれた時は我々と同じ赤ちゃんです。そこから成長して大きくなるのです」


魔物って、そうなの!?

魔物に関して知らないことが多すぎるー!

魔物の倒し方の授業だけじゃなくて、生態の授業もしてー!


「アズラが狙われているということだな」


「一概には言えませんが、今回はそうだと思います。次は両陛下かもしれませんし、国の何処かかもしれません。ルチル様が欲しくて、アズラ王太子殿下が邪魔なのかもしれませんし。可能性はたくさんあります」


あー、でも、でもね……あたしとアズラ様中心に魔物に襲われるんだよ……

アズラ様が狙われていると言っても過言ではない。


「ねぇ、リバー。ここ重要だから聞きたいんだけど」


「なんでしょう」


「魔物を放つってことは、魔物の場所移動なの?

それとも、何でも入るバッグみたいな亜空間に魔物を閉じ込めて放つの?」


「それは分かりません。でも、空間が歪んで見えたのなら、相当な魔力だったのでしょう。どちらも可能でしょうし、違う方法があるのかもしれません」


そうよねぇ。

というか、アズラ様を殺そうとした人物なんて、本当にいるのかな?

本とズレているところがあるから、絶対無いとは言い切れないしなぁ。


「リバー、僕も聞きたいことがあるんだけど」


「なんでしょう」


「魔物はどれくらいの知識があるの?」


「どうでしょうねぇ。邪竜は話せたと残っていますから、知識がある魔物もいるんじゃないでしょうか」


「魔物が……魔物自身が、僕を殺そうとしたとは考えられないかな?」


突拍子もない言葉に、誰もがアズラ王太子殿下を見た。

リバーでさえもだ。


「僕から見たら、魔物はルチルを襲ったようには見えなかったんだ。ルチルを捕まえようとしているように見えたんだ。

それに、魔物はルチルの声に反応した。ルチルを連れ去ってこいと、命令されていたのかもしれないけど……魔物自身が、ルチルを欲してる可能性もあるんじゃないかと……」


「ルチル様はどう思いました? 殺されるって思わなかったですか?」


「初めて見たからパニックになって……魔物と目が合ったけど、操ることはできなかったわ」


「操ろうとしたんですか? パニックなのに?」


「あ、そうよね。よく考えたら目が合っただけだわ。何かしろみたいな命令は言ってないし、頭に浮かべてないわ」


えへへ、あたしの早とちり。

となると、金色の魔法は前世の知識ではないってこと?


「今度、その機会があれば命令してみてください。瞳に金色の魔法が宿っていますから、もしかしたらがあるかもしれません」


「でも、みんなにだって瞳に魔法宿ってるじゃない。目の色。私だけ瞳に特別影響があるわけじゃないでしょ」


「本当です! ……いえ、でもルチル様は、茜色の方では魔力見えなかったじゃないですか。金色はやっぱり特別なんですよ」


「リバー、ルチル。その話はそろそろ止めておこう。今は、魔物がルチルを狙っているのかという話だ」


「可能性の話ではあるのかもしれません。金色が知識という話も私はそう考えるというだけで、全て可能性の話ですから」


「それもそうか。未来の知識が視え、未来そのものが視え、魔力が見えるんだからな。他にも何かあってもおかしくない、か……」


「ええ、金色はハイスペックですねぇ」


リバーの瞳は、研究対象が側にいて嬉しいというものだ。

1人だけ、声がとても弾んでいる。






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