no.3
次の日、僕に名前が付いた。
ユナも、おかーさんも、おとーさんも、
僕の名前を一生懸命考えてくれて、
いろんな名前を呼ばれたけど、ユナが付けてくれた名前に決まった。
僕の体は真っ黒で、胸のところに白い線がある。
そこから考えてくれたんだって。
ユナが決めた名前なら何だっていいと思ったけど、
僕、その名前の響きがすごく気に入ったんだ。
名前って、なんだかくすぐったい。
恥ずかしいような、誇らしいような、
なんだか変な感じだ。
ボクはみんなに『ボクの名前はユナが付けてくれたんだよ』って、大きな声で言いたいくらいだった。
ユナが僕を呼ぶたびに、嬉しくて、大好きで、ホントに嬉しくて。
僕はそんなに広くない庭をぐるぐると駆けた。
うっかり回りすぎて、ふらふらになった僕をユナが、
大きな声で笑う。
僕は笑う代わりに、尻尾をぶんぶん回す。
楽しくて、嬉しくて、大好き。
もっと名前を呼んで!
ユナが付けてくれた、僕の名前を。
僕の、僕だけの名前!
「ライン! おいで! 」
ユナが僕を呼ぶ。
僕はユナの声を聞いて、風のように急いで駆けていく。
夏の草がさらさらと揺れて、土の匂いがした。
僕は、ユナが大好き!!
ユナ、僕のあの黄色いボールを投げてくれる?
そうしたら僕、
大好きなユナの為に、ボールを持ってくるよ!
――ねぇ、ユナは、僕のこと、まだ好き?