試験結果発表(2回目)
第11話 試験結果発表
翌日。私たちは、改めて喫茶店ツインズに集まっていた。
今日のホームルームで発表されたのは、掲示板入りを果たした面々だけで、この中でいうと鶴見くん、夕、文香ちゃんの3人だけ。私と涼子ちゃん、伏見くんはいつもの喫茶店で成績公開とすることとして、実は配られた成績表を開けずに持ってきている。
ちなみに、我がクラスの上位陣の成績は、
鶴見朝陽、491点(学年1位)
鶴見 夕、441点(学年3位)
石間英夫、422点(学年8位)
播磨 勉、410点(学年11位)
関 文香、386点(学年24位)
となった。鶴見くんはさらに点数を伸ばして、平均98点を超えるハイスコア。もはや笑うしかない。これにより、赤点の基準は295点に設定された。阿鼻叫喚となったことは言うまでもない。
夕は、前回から大きく伸ばし、ついに学年3位まで上がった。点数的には、去年までだったら学年トップでもおかしくない。鶴見姉弟に絡んでいた石間くんも頑張って成績を伸ばしていたが、周囲の伸びに追いつけず、順位を落とした。上位6番に残れなかったので、年間成績では夕が逆転した形だ。
ただ、順位は落としたものの点数自体は上げてきた石間くんも、色々いうだけはあるということなのだろう。
順位・点数を上げたといえば、播磨くんと文香ちゃんの両名だろう。播磨くんはもうちょっとでトップ10に入ってくるかもしれない。文香ちゃんも、播磨くんには勝てなかったものの、前回の播磨くんの点数を超えた。
喫茶店についた私たちだったが、既にスコアが出た夕と文香ちゃんはリラックスムードだ。文香ちゃんは目標の350点もクリアしているため、既に鶴見くんにデートスポットの相談を始めている。
一方、夕は、450点に届かなかったため悔しそうにしていたが、かつてなく良い順位だった上に、鶴見くんがことさら甘やかすものだからすっかりだらしない笑みを浮かべている。
「よし、まずこの伏見恭平からスコア発表します!」
「恭平は残念だったな、400行かなくて」
「うるさい!それは関さんの点数がわかった時点でわかってただろ!というか試験前からわかってたわ!」
「開きなおんなよ。で、何点だったんだ?」
「行くぞー、開封!」
なんだかすごく楽しそうに開封するものだから、思わず私たちも覗き込む。
「・・・297点!くっそー、300点いかなかった!赤点じゃなかったのは嬉しいけど、なんか微妙に悔しい・・・」
「あちゃー、地味な点数だなあ」
「うるせえ、朝陽、お前は点数いいからって・・・いや、なんかギリ行ってない気がしてたんだよ・・・やっぱ社会のここ、漢字間違えた・・・」
「あら、だから昨日自己採点で300行くかどうかだったのにケーキ頼まなかったのね。でも赤点回避できたのだから良かったじゃない」
「鶴見姉・・・ありがとう、慰めてくれて。いや、でも300点は行きたかったんです」
「まあ、それが夕を誘う最初の条件だったしな」
「そんなこと気にしてたのね・・・。良いわよ、私も目標にちょっと足りなかったし。点数足りなかったもの同士、今度の部活休みの日にでも遊びに行きましょうよ」
「・・・え!?いいんっすか?」
「ええ、もちろん。伏見くんにはいつも朝陽がお世話になってるからお礼もしたいし」
私も伏見くんのこと、もっと知りたいしね、という小さな呟きは伏見くんにも聞こえたようで、彼は顔を赤くしている。意外と純情なのかもしれない。
「えー。ゆーちゃんいい雰囲気じゃん」
「あの夕がねー、伏見良かったじゃん。まあ伏見って意外と顔かっこいいし、釣り合ってるんじゃない」
「でもゆーちゃんは強敵だよー、なんたって鶴見くんよりいい男じゃないと多分ダメでしょ?」
「ブラコンこじらせてるからなー、伏見頑張れよー?」
そんな勝手なことをいう私と涼子ちゃんを、夕がジロリと睨み、さっさとあんたらも開封しなさいよ、とせっつく。
「じゃーあたしからね。打ち上げ開催をかけたあたしの点数は・・・364点!」
