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話が一区切りついたからだろう。

前の話題に会話が戻った。


「お姉様が何も気にされずにシャティラール帝国を訪問されるなら、私もご一緒していいですか? トゥルール王国は学園を見に行かせてもらって満足したので、シャティラール帝国でも聖地巡礼をしてみたいんです」


「かまいませんけど、旅行先がシャティラール帝国でよろしいんですか?」


「ミソカ様の怪我のことですっかり忘れていたんですが、私にも招待状が届いていたんです。お兄様にも届いているみたいですよ。今日の朝お兄様から『シャティラールからの招待状にシンシャも誘ったと書いていた。あんな所行かなくていい。私も行くつもりはない』って手紙がありましたから。だから、公務になってしまいますが、お姉様が一緒なら行きたいと思ったんです」


「クンツァ様も誘われているんですか?」


次世代の王たちを集めて親睦を深めたいってこと?

じゃあ、他の国の王族も来るのかな?


「お姉様の手紙には書かれていませんでしたか? そういえば、私の手紙にはお兄様のことは書かれていませんでした。私の手紙には『王太子夫妻もお誘いしているので一緒に来られたらいかがでしょう?』って書かれていました」


「シンシャ様のところにもクンツァ様のことが書かれていてもいいですのにね。変な手紙ですね。私たちへの招待状を受け取られたのはアズラ様なんですよ。でも、お話をおうかがいした時、そのようなことを仰っていなかったので、私たちへの手紙には書かれていないと思います」


シンシャ王女はわずかに顔を顰めてから、あっけらかんと言ってきた。


「あそこの人たち感じ悪いからわざとですかね」


「感じ悪いんですか?」


あれ? でも、王太子妃教育の時に「シャティラール帝国は、皇妃だけではなく皇子たちも孤児中心に手厚い慈善活動をされていて平民から人気が高いそうです」って言っていたような……この情報古すぎるのかな?


「私は第1皇子から、お兄様は皇女から縁談の申込みがあって、私もお兄様も断ったんです。そこから何かと目の敵にされているんです。だから、私がお姉様を頼って道中肩身の狭い思いをしたらいいとか、お兄様が断ると予想して私が行くと脅すことでお兄様を来させようとしているとか。そんなところだと思うんです」


盛大に目を瞬かせてしまった。

一気に情報が入ってきたからというのはもちろんなのだが、1点ものすっごく気になることがあったのだ。


「お二方同時に申し込まれたんですか?」


「はい。できれば両方がいいけど、どっちかだけでもって感じで。あの時は考える余裕なかったですけど、今思えば最低ですよね」


うーん、そこは気持ちがあるとかないとかは関係なくて、どうしても国家間の絆を強めたかったってだけじゃないのかなぁ。

だからこそ、そこまで強めたいのは何故かって不思議になるよね。

だって、皇子と皇女のどちらもがクンツァ様とシンシャ様に惚れたから仕方なくってのなら分からなくもないけど、王族の結婚って国の力を強めるもののはずだから、どっちかは有力貴族とってなると思うのよね。

あたしとアズラ様、シンシャ様とミソカは、立ち位置がよかったから上手く事が運んだだけでね。


「何かと敵対視と言われましたが、何度もお会いされているんですか?」


「いいえ。手紙で自慢話をよく送ってこられたんです。そして、必ず『ポナタジネット国では知ることも手に入れることも難しいでしょうから教えてあげます』的な文面があったんです。面倒くさくて『さすがです』『知りませんでした』『すごいですね』『センスありますね』『そうなんですか?』って返しておきました」


どこの世界でも『さしすせそ』は有効なんだな。

それで気分がよくなって、何回も似たような手紙を送ってきたってことでしょ。


そうだ。ここで、ルチル1口メモを。

『さしすせそ』は有名だけど、NG言葉の『たちつてと』は知っているかな?

『たいしたことない』『違う』『つまんない』『適当でいい』『とんでもない』があるんだよ。

これを読んだ時、『とんでもない』って褒め言葉でしか使わなくない? って思っちゃったよね。

みんなはいつ使うかな? そもそも使わないか。

喧嘩にならないように『たちつてと』はツッコミ以外で使わないようにしようね。


「それって仲良くなりたかったんじゃないですか? シンシャ様もクンツァ様も綺麗ですから」


「だとしても、仲良くなりたいのなら嫌味を書いてくるなって思うんですよ」


「それはそうですね」


「ですよね。会ったら自慢話ばかりされるだろうし、ミソカ様と会えない日が続くのは寂しいから行く必要はないと思っていたんです。でも、自由時間はお姉様と遊べますもんね。楽しみになってきました」


ミソカも一緒に行けばと口から出かけたけど、あの子は学園があるし、あたしがいるとどっちみちシンシャ様に寂しい思いをさせてしまうかもしれないものね。

だから、言わないでおこう。

アズラ様にとっても、その方がいいだろうしね。


シンシャ王女のミソカのどこが好きなのか演説を聞きながら、「もし行くことになったら色んな事件が起きたりして」と心の中でフラグを立てかけて首を横に振ったのだった。




後書きって難しいですよね。

特に今回は、数回書いては消してを繰り返しました(笑)

触れたいことはあるが伝えると……ということです。

だから、今回も感謝の気持ちだけ。


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・あたしがいるとどっちみちシンシャ様に寂しい思いをさせてしまうかもしれないものね。 ・だから、言わないでおこう。 ・アズラ様にとっても、その方がいいだろうしね。 軽く流してますけど、弟については本気…
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