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「あな一一


「ガーネ様。今日はお引き取りください」


シトリン公爵令嬢の大声を、ひどく冷静なルチルの声が遮った。


「ルチル様……私、何かしましたか?」


「ジャス様のことに関しては、3人の問題ですので私がとやかく言うことではありません。

ですが、シトリン様やエンジェ様ご自身のこととなると別です。シトリン様は嫌われていません。私は大好きですから。エンジェ様は、シトリン様になりたくてお化粧をしていたわけではありません。可愛くなりたいと、お化粧を研究されていました。

爪、ネイルに関してもそうです。元々ネイルは、私がエンジェ様にと開発したものです。ネイルを真似していると言うなら、真似をしているのは私とシトリン様、それに王妃殿下やお母様もですね。みんな、エンジェ様を真似していることになります。やりたいお洒落が被ることは媚びていることになりますか?」


青い顔をして手を握り締めているガーネ侯爵令嬢に、優しく微笑みかける。


「私は、もしもガーネ様が同じようなことを言われていたら、その方を怒りますよ。ガーネ様もシトリン様もエンジェ様も大切な友人ですから。

しかし、今日は、お引き取りください。そして、その話をした時のエンジェ様の顔を、よく思い出してみてください」


トボトボと去っていくガーネ侯爵令嬢から、視線を周りに走らせた。

ブロンと目が合い、頷くと、ブロンはガーネ侯爵令嬢の後を追ってくれた。


「ルチル様、どうするの?」


「今日エンジェ様が来られなければ、明日寮で話してみます」


「私も参加するわ」


「分かりました」


明日は、夜まで領地のDIYを手伝おうと思っていたけど、夕方までにしなきゃな。

エンジェ様を寮で待ち構えなくては。


「俺は、どうすればいいだろうか?」


「ジャスはちゃんとガーネ嬢を断っているし、エンジェ嬢には気持ちを伝えている。フラフラもしてない。このままで大丈夫」


「本当か?」


「モテる俺が言うんだから間違いない」


全員から白い目で見られても、オニキス伯爵令息は自信満々に笑っている。

そんなオニキス伯爵令息の雰囲気に、ジャス公爵令息は少し心が落ち着いたようだった。


挨拶回りも落ち着き、ダンスも1曲だけ踊り、アズラ王太子殿下とオニキス伯爵令息とキルシュブリューテ領の話で盛り上がっていた。

「豊穣祭には僕も行きたい」と胸を弾まされ、ダンスの合間に休憩をしに丁度戻ってきたシトリン公爵令嬢が「私も行くわ」と言い出した。


「どこに?」


「アズラ様が行くところよ」


「だから、それはどこ?」


「ほんっとオニキスって鬱陶しいわ」


2人の言い合いにホッとする日がくるとは。

学生になって、本当に慌ただしい日々だよねぇ。


「ルチル様、絶対に私も行くから」


「それは構いませんが、誕生日パーティーと被るかもしれませんよ」


「被らせないでよ」


はいはい、分かりましたよ。

1泊旅行しにきてください。


どこに行く予定なのかを聞かれ、キルシュブリューテ領の豊穣祭だと教えると、瞳を輝かせていた。

ナギュー領にも収穫祭はあるが、行かせてもらったことがないそうだ。


お祭りに行けると知ってテンションが上がったシトリン公爵令嬢は、疲れているフロー公爵令息をつれて、またダンスを踊りに行ったのだった。






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