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5月も後半になり、ようやく誰と接触するのか決まった。


父からもらった一覧表に、まずは生理的に合わないだろう人、頭が悪すぎる人を消していく。


社交界の評判は気にしないことにした。

本当か嘘か分からないからだ。

嘘の噂を流されて、評判が低い可能性もある。


後は、消極的すぎる人も除外。

きっと社交界では生きてはいけない……いや、何か困っていることもあるかもしれないから、声をかけるだけかけてみよう。


こうして、在学生で接触する10名を選んだ。

在学生以外では20名選んだ。

この中で仲良くなれる人がいればいい。


接触という名のお茶会は夏休み初日と2日目にすることにし、早速招待状を書いた。

シトリン公爵令嬢とアンバー公爵令嬢には、先に口頭で参加できるかどうかを聞いていた。


「とうとう王妃様から言われたの?」


「違いますよ。私の意思です」


「私は参加いたしますわ。ルチル様が初めて催されるお茶会ですもの。そちらに呼んでいただけるなんて、光栄すぎますわ」


そういうものなのかな?

あたしの部屋でだけど、簡易的なお茶会はよくしているのに。


「他に誰を呼ぶの?」


招待状を出す一覧表を渡すと、シトリン公爵令嬢は嫌悪感を露わに紙を返してきた。


「私は参加しないわ」


「嫌いな人がいましたか」


「ええ、姿さえ視界に入れたくない大っ嫌いな人がいるわ」


「どなたかおうかがいしても?」


「ガーネ・アンゲノン。アンゲノン侯爵家の娘よ」


「シトリン様、ガーネをお嫌いでしたの? とても素直で可愛らしい子ですのよ」


「アンバー様もアンゲノン侯爵令嬢をご存知なのですか?」


「ええ、幼馴染ですの」


そうなの!?

お父様、それも1口メモに書いていて欲しかった……


「幼馴染といいましても、家が隣でして、小さい頃に何度か遊んだくらいですが。私よりもジャスの方が仲がいいと思いますわ」


「ジャス公爵令息と」


「ガーネはジャスの婚約者候補ですのよ」


なるほどねぇ。ジャス公爵令息の婚約者候補ねぇ。

でも、ジャス公爵令息はなぁ……アレだからなぁ……


「どうしてシトリン様は、ガーネ侯爵令嬢がお嫌いなのですか?」


「嫌いじゃなくて大っ嫌いよ。あの子、私がジャスを狙っていると思っているみたいで突っかかってくるのよ。何度否定してもよ。鬱陶しいでしょう」


「そうでしたの? 知りませんでしたわ。私からも否定しておきましょうか?」


「そうしてくれる。ジャスを好きじゃないし、好きになることもないって」


なるほどねぇ……なるほど、なるほど……


「それよりルチル様、夏休みは何処にも行かないの?」


「夏休みは、家族と領地で遊ぶ予定ですわ。遊びに来られますか?」


「うーん……私だけ行ってもいいのかしら?」


「私も行きたいですわ。春休みのお話を後からおうかがいして寂しかったのです」


春休みは公務だったからね。

でも、シトリン様が来る時期に合わせて呼べばよかったかな。

こういうところの気が回らないんだよねぇ。


「では、シトリン様とアンバー様をご招待いたしますわ。1週間ほど我が家に滞在されてはいかがでしょう?」


「1週間もよろしいのですか?」


「はい。ぜひいらしてください」


シトリン公爵令嬢とアンバー公爵令嬢の予定を擦り合わせて、夏休み真ん中辺りに1週間のアヴェートワ領滞在が決まった。






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