表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

225/373

59

金色の魔法のお披露目パーティーの日に、久しぶりに会ったシトリン公爵令嬢から「旅行に行きたいわ!」と圧をかけられた。


フロー公爵令息が「2人でならいつでも行けるよ。どこがいい?」と微笑んでいたが、シトリン公爵令嬢は真っ赤になって「み、みんなと一緒がいいのよ」とモゴモゴしていた。


ええー、何か進展あったの!?

ねぇ! ねぇ! おーしーえーてーよー!

ずっとお金のことばっか考えていたから恋愛話聞きたい!


「ルチル嬢、少しいいか?」


慌てた様子で現れたジャス公爵令息に、首を傾げる。

隣にいたアンバー公爵令嬢も、弟の焦りように心配そうにしている。


「どうされましたか?」


「今日は、エンジェ嬢を招待していないのだろうか?」


「招待しましたよ。食事やスイーツを楽しみにしていると仰っていましたよ」


まだ挨拶回りをしていない。

そろそろ始めないといけないと思っていたところだ。

エンジェ辺境伯令嬢は見かけてもいない。


「そうか……探しているんだが、見当たらないんだ」


「エスコート、申し込まなかったの?」


「申し込んだ」


「断られたの!?」


「オッケーしてもらったが、秋休みはじめに手紙で断られた。秋休みに会う約束も、全部なくなった」


……ガーネ様が原因だ。絶対そうだ。

あたしが聞いた内容以外にも、何か言っているかもしれない。


「この前会った時、あの子、あんなに好きだったネイルをしてなかったのよね」


「シトリン、エンジェ嬢と遊んだのか?」


「化粧品を一緒に買いに行ったのよ。でも、見ているだけだったから、私が勝手に買ってやったわ」


少しずつだけど、楽しそうにお洒落していたのに……

ライバル宣言されただけで、お洒落を止めるとは考えにくいよね。

どうにかして、エンジェ様との時間をとればよかった。


「俺が、何かしてしまったんだろうか……」


めっちゃ落ち込んでる。

ガーネ様のことを言うのもなぁ。

誰の恋愛にも手を貸さないようにしていたからなぁ。

でも、心が痛い……


「ルチル嬢、何か知っているでしょ?」


「いえ、なにも知りません」


「いいや、俺には分かる。絶対に知ってる」


「オニキス。ルチルは知らないって言ってるから」


「殿下は、ルチル嬢の言葉を信じすぎですよ。結構、嘘つきですよ」


そんなことないわ!

黙っているだけで、嘘はついてない!


「ジャス、見つけた」


ここで登場しないでー!


「ガーネ、引っ付かないでくれ」


おお、ジャス様の拒否、はっきりしているな。


「いいじゃない。婚約者候補よ」


「候補じゃない。正式に切れている」


「切れていないわ。私は納得していないもの」


ガーネ様、優しい姉御肌だったのに、恋愛絡むとウザい女すぎますよ。

はぁ、遠い目しちゃう……


「ガーネの納得など関係ない。俺はエンジェ嬢が好きだし、婚約者候補はもういない。それが全てだ」


「ジャスがどう言おうと、私はジャス以外とは考えていないの。それが全てよ」


頭痛い……


「そこの性格ブス。あなた、エンジェ様に何かしたでしょ?」


シトリン様ー、ブスは言っちゃだめ。


「ナギュー公爵令嬢、あなたより性格が悪い人間なんて、いないと思いますよ」


「はぁ? 目の前にいるわよ」


「性格だけではなく、頭と目も悪いんですね」


バチバチですなぁ。

さて、どうしようかな。


「ガーネ。さっきシトリンが言ったことは本当か?」


「私は性格悪くないわ」


「そっちじゃない。エンジェ嬢に何かしたのか?」


「してないわよ。エンジェ様がどうしたの?」


「俺を避けるようになった。今日もまだ来ていない」


ガーネ侯爵令嬢が、少し考えた素振りを見せ「そっか」と呟いた。


「何をした?」


「何もしていないわよ。私は、ただジャスと結婚するために、どれだけ頑張ってきたか話しただけよ」


なるほど。

どんな言い方だったか分からないけど、エンジェ様には「努力もしていないあなたが、ジャスの隣に並ばないでよ」と聞こえたのかもしれない。

でも、それだけでお洒落までやめるかなぁ?


「エンジェ様は自分で、ジャスの隣はふさわしくないって考えたのよ」


「俺にふさわしいかふさわしくないかは、俺が決めることだ」


「私に怒らないでよ。私は別に、エンジェ様はふさわしくないなんて言ってないわ」


「そうか、悪かった」


直接的に言ってなくても、間接的に伝えていたら一緒なんだけどね。


「他にも何か言ったでしょ。お洒落するなとでも言ったの?」


「はぁ? あなたじゃないし言わないよ」


「お洒落に関することは言っていないのね?」


「言ったのか?」


ガーネ侯爵令嬢が、シトリン公爵令嬢を睨みはじめた。

ジャス公爵令息が同調しているのが気に食わないのだろう。


「信者が減るから悔しいの?」


はい? 急に何を言い出した?

そして、嫉妬剥き出しの顔になってますよ、ガーネ様。

100年の恋も冷めるような顔してますよ。


「エンジェ様のお化粧があなたにそっくりだったから、嫌われ者のあなたの真似をすると嫌われますよって言ったわ。後、あなたとは何もかも違うんだから、エンジェ様はエンジェ様に似合うお化粧をするべきだってね。爪まで真似するのも媚びているみたいで印象悪いですよ、って教えてあげたのよ」


ない。ないわー。

ごめん、ガーネ様。これ以上、聞いてらんない。






恋愛になると人格変わる人いますよね。

あれは一体何の魔法にかかっているんでしょうか。不思議です。


いいねやブックマーク登録、誤字報告、感想ありがとうございます。

読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あーあ、ガーネってば。。 シトリン憎さに冷静さを欠いたにしても、ジャスの見てる前でそれはやっちゃ駄目なやつ。 にしても、よくもこんなにぽんぽんと悪口が出てくるものですね。 こんな子に失恋して…
[良い点] いつも楽しく読んでます! 恋は盲目と言いますけど、本人の自覚なしにダメージあたえてることはありますよね~  どうなるか心配です!
[一言] 確かに恋愛は良くも悪くも人を変えるし、醜い部分を浮き彫りにもするけど・・・。 好きな人を自分の方に向けるために必死になる気持ちも解るから、 多少のやらかしは許容したいけど・・・。 ごめんなさ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