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日曜日、アヴェートワ公爵家のタウンハウスを経由して、本邸に帰った。
オニキス伯爵令息にリバーを呼んでほしいとお願いをして、本邸にはリバーに来てもらっている。
「ルチル様、なにか面白いこと思いついたんですか?」
「面白いことじゃないんだけどね」
「帰ります」
「待って。ストローを太く作ってほしいだけなの。リバーなら、すぐに作れるでしょ?」
「最近、面白くないことばかりです」
「何か考えるから、ストロー手伝って」
「絶対ですよ」
「約束する」
「分かりました。私は優しいですねぇ」
優しいって言うなら、条件無しで作ってよ。
「どれくらいの太さにするんですか?」
「今のストローの2倍の大きさ」
「ええ!? 飲み物を吸うんですよね?」
「飲み物と小さいもちもちしたものを一緒に吸うのよ。そのもちもちしたものを作る魔道具は、お祖父様から依頼があると思うわ」
「分かりました。楽しみにしています」
「50本は欲しいから」
「そんなにですか!? 魔法陣関係ないからつまらないのに」
ブツブツ言っているリバーに「できたら厨房に持ってきてね」と伝えて、そそくさと別れた。
厨房に行き、料理長とタピオカを作りはじめる。
タピオカは、本来芋から取ったデンプンで作るが、片栗粉でも作れる。
キャッサバという芋を探す時間もないし、デンプン加工する時間もない。
片栗粉でお手軽に作れるのだから、片栗粉でいいのだ。
黒くしたいなら黒糖がいいけど、今回は蜂蜜を代用して作る。
黄色で可愛くなるからだ。
蜂蜜と水を混ぜ、熱したら、片栗粉を入れる。
全体が馴染み、捏ねながら1つにまとめる。
手で触れる温度まで冷えたら、小さくちぎって丸める。
沸騰したお湯に入れて浮かんできたら、弱火にし、蓋をして20分ほど茹でる。
火を消して、そのまま20分ほど蒸らす。
蒸らし終わったら、冷やせば完成だ。
小さくちぎって丸める大変な作業は、料理人たちも手伝ってくれたから楽だった。
急速冷蔵室で冷えたタピオカをつまみ食いしたオニキス伯爵令息に、背中を強く叩かれる。
痛い!
「ルチル嬢! 美味しい! 凄い!」
料理長たちも食べていて、みんな微笑みながら頷いている。
それ、ミルクティーに入れるものだからね。
そんなにつまみ食いしたらダメだよ?
冷たいミルクティーを作ってもらっている時のいいタイミングで、リバーがストローを持ってきてくれた。
リバーにもタピオカミルクティーを渡して、ルチルたちはタピオカミルクティーを試飲した。
うんうん、このもちもちはタピオカだわ。
蜂蜜で作っても美味しくてよかった。
蜂蜜の輸入を増やしてもらわないとだね。
オニキス伯爵令息の「これ、クセになる」という言葉に、みんな頷いていた。
祖父の分も作ってもらい、祖父の執務室に持っていった。
祖父はあまり好みじゃなかったようだが、流行るだろうということで、父に相談してくれるそうだ。
文化祭の話をしたら、「同じ日にカフェで提供を開始するようにしよう」と同じ考えを言ってくれた。
タピオカは保冷バック(リバーに作ってもらい済み)に入れて、ミルクティーは月曜日に作ることにした。
もちろん新作のスイーツなので、王宮での夕食後に両陛下とアズラ王太子殿下に出してもらっている。
文化祭で出店するかもしれないこと、アヴェートワ商会のカフェで提供を始めることを話す。
「面白い食感ね」
「そうだな。会議終わりとかに飲みたいな」
「僕は、少し苦手かな」
アズラ様は、本当にあたしと好みが似ていて嬉しい。
食事で喧嘩することはないってことだもんね。
卵焼きは、塩か砂糖か出汁かとか。
目玉焼きには、醤油かケチャップかソースかとかさ。
ちなみに、あたしは卵焼きなら出汁だし、目玉焼きならマヨネーズ。
番外編だと、トマトには塩と胡麻油を混ぜたものが好き。
王宮でよく出てくるのは、チーズが入ったオムレツなんだけどね。
「ルチル、これは作り方を教えてもらえるのかな?」
陛下は、とても気に入ったのね。
「はい、大丈夫ですよ。後で、チャロに伝えておきます」
「ありがとう」
ご機嫌にタピオカを吸っている陛下は、アズラ王太子殿下の文化祭の催しの話に耳を傾けている。
王妃殿下とルチルは、相槌を打っている。
部屋の中には、とても穏やかな時間が流れていた。
明日の投稿はお休みになります。
楽しく最後まで読んでもらえるよう、楽しく書いていきます。
これからもよろしくお願いいたします。




