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文化祭2日目。一般公開の日。


ルチルたちは午前中、クラスで売り子の手伝いをしていた。


聞いていた通り朝から教室の前は行列ができていて、アズラ王太子殿下作のくみ紐購入抽選は一瞬で無くなった。

抽選の仕方は当たりと外れを箱の中に入れ、箱の中から1枚取ってもらうというもの。

当たりを掴み取れれば購入できる。


アズラ王太子殿下作以外のくみ紐もすぐに売り切れてしまい、お昼になる前には店仕舞いをした。

中でも人気だったのは、お守りだった。

お1人様2点までの制約に、2点ともお守りを買う人が多かった。


閉店作業をしていると、可愛らしい声が聞こえてきた。


「お姉様」


「ミソカ、今来たの?」


「いいえ。朝から来ていたんですが、ヌーとシュンに会って一緒に屋台でご飯を食べてました」


周り人たちは頬を染め、「あの可愛い子誰?」とヒソヒソ話をしている。


「そう、美味しいものはあった?」


「おにぎりが1番美味しかったです。お姉様は今からご飯ですか?」


「そうよ」


「僕も一緒に行っていいでしょうか? お茶を飲んでいますから」


「いいわよ」


ルチルは周りを見渡し、祖父や父を探すが見当たらない。


「ミソカ、お祖父様たちはどこ? 1人では来ていないわよね?」


「お祖父様とお父様は、知らないおじさんとお話ししていますよ」


「どこ?」


「あそこです……って、あれいない……」


ミソカと一緒に祖父たちが立ち話をしていたという廊下の端に行ったが、そこから周りを見回しても祖父と父はどこにもいない。


「ミソカ、本当のことを言いなさい。あなた1人で来ていないわよね?」


「てへ」


「可愛い顔してもダメよ! どうして1人で来たの!? 攫われたらどうするのよ!」


「……ごめんなさい。お祖父様もお父様も急用ができて行けなくなったって」


「それで1人で来たの?」


「お姉様に会いたかったんです。ごめんなさい」


でた。天下の宝刀、嘘泣き。


「だからって1人では絶対ダメでしょ! 何も無かったから良かったものの、怪我したり攫われてたら家族全員悲しんで後悔するのよ」


「はい……ごめんなさい……」


「ここに来ることは誰かに言ってきたの?」


泣きながら小さく首を横に振られた。


はぁ、オニキス様に魔法で伝書鳩を送ってもらおう。

きっと今頃、お母様辺りが発狂しているに違いない。


「ルチル、どうしたの? 大丈夫?」


「アズラ様、どうやらミソカが1人で来たようでして。今頃家では大変なことになっているでしょうから、オニキス様の力をお借りしたいのですが……」


「そうだね、それは早く連絡してあげた方がいいね」


アズラ王太子殿下が片付けをしているオニキス伯爵令息に伝えてくれ、オニキス伯爵令息が「お手洗い」と言って消えていった。


片付けが終わり、昨日の文化祭を一緒に回った4人にミソカを足したメンバーでお昼から遊んだ。

即興で面白可笑しく似顔絵を描いてくれるクラスに行ったり、入学式等でも使用されるホールで劇を観たりした。


夕方になり祖父がミソカを迎えに来た際、祖父はミソカに拳骨をしていて、とても痛そうだったが、ミソカはいつもの嘘泣きだった。


文化祭を回っている時に、ルチルはミソカに「ヌーさんとシュンさんは元気だった?」と尋ねたら「元気でしたよ」と教えてくれたので、2人も文化祭楽しんでいるならよかったと少し安心した。






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