「うっそ!?涼子ちゃん点数たか!文香ちゃんに近づいてるじゃん!」
「涼子ちゃんすごいです!英語91点ですよ!」
「ていうかこれ英語で稼いでるように見えるけど、他の科目もちゃんと全部60点以上とってるわね」
「良かったぁぁぁぁ・・・鶴見くんありがとおぉぉぉぉ」
そう言って涼子ちゃんは机に突っ伏してしまった。
話を詳しく聞くと、どうやら勉強会が終わった後も喫茶店で粘って、鶴見くんにつきっきりで英語を教えてもらっていたらしい。なんだ抜け駆けしやがって、という気持ちもなくはなかったが、涼子ちゃんがそれだけ本気で勉強していたということだろう。
「崔さんすげーな。ちなみに、朝陽、お前英語いくつ」
「・・・ノーコメントで」
「伏見、いいのよ。鶴見くんが満点だろうことはわかってるから。てゆうか前回50点ちょいだったあたしをここまで引き上げられるんだから、あたしより低いわけないじゃん」
「ま、それもそっか」
「でも、涼子さん、本当に頑張りましたね。ちょっと待っててくださいね」
そう言って鶴見くんは涼子ちゃんの注文した飲み物にラテアートで「よくできました」のスタンプを描いていく。なんだそのハイクオリティ。スタンプの下の桜が八重桜になっている。
鶴見くんって、色々器用だけど、時々それを無駄遣いすることがある気がする。
「えー、鶴見くんありがとー、なんかちょっと小学生みたいで照れるー」
なんだかんだ、涼子ちゃんには好評みたいだからいいけど。というかこの間からちょっと涼子ちゃん贔屓されすぎじゃない?
そう思って涼子ちゃんに視線を向けると、
「あ、あげないからね!」
と警戒された。いや、いつまでも写真撮ってないで飲みなよ・・・。取らないよ・・・。
「まあ、じゃあ、涼子が点数達成したってことで、お疲れ様会はやりましょうね。ねえ朝陽、朝陽も点数良かったから、うちでやるのよね?」
「それがいいかな。みなさん、今週の土曜日は空いてますか?もちろんノンアルコールですけど、夜の時間にテーブル確保しますよ。お料理だけのコースで、一人3000円で色々準備しときますね」
トントン拍子に話が進む。みんな、今週の土曜日は開けていたようで、問題なさそうだ。
「さて。最後は雫ね。ご褒美は、朝陽の敬語禁止条例ね」
夕も涼子ちゃんも楽しそうにこっちを見る。
「雫ちゃんなら大丈夫ですよ!さあ、一気に開けちゃいましょう!」
文香ちゃんもちょっとテンションが高い。私は結構緊張してるんだけど・・・。
「じゃ、じゃあ開けるね。点数は・・・335点!よし鶴見くんタメ語決定!やった!」
「よくやったわ雫!朝陽、わかってるわね」
鶴見くんは、敬語禁止とタメ語は違うんじゃ・・・と疑問を口にしていたが、伏見くんがなだめたことでなんとく納得してくれたようだ。
「・・・じゃあ、改めて、敬語なしってことで。よろしくね、橘さん」
「雫って呼んで」
「いや、それは・・・」
「涼子ちゃんはいいのに?」
「・・・よろしく、雫さん」
・・・ついでに名前呼びまでおねだりしてしまった。いやー、いいわー、名前呼び。なんかちょっとドキドキする。
「雫、あんたどさくさに紛れてやったわね」
夕が何か言ってくるが聞こえない聞こえない。
「じゃあ、とりあえず土曜日に集まりましょう。6時でいいかしら?」
「「「異議なし!」」」
ーーーーー
ちなみに。全校集会では、学年上位に君臨する鶴見姉弟はかなり目立っていた。
さらに、特別すべきこととして。前回鶴見くんが圧倒的成績で1位になった影響か。他の学年でも450点を超える成績の生徒が出てきた。うちの学年の2位も450点を超えていたらしい。
全体的な平均点も上がったようで、校長先生は大変満足そうだった。
クラス別成績では、我が2年7組は学年トップだったようで、宮原先生は終始ご機嫌だった。
もちろん鶴見姉弟の躍進は原動力なのだが、それよりも伏見くんをはじめとする下位層の点数が底上げされたのが大きかったようだ。
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