no.6
僕は寂しくて、退屈で、悲しかった。
大好きなお休みの日。
すごく待ち焦がれていた、あの日。
今も待ち焦がれている、お休みの日。
ユナの、お休みの日がなくなってしまった。
ジュケンってやつがあるらしい。
おかーさんが言ってた。
ユナは朝早くガッコウに出かける。
夜、遅くに帰ってくる。
毎日、この、繰り返し。
僕の頭を撫でることも、
僕の名前を呼ぶこともあまりなくなった。
ユナ。
ユナ。
僕のこと、嫌いになったんじゃないよね?
僕はユナのサンダルの匂いを嗅ぐ。
ユナ。
ユナ。
最近は僕の匂いでいっぱいになってしまった、
ユナのサンダル。
微かに感じるユナの匂いを頼りに、
僕は目を瞑って、ユナとの思い出に浸る。
どうか、夢の中だけでも、ユナと遊べますように。
僕はユナのサンダルに鼻を突っ込みながら、
浅い眠りについた。
夢の中では、ユナが
僕の黄色いボールを青空に向かって投げていて、
僕は嬉しくて。
すごく、すごく嬉しくて、
僕は尻尾をぶんぶん振りながら、ボールを追いかけて。
とても、とても幸せだった。
けど、
目が覚めると、悲しくて、切なくて、苦しくなる。
寂しいよ。
寂しいよ。
ユナ、寂しいよ。
僕はユナのサンダルに、あごを乗せて目を瞑った。
ねぇ、ユナ。
ジュケンって言うのが終わったら、
僕と遊んでくれるよね?
大好きな、ユナ。
僕、いい子にして、
ちゃんと待ってるから。
――ユナは、僕のこと、好き?