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32

運動場に着いて、地面に下ろされた。

明日からの文化祭の屋台が並んでいる


裏切り者と戦っていたリバーの剣が強く押し返されて、ルチルたちの目の前にリバーは着地した。


「強いですねぇ」


「リバーに負けないですよ」


「それもそうですね。本職に勝てるわけないですね」


呑気に話してるリバーの隣に、剣を取り出したマルニーチ先生が並んだ。


「ルチル様を渡していただけませんか?」


「生徒を守るのは、教師の役目でね」


「では、早々に殺します。時間がかかるとアヴェートワ公爵家の方々が来てしまうので」


動くスピードが速くなり、剣が重たくなったのだろう。

さっきまで聞こえていた地面を蹴る音の間隔が短くなり、剣と剣がぶつかる音は低くなった。


そっか、お祖父様にもお父様にも勝てたことがないんだったね。


リバーが裏切り者じゃないズレは、リバーはあたしが予知夢をすると知っていたということ。


何の予知夢をしたのか知らなくても、お祖父様やお父様があたしと話し合った後に2人揃って王宮に行くとなれば、大体予想ができるはず。

それなのに、リバーは襲撃の時期さえ変えなかった。


予知夢でもう1つ、そのことをクンツァ様が知らなかったっていうこと。

だから、ノルアイユ地区が襲われるとあたしに教えてくれた。

もし知っていたら、視たかどうかの言い回しで伝えてくれたと思うのよ。


となると、あたしが予知夢できるってことを知らない人物になる。


それに、リバーがお祖父様に剣を渡すはずがないのよ。

あの剣は、すでにあたしが受け取ってラッピング済みだった。

作ったら興味がなくなるリバーが、わざわざ渡す?

いいや、渡さない。

ってことは、アズラ様の手に剣がいくように誘導した人物がいるってこと。


後は、やっぱりおかしいのよ。

ミソカを巻き込んだ誘拐の時、確かにあたしが護衛騎士を待たせた。

でも、彼らの本当の主人はお父様だ。

オニキス様があたしに言ったように、あたしの言うことを聞く必要がないし、騎士がなんたるかはもう理解している。


あたしの予定を把握できて、ナギュー公爵家の馬車を見送ることができる。

指輪の能力を知らなくて、予知夢や魔力や魔法陣が見えることを知らない。

そして、あたしがリバーに剣を頼んでいたことを知っている人物。


一際大きな鈍い音が鳴って、リバーとマルニーチ先生の剣が弾け飛んだ。

2人は、裏切り者の剣を避けるために大きく後退し、ルチルを守るようにルチルの前に立った。

肩で息をしている2人は、汗を流している。


「はぁぁぁぁ……疲れました……」


「来たな」


リバーたちの前に音もなくオニキス伯爵令息が現れた。

同時に、裏切り者の向こう側にアズラ王太子殿下とジャス公爵令息、ミソカの走ってくる姿が見える。


「ルチル!」


「アズラ様!」


裏切り者が面倒臭そうに息を吐き出した。


「はぁ。時間がかかりすぎですね。私は、ただルチル様を助けたいだけですのに」


「私を助ける?」


「そうです。あなたは一国の王妃でおさまる方ではありません。この世界の主になってもおかしくないんです」


無理でしょ。

お婆さんに会ったことがないから、そんなことが言えるのよ。

本物を知ったら、あたしを崇めようなんて思わないわよ。


「それを私が望むと思うの?」


「望む望まないではなく、その資格があるんです」


いやいや、どの立ち位置で言ってるの、それ。


「それが、あなたが私に固執する理由? 私を好きだからだと聞いていたけど違うのね」


「聞いていた? ああ、クンツァ殿か、シンシャ様からですね」


納得したように頷いている。

アズラ王太子殿下たちは、裏切り者との距離をジリジリと幾らか縮めようとしている。


「愛していますよ。ルチル様のためなら死んでもいいと思うほど愛しています。だから、本来の場所で健やかに幸せになってほしいんです。あんな冴えない子供の側じゃなくてね」


裏切り者が振り返り、アズラ王太子殿下に手のひらを向けたと思ったら、アズラ王太子殿下の上の空間が歪んだ。


「アズラ様! 魔物が降ってきます!」


アズラ王太子殿下たちが飛び退いた場所に、間髪入れずに5メートル強の魔物が数体落ちてきた。

砂埃が舞い、アズラ王太子殿下たち3人が見えなくなる。






明日、名前出てきます。


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― 新着の感想 ―
[一言] あー、予想外れてしまった。。 私、裏切り者はリバーかと思ってたんですよね。 そしてこの引き!この流れだと護衛だったあの人みたいだけどどうなんだろっ?! 明日まで引っ張るなんて、気になりすぎる…
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