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「シトリン様は、フロー様とどうですか? 最近仲良くされているなぁと思っているんですが」


おおっと! アンバー様、切り込みましたねぇ。

その話、あたしも聞きたかった。


「仲良くなった……とは思うわ。会話ができているって感じるから」


「よかったですね。一歩ずつですよ」


「そうね。卒業まで、まだ2年近くあるものね。焦らず頑張るわ」


ということは、シトリン様的にはフロー様との未来をってことだよね。


なるほど、なるほど。


あたし的には、オニキス様とくっついてほしい気持ちが大きいけど、シトリン様ならフロー様の心を変えられるとも思っているんだよね。

シトリン様が相談してきてくれるようなことがあれば、全力で協力しよう。


「アンバー様は、オレンニュ伯爵とはどうなの? 年齢が離れていると困ることとかないの?」


オレンニュ伯爵とは、アンバー公爵令嬢の婚約者で今年30歳。

アンバー公爵令嬢とは一回りほど年齢が離れている。


オレンニュ伯爵は、今まで誰ともお付き合いをしたことがない引っ込み思案な方。

パーティーや夜会の出席率は0%に近い。

ルチルもシトリン公爵令嬢も、まだ会ったことがない。


「仲良くしていますわよ。特に困ったことはありませんね。とても楽しい方ですし」


オレンニュ伯爵とアンバー公爵令嬢との出会いは、オレンニュ伯爵が王都の街で迷子になっているところをアンバー公爵令嬢が助けたことで、オレンニュ伯爵が恋に落ちたそうだ。


オレンニュ伯爵の恋に気づいた家臣が、オレンニュ伯爵に内緒で、ルクセンシモン公爵家に縁談を申し込んだらしい。


縁談内容には、伯爵夫人の仕事はしなくていいこと、騎士になってもいいことが書かれていたそうだ。


実は道案内をしている時に、将来についての話になり、アンバー公爵令嬢が「将来は、未来の王妃殿下の近衛騎士になりたい」と話していたそうで、「素敵な夢だね」とオレンニュ伯爵は笑顔で返していたそうだ。


そう言ってくれる人なら縁談内容を結婚後反故にしないだろうと思い、婚約するに至ったんだとか。


今は長期休暇中に遊ぶ程度で、後は手紙のやりとりをしているそうだ。

字がとても綺麗で丁寧な文章を書く人というところが、オレンニュ伯爵の好感度を上げているらしい。


「はっきりと言えるのが羨ましいわ。あ、ルチル様には聞かないから」


「聞いてくれてもいいんですよ」


「いらないわ。見ているだけで時々寒気がするほどだし」


自分でも甘々すぎるとは思っているけど……酷い。

怒ってもいいんじゃないだろうか。


「羨ましいと言ってくれてもいいんですよ」


「ないから」


なんでよー!

でも、寒気がするほどってことは、もう本当にフロー様に目を向けているんだろうな。


そこからは、どことどこが婚約したとか、誰が誰に振られたとかの話を、ルチルは「よく知っているなぁ」と聞いていた。


ふと、弟やミルクは暇なんじゃないかと思って窺ってみたら、弟は小さく頷いていて、ミルクは眠っていた。


次の日は、王都の街で買い物をし、王都の流行りを調べた。


シトリン公爵令嬢は、ダンスパーティーで誰よりも可愛いドレスを着たいんだそうだ。

その案を、ルチルとアンバー公爵令嬢から欲しいがための旅行、いや、合宿なのだ。


可愛いドレスかぁ。

この世界のドレスは、どれも豪華すぎるんだよねぇ。

婚約式でのシンプルなドレスは一時期流行っただけで、すぐに豪華なものに戻ったんだよね。

シルクは、今も流行っているけど。


あたしは、お洒落よりも基礎化粧品を整えたい。

本当にそろそろ作りたい。

冬休みは予定を入れずに、リバーに何個も無理難題押し付けようかなぁ。


合宿3日目、ナギュー領に移動した。


不気味なくらい笑顔のナギュー公爵夫人に出迎えられ、胃が萎縮した。


嫌な予感がしたものの一緒に食べた昼食では、「小さい頃から体が弱いようだけど大丈夫なの? 色々心配ね」とチクチク言われただけで、笑顔で乗り切った。

母の言葉のフラグ回収は終わったと安心していた。


しかし昼食後は、ナギュー領の令嬢たちを呼んでのルチルとアンバー公爵令嬢の歓迎会をしたいとのこと、既に令嬢たちには伝達済みだと伝えられ、まだフラグ回収は終わっていなかったと気落ちした。


シトリン公爵令嬢が「勝手に予定を決めないで」と怒っていたが、歓迎会という名のお茶会の準備はもうできている。

これから続々とナギュー領の令嬢たちが到着するのなら、断ってはナギュー公爵家の面子が潰れてしまう。

シトリン公爵令嬢が領地の令嬢たちから何か言われたら嫌なので、フラグ回収頑張ろうと受けることにした。


だが、合宿と思っていたので、簡素なワンピースしか持ってきていない。


急いでナギュー公爵家のタウンハウスに戻り、馬車を出してもらった。

今日は、公爵家間での転移陣の使用許可は出ていないからだ。

ナギュー公爵家に戻る時は、転移陣の使用許可をもらっているので時間短縮になるだろう。


が、ここで本には載っていない事件が起きてしまう。






明日はルチル達頑張ります。

ジャスの好きな人が気になるかと思いますが、まだ先の話になりますので、楽しみにお待ちください。


いいねやブックマーク登録、誤字報告、感想ありがとうございます。

読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 今のアズラがルチルとの時間を削ってまで医学を学ぼうとしていること。本の通りと言えばそれまでですけど。何か思うところがあったのでしょうか。 [一言] 家族全員でトランプに興じるアヴェート…
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