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「それが1番よさそうですね。でも、ドレスはどうするんですか?」


「私のドレスを貸しますわ。小さい頃からの分がずっとありますから、どれか合うでしょうし、男性の礼服はミソカの服がありますから」


「礼服なら僕も一一


「殿下の服を貸せるわけないでしょう。俺は手元にないからなぁ。ジャスは? どう?」


「いいぞ」


「ミソカは細いから、ジャスの分もあれば大丈夫だね」


あの子、細マッチョなんだけどなぁ。


「アズラ様もオニキス様もジャス様も参加されますよね?」


3人は、しっかりと頷いてくれる。


「では、平民の皆様とダンスを踊ってもらえませんか。きっと夢心地になれると思うんです」


「だったら、フローも誘おう」


「シトリン嬢やアンバー嬢にも手伝ってもらう? ルチル嬢1人で、男子の相手疲れるでしょ?」


「そうですねぇ」


どうしよっかなぁ。

アンバー様はいいよって言ってくれそうだけど、シトリン様がなぁ。


「ダメだよ。ルチルは僕以外と踊らせないよ」


あ、うん。ごめんなさい。

普通に踊る気でいました。

というか、踊ります。


「ダンスくらい、いいじゃないですか」


「ダメ! 絶対にダメ!」


「胸当たるからですか?」


「なっ! それ以外もあるの!」


オニキス様は、アズラ様で遊ぶのが好きだよねぇ。

あたしも好きだけど。


「シトリン様とアンバー様には聞くだけ聞いてみます。それと、ミソカに女装してもらいます。きっと可愛いと思うんで」


「いや、アヴェートワ公爵が許さないでしょ」


「これ以上無視しないと言えば許してくれますよ」


「まだ無視してたんだね」


ここぞというときに使うべきだもの。

豪勢に用意してもらいましょ。


アズラ様のご機嫌直しは、ダンスパーティーが終わってから考えればいい。

色々すれば許してくれる。大丈夫。


その夜にシトリン公爵令嬢とアンバー公爵令嬢に尋ねてみたら、予想通りシトリン公爵令嬢は欠席、アンバー公爵令嬢は出席とドレスの貸し出しもするという返答だった。


シトリン公爵令嬢は、両親の耳に入ったら怒られるから無理だそうだ。

「うん、もうアヴェートワ公爵家と縁を切れという勢いで怒られるだろう」と想像できた。


フロー公爵令息は出席してくれ、礼服も貸してくれるそうだ。


父には、オニキス伯爵令息に伝書鳩を送ってもらった。

今頃、全力で用意しているに違いない。

王宮でも体験できないような豪勢なパーティーになるだろう。


なにせ父からは、謝罪の手紙が毎日届いているし、母からも許してあげなさいという手紙が来たくらいだ。

父は、毎晩泣いているそうだ。


母曰く、結婚を前にアズラ王太子殿下にルチルを取られたから辛くてやってしまったらしく、結婚までは一緒に過ごせると思っていたのに、ということだった。


ルチルバカの父の気持ちは分からなくもないが、やっていい事と悪い事がある。

でも、ルチルが結婚前に王宮に住むようになったのは、ルチルが悪かったことも理解している。


後数日で許そうと思っていたので、ちょうどよかったのだ。


アヴェートワ公爵家でのダンスパーティーの招待状は、1年間お疲れ様会というお茶会をしようと、嘘を書いて送った。

ダンスパーティーと書くと、遠慮して欠席するだろうと思ったからだ。


そして、強硬手段に出た。


学園のダンスパーティーに出席しようとしていた男の子たちには悪いが、ルチルたちが学園のダンスパーティーに参加している間に、アヴェートワ公爵家の馬車が学園のエントランスに迎えにくるので、それを使ってほしいと伝えたのだ。


ダンスパーティーの日は、来てもらえるなら侍女を1人、学園に入れていいという許可が出ている。


ルチルはカーネに来てもらって、カーネにみんなを引率して連れ帰ってほしいと伝えている。


ルチルたちがアヴェートワ公爵家に行くまでに、みんなは湯浴みや着替えなどの支度の時間が必要になるからだ。


ドレスや礼服は、それぞれの家の使用人が既にアヴェートワ公爵家に運んでくれている。


みんなをどれだけ変身させられるかは、侍女たちの腕の見せ所だ。

きっと侍女たちは頑張ってくれることだろう。

お礼に刺繍花でもあげようかなと思っている。






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