no.4
ある日、空から綿みたいなものが落ちてきた。
僕はそのとき、いつものように大好きなユナの帰りを待っていたんだけど、
僕の鼻のところに、そいつが落っこちてきたんだ。
そいつはひんやりと冷たくて、
僕はびっくりした。
空を見上げると、その白いやつは後から後から落っこちてくる。
僕はそいつに向かって吼えた。
なんだ! お前は!
そういいながら、僕はそいつを捕まえようとする。
ぱくっと口の中に入ったので、僕は得意げに胸をはった。
あれ?
そいつはいつの間にか、僕の口から居なくなってしまった。
なんで? どうして?
僕は訳がわからず、闇雲にその白いやつをパクパク食べてやった。
でも、白いやつは僕の口に入っていないみたい。
おかしいな?
僕は夢中になって、白いやつを捕まえようとする。
「ライン。ただいま」
僕はユナの声を聞いてはっとした。
大好きなユナがガッコウから帰ってきたら、
一番に「お帰り! 」って言うのが僕の日課だったのに。
そんな大切なことを、忘れてしまうなんて。
僕は急に寂しくなって、尻尾を下げた。
そうしたら、ユナはにこりと微笑むと、
僕の頭を撫でながらこう言った。
「雪が降ってきたね!
どんどん降って、積もるといいね。
そしたら、雪であそぼ? 」
そう言うと、ユナはそっと手を伸ばす。
ふわり、と白いやつはユナの手のひらに乗った。
「見て、ライン。
これが、雪だよ」
ユナは僕にユキってやつを見せてくれた。
白いやつはゆっくりと、ユナの手のひらで融けていく。
僕はそれが不思議で、ユナの手のひらごと、ぺろりと舐めてみた。
ユナの手のひらは少ししょっぱくて、
それからユナの匂いがした。
ユキの味はよく解からなかったけど、
ユナが笑うから、僕も尻尾をぶんぶん振った。
それから、ユキは、あちこちに白い色をつけた。
足で踏むと、サクっていう音がして、
足の裏がひんやりする。
僕はユキの匂いを嗅ごうと、ユキに鼻を突っ込んだ。
びっくりするほど冷たくて、僕は思わずくしゃみをする。
ユナは笑いながら、さらさらのユキを風に飛ばして見せた。
キラキラと光るユキはとてもきれいで、
僕は思わずジャンプして、ユキを捕まえようとする。
あぁ、なんて面白いんだろう!
キラキラのユキ大好き!
まぶしいユキと、大好きなユナ。
ねぇ! 僕はユナのこと、本当に大好きだよ!!
――ユナは、僕のこと、好き?