14
新しいスイーツを作るため、昼食後に祖父とサーぺと共に厨房に行くと、料理長をはじめみんな歓迎してくれた。
ここの料理人たちは料理長と同じで、新しい料理に何より大興奮するのだ。
前回同様、椅子を用意してもらい、椅子の上に立ちながら指示をしていく。
「お嬢様。本日は何を作られますか?」
「きょうはゼリーでしゅ」
ジュースにゼラチンを入れて、という最も簡単なゼリーでもいいが、大きな果物と半透明のプルルンが合わさることで見た目もいいゼリーといえよう。
しかし今回はシャンパングラスに入れるので、プルルンはある程度潰して、フルーツも1口サイズ。
プルルンが光に反射するし、果物との色味の濃淡対比でグラスの中は美しいはず。
鍋の中に、水と砂糖を入れてもらって火にかける。
砂糖が溶けたら果物を入れ、沸騰したら弱火で5~6分煮る。
火を止め、ゼラチンを入れる。
ゼラチンが綺麗に溶ければ、冷やして完成。
コンポートを作って、それをそのままゼリーにするのだ。
砂糖の割合は、果物に対して20%から40%くらい。今回は間の30%で作ってもらった。
果物は、桃と葡萄と梨。
ジャムほど甘くないから、そのまま食べられるコンポートはゼリーにうってつけだよね。
急速冷蔵室で冷えて固まったゼリーを、躊躇なく大雑把に混ぜてもらい、果物と一緒にシャンパングラスに盛り付ける。
「華やかなパーティーに映えるでしょうね」
「喉越しもいいから食べやすいな」
「レストランで、コースの最後に提供するのはいかがでしょう?」
「そうしよう。夕方以降のコース限定にすれば、フルーツサンドでうるさい客も黙るだろう」
お祖父様、それはそれで新たな火種を生みませんか?
「そうだ、りょーりちょー。しょくざいをこおらせりゅへやはありゅの?」
「冷凍室がありますよ。何か凍らせたいものがあるんですか?」
「あい、あちたつくってほしいでしゅ」
「楽しみにお待ちしていますね」
王子殿下の誕生日パーティーのゼリーは、ジャムを作っている工場で作って納品することになった。
盛り付け方だけ教えるそうだ。
今回も使用人たちの分も作ってもらって、賄いの最後に出してもらっている。
美味しかったと喜んでもらえて、ルチルは笑顔を返した。
美味しいものは共有しないとね。
料理人たちだけじゃ不公平だもの。
食べ物の恨みって怖いしね。
ゼリーを作りました。アイスも作る予定です。次話は天使(?)が登場予定です。
いいねやブックマーク登録、そして読んでくださっている皆様感謝しています。ありがとうございます。




