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体育祭(2)

前日に公開設定をミスっていたことに気づきました・・・。昨日の2話同時公開は完全に私のミスです・・・。修正したかったのに・・・。

「1日お疲れ様、じゃあ帰ろっか」


あたしたちのチームは無事に連勝を飾り、明日の準決勝以上進出が決まった。これで、最低限の得点は確保できたことになり、ちょっとホッとする。


しかも、バスケの裏で行われた卓球の試合では、女子の宮下さんが宣言を上回る準優勝と活躍し、6点を確保。さらに男子は、有力選手の故障などトラブルも重なったとはいえ、まさかの伏見くんが優勝を飾ることに。本人は、卓球部の真似しただけ、なんて言ってたけど・・・。


水泳では大きく得点を伸ばすことはできなかったものの、総合得点で32点と、かなり健闘したと思う。


現在トップは3組の44点。あたしたち7組は、現在4位とまずまずの順位につけている。


ただ、女子は両組とも二日目に進んだのに対し、バレーボールは3組だけが準決勝に残ったので、明日もう少し点差が開くのは織り込み済み。それでも、当初の播磨くんの見積もりよりは少ない点差だ。


「・・・帰ろっか」


そんな盛り上がっているクラスメイトとは対照的に、どこか暗い表情なのは朝陽くん。


「どしたのよ」


「・・・いや、涼子さん怒ってるし」


「怒ってるわけじゃないわよ」


「いや、わかるよ、美織もよくそんな顔してるし」


「・・・・・・あんた今んとこ対応全部間違えてるわよ」


この男は・・・そもそも、告白を断り続けてる女の子にそんな顔をさせるような相談をするなよ、とか、そもそも怒らせるなよ、とか。あとあたしが相談にのってやってるのに他の子の話を持ち出すなとか。まあ、甘えてくれるのは嬉しくはあるんだけど・・・。


「・・・なんだかなあ」


「・・・」


「ねえ朝陽くん」


「はい」


「惚れた弱みにも限度があると思わない?」


「・・・答えづらい」


「あたしにはあるの。具体的には仏の顔とおんなじくらい」


「三つ!?」


「ちなみに今ので残機は1ね」


「二枚抜き・・・」


話しているうちに、だんだんイライラが溜まってきたのを感じるが、朝陽くんは少し調子を取り戻したようだ。


二人で昇降口を出ると、通学路の分岐点にある公園を目指す。


「で?」


「で、とは」


「夕にうまく説明出来なかったんでしょ?なんて言ってた?」


「・・・いや、ちょっと話もしたくない感じでして」


「ああ・・・そう」


・・・だろうなあ。あの後かかってきた電話で、夕は結構、いやかなり、取り乱していた。まあ、進路のことも、美織さんのことも。これまであんまりしっかり話してこなかった分、ショックだったんだろうなあ・・・。


まあ、いきなり理解してもらうのはやっぱり難しかったのかもしれない。


こればっかりは、時間をかけてくしかないのだろうとも思う。


ただ問題があるとすれば。


「ねえ、朝陽くん。ちなみに、どっちがメインだったの?」


「メイン?」


「進路のことか、それとも、美織さんのことか。どっちが夕の逆鱗に触れたのかなって。これから話していくにしても、まあ受け入れやすい方からの方がいいかなと」


「なるほど」


「話してた時はどんな感じだったの?」


「まあ・・・、結構アメリカ行きの話の時点でもう目が泳いでたんだけど」


・・・ショックだったんだろうなあ。


「で、その時、美織から電話がかかってきちゃって」


「・・・は?まさか出たの?」


「いや、流石に出はしなかったけど。ただ、そこから誰だったの?って話に」


うわあ・・・間が悪いというか。電話に出なかったのはいい判断だけど、精神的に弱ってる時の夕は結構面倒くさくなるし、多分朝陽くんに食い下がって誰か聞き出そうとしたんだろう。


それで、よりにもよって地雷を引いた、と。


慌てれば慌てるほど、まずい方向に進むのは夕の悪い癖だ。


私たちは公園のベンチに腰掛けながら話す。


「それで、結局そのまま夕は部屋に戻っちゃって」


「うわあ・・・じゃあ、どっちが引き金かってのは分かんないのかあ」


「うん・・・でも多分だけど、もう一回話すなら、進路の話が先がいいかな」


「そうなの?」


「美織のけんは、夕が美織の電話に引っかかって掘り出しちゃった話題だから、まあ向こうもきますいだろうし・・・」


それに、と言葉を続ける朝陽くん。


「・・・告白の返事をしてないのは、涼子さん相手にも同じなわけで。まあさらに情報が増えることになるから・・・」


「ああ・・・うん。まあ、そうかあ・・・」


なんとなくあたしを盾に使われた気もするけど・・・。でも、まあそう言ったらそれは事実なのでなんとも言えない。


ちょっと赤くなった顔を自覚しつつ隣を見ると、朝陽くんはこっちを見ていた。


「・・・でも、正直さ、いい機会かなとは思ったんだ」


「いい機会?」


「これまで結構、夕と向き合うことから逃げてて。ここで美織とか涼子さんに背中を押されて。やっと話すことができて」


「・・・そう」


「だからさ。体育祭が終わったら。もう一度、ちゃんと進路のことを話してみる」


「そっか。・・・うん、頑張ってね」


でも、美織さんのことは話さないの?という私の問いかけには。


「・・・答えは、出すから」


「ちゃんと、答えを出すから。時間はかかるかもしれないけど。次に、夕と話す時は、報告になってる、かな」


そう言った、彼の顔はちょっとさっぱりとしていて。


ちょっとだけ見とれながら。


明日はお互い試合頑張ろうね、なんて他愛ない言葉を交わしながら、その日は二人公園を後にした。


まあ、彼が答えを出すより早く、雫が告白するだろうから、彼はまた悩むことになるのだろうけど。

お読みいただきありがとうございます。励みになりますので、ブックマークやコメント・ご指摘など、よろしくお願いします。感想などもいただけましたらぜひ参考にさせていただきます。

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