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魔力操作の練習をして半年。

やっと4人全員が、コップの水に丸い波紋と波を作ることができた。

手を取り合って喜び、次の日からリバーに来てもらった。


探知魔法は、魔力を少しずつ波紋を広げるように地面に流していく。

ルチルは探知魔法ができた喜びから、リバーに抱きついて喜んだ。


長かった! ようやく1歩踏み出せた!


騎士たちも探知魔法が成功し、これからは警戒も強められると、リバーにお礼を伝えていた。


ルチルはリバー監視の元、火の魔法の練習を始めた。


はじめは、手のひらに火を出すことから。

次に指先、大きな火や小さな火。


どれも手の近くでは簡単に出すことができ、練習して火を投げることもできた。

でも、目に見える範囲のどこかに火を出すことができない。


「これ本当に出せるの?」


「魔法はイメージですからね。手の近くで出すのと変わりませんよ」


これも夕食時に、同じ火魔法の祖父と父に相談したら、「火を投げることすらしたことが無いぞ」と言われた。

遠距離攻撃は、火炎放射器のように火を伸ばして攻撃しているそうだ。

2人は試してみる価値があると、次の日試して、できたと教えてくれた。

言わないし拗ねないし自暴自棄になるつもりはないけど、本当に天才でズルいと思う。


ルチルは、離れている場所に火を出すのに1ヶ月かかった。

とても頑張っているので、自分で自分を褒めるようにしている。


「そうですねぇ、次は……」


「ねぇ、リバー。試してみたいことがあるんだけど」


「何ですか?」


「火って灯りの代わりにもなるでしょ。でも、普通の火は燃えちゃうから危ないわよね。丸く燃えない球を浮かせることできたら、灯りの代わりに使えるんじゃないかと思ったの」


「燃えない火ですか。面白い考えですね。ぜひやってみましょう」


イメージは電球!

触るだけで点く丸いルームライト!


火というよりも丸い淡い赤色の玉が、手のひらに浮かぶように現れた。


「一発でできた!」


「まずは、本当に燃えないかですね」


リバーは地面の草をちぎって、淡い赤色の玉の上に落とした。

草は燃えず、玉を滑り落ちてルチルの手の上に乗った。

小さく頷いたリバーが、今度は指で玉をつつく。


「熱くない……すごいです! すごいですよ、ルチル様!」


「やったー! 本当にできた! 嬉しい!」


「後は、手のひら以外にも浮かべられるかですね」


手のひら以外にも浮かべられるようになるまで1週間かかったが、今までの進捗を考えると早い。


リバーはこの魔法陣を編み出せれば、今の火の魔法陣より安全で、火よりも明るい夜が過ごせるようになると喜んでいた。


祖父と父に自慢して見せると、分かっていた通り2人はその場で作ってしまい、「夜でも書類仕事が捗りそうだ」と喜んでいた。

「夜は休みましょう」と言うと、苦笑いを返された。


「ルチル様。今日からは、他の魔法が使えるかどうか試していきましょう」


火の魔法の復習を何度も行い、とうとう火以外の魔法の練習が始まった。


まずは土の魔法、試行錯誤しながらじっくりと1ヶ月かけるが使えなかった。


次に水の魔法、試行錯誤しながらじっくりと1ヶ月かけるが使えなかった。


次に風の魔法、試行錯誤しながらじっくりと1ヶ月かけるが使えなかった。


次に光の魔法、試行錯誤しながらじっくりと1ヶ月かけるが使えなかった。


次に雷の魔法、試行錯誤しながらじっくりと1ヶ月かけるが使えなかった。


次に星の魔法、試行錯誤しながらじっくりと1ヶ月かけるが使えなかった。

前世の映画で隕石の落下イメージはすぐにできたが、小さな石さえ落下させることはできなかった。


次に炎の魔法、次に氷の魔法、次に竜巻、次に嵐。

色々イメージし、試行錯誤しながらじっくりと半年かけたが、使える魔法はなかった。


「秋になったら金が出るという山に行ってみましょうか?」


「リバー、それについてなんだけど、誰にでもできそうじゃない?」


「どうしてですか?」


「だって、リバーの探知魔法を応用して、地面じゃなくて地中にある物質に気づけばいいんでしょ。その物質に魔力を覆って引っ張れば、誰にでもできそうだなぁと」


聞き終わるや否や、リバーは万歳をして飛び跳ねた。


「やはりルチル様は天才ですね。ええ、ええ、できますでしょう! 試してみる価値有りです!」


「でもね、1つ心配があるの。物質を引っ張れるとしたら、地中にいくつもの穴ができちゃうでしょ。地盤崩壊や崖崩れの原因になったら怖いなって」


「まずは、炭鉱の形が分かるかどうか試してみたらどうでしょうか。炭鉱は穴を掘って作ったものですから、炭鉱の形が分かれば地中の穴も分かるということ。物質が分かったら近くの物だけ引っ張ってみて、穴が空くのか調べてみましょう。もし穴が空いたら使わないようにすればいいのです」


「そうね。今夜、お祖父様とお父様に秋のハイキングの相談をしてみるわ」


「お願いします」


夕食の時間になり、祖父と父に相談しようと思っていたのに、2人は夕食の席に現れなかった。


母に話を聞くと、北の方の国が魔物によって半壊したそうだ。

北の国は石鹸を作っていて、アヴェートワ商会と取り引きをしている。

今後国が復興するまで、石鹸が手に入らないことになるらしい。

祖父は父に代わって商会の方に、父は王宮で国からの支援をどうするかを話し合いに行っていると教えてもらった。


夕食が終わり、部屋で石鹸を手にルチルは考えていた。

石鹸の作り方を。


作ったことはないけど、作り方は見たことあるんだよねぇ。

思い出せ! 思い出すんだ!

思い出せたら、アロマ石鹸もシャンプーとリンスも夢じゃない!


石鹸を握りしめ、頭を左右に動かしたり、ソファに寝転んだり、石鹸の匂いを嗅いだりした。


あー! 思い出せない!

乾燥させるってことだけは分かっているけど、材料なにー!!


思い出せないまま湯浴みをして、ベッドに潜ったのだった。






魔法訓練は、明日の投稿分まで続きます。

今後出てくる魔法になりますので、まだアズラは出てきませんが、サラッとでも読んでもらえたら、今後の展開にも使う魔法にも疑問を持たず、読んでいただけると思います(魔法は書く予定です)。


いいねやブックマーク登録、誤字報告、感想、ありがとうございます。

毎日投稿できるように、数ページ先を執筆しています。書く力をもらっています。


そろそろ第1章の佳境に入ります。楽しみにしていていただければと思います。


読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます!

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