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No Pitch No Out  作者: しが
1/3

1Pitch ワンポイント死す

ぼちぼち更新してきます


『ワンポイント禁止』


このルールができると聞いた時、俺は正直終わったと思った。



ジェレミー・ライト アリゾナダイナムズ所属 左投手 28歳

大学でそれなりに活躍してダイナムズから8巡目指名を受けてプロ入りを果たした。

スライダーを買われてマイナー時代から左のワンポイント専用投手として育てられ、26歳の時にメジャーデビュー。

ルーキーイヤーに43試合で防御率3.73、2年目に56試合で3.56、3年目に61試合で3.89とワンポイントとはいえまぁまぁの成績を残していたつもりだ。

だから派手に輝かなくとも細く長い野球人生を送れると思っていた。


そう、それ以上でも以下でもないままであってほしかった。



「ジェレミー、悪いな。新ルールができた以上、君を40人の枠には入れておけない」


後日球団から呼び出されてDFAを告げられた時、俺は別に驚かなかった。

正直覚悟してたし、一応去年61試合投げてるからどっかしらの球団がメジャー契約で拾ってくれるかもしれないと楽観していたからだ。

家族がいたら話は別だろうが、あいにく俺には奥さんも彼女も居ないし。



考えが甘かった。

ダイナムズに限らず他29球団のワンポイントリリーフ達が次々とDFAされている情報が入ってきたのだ。

頭によぎったのは「引退」の二文字だった。

仮にこのままマイナーに残ったとて恐らくメジャーに復帰することは難しい。

実はマイナー、メジャー通して右打者との対戦も無かったわけではない。

サンプルは少ないがデータとして被打率は7割を超えており、俺としても抑える自信が全くないのだ。

左打者からすると逃げていくスライダーが右打者相手だと内に入って痛打されてしまうからだ。


「新しい仕事、どうすっかなー…」


自宅でそうスマホで仕事のアプリを見ていると知らない番号から突如電話がかかってきた。


(なんだ?家族でも友達でもねーよな?)


怪しいやつか?と恐る恐る着信する。


「はい、ライトです」


「ライト、今何してた?」


「何って、まぁ仕事探し……というか何者ですかあなた。いきなり電話で人の素性探ろうとして」


「ああいや、悪いな。俺は君の上司になるフレディ・スコットだ。よろしく」


「…上司?その名前聞いたことあるな、確かロサンゼルス・ドラゴンズのGM…」


「ああそうだ、君とメジャー契約をしたい。今時間空いてるか?」


思わず目を見開いた。

左相手にしかまともに投げられない俺が名門球団でメジャー契約をもらえるとは。


「あ、ええ、もちろん…ですが」


「今君の家の玄関前に居るんだ、開けてくれ。契約書は持ってきた」


そう言われ玄関の扉を開けた時、俺自身の人生の新たな扉も開かれた気がした

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