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貼ってちぎって、ちぎって貼って  作者: 朝川 椛
第三章 飛んで火にいるじゃじゃ馬娘
31/72

その9

「こら! あまりはしゃぐなよ」


 鳥越から睨まれて瑠璃は舌をだす。


「わかってますってば。それより先生、もう掘っちゃってもいい?」


 背中からピックアックスを取りだすと、鳥越が慌てた声をあげた。


「待てまて、きちんと確認してからだ。おい、無事上側まできたがどこを掘ればいいんだ?」


 鳥越が彼方へ指示を仰ぐ。返答はすぐにあった。


『お疲れ様です。掘る地点ですが、下を見てピンク色の光が多く集まっているところがありますか?』


 彼方の言葉に瑠璃は城ノ介と下を見おろす。

 吸い込まれそうな星空の中から、すぐ間近に薄桃色の輝きが点在していた。


(すごーい!)


 浮かれて飛び跳ねていると、城ノ介も同じように興奮した様子で笑いかけてきた。


「すげーな、これ」

「うん」


 大きく頷くその横で鳥越の声が響く。


「右斜めの中間あたりに集まってるな。あそこを掘ればいいのか?」

『はい』

「わかった。ほらお前たちふざけてないで。掘るぞ」


 了解の意を示した鳥越が不機嫌そうな声音で告げてきた。


『ほーい』


 城ノ介と二人で答え、今度こそピックアックスを取りだす。ピンク色の光が集まる場所まで行き掘りはじめた。だが、隕石は思った以上に硬い。なかなか掘り進めることができず、次第に手がしびれてきた。


「かったーい! なんなのさ、これ!」

「文句を言うより手を動かせ!」


 つい口にでた不平へ鳥越の激が飛ぶ。本気じゃないのに、とむくれていると、黙々と作業していた城ノ介がおもむろに顔をあげた。


「鳥越先生、俺なんかやたら暑く感じるんだけど」

「暑いのは俺も一緒だ」

「そうだよ、あたしだって暑いんだから」


 慣れない重労働でスーツの中が蒸れていて暑苦しい。帰ったらシャワー浴びたいな、などと思いながら手をとめて城ノ介を見ると、鳥越も顔をあげてきた。


「力仕事をしてるんだ。あたりまえだろう。……って、ん? 待てよ?」

「え?」


 突然固まった鳥越の視線を追う。


(へ?)


 太陽がいつの間にか先刻より近くなっていた。

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