自分で自分が嫌になる
いい船に乗りたいですね。
大海原を旅するなら。
それに、人生という旅をするなら──。
今までの人生で、何度思ったことだろう?
「なんで、自分は、こうなんだろう」
「ここにいるのが、ボクでなかったら、もっと、みんな幸せなのに」
でもね、ボクという船に乗ってしまったボクの魂は、その船で人生という海原を旅するしかないんです。
情けない。
若い頃に2度ほど、ボクはボクという船のエンジンを止めようとしたことがあります。
でも失敗してしまって、ボクは今も人生という旅をしているんです。
それをね、「それで良かった」と思える時間は、まだ来ていません。
不思議なものでね、時が経ち船がますます劣化した今の方が、船のエンジンを止めることが怖くなっています。
怖くて怖くて堪らない。
船のエンジンを止めようとすることは、絶対にしちゃいけないことです。
誰かが自分という船のエンジンを止めようとしていると知ったら、ボクはボクの持っている言葉のすべてで、考え直させようとするでしょう。
それでもね、船のエンジンを止めようとすることが怖い自分がね、とても惨めで情けない気持ちになるんです。
そしてね、今日もね、人生という海原で起こること起こすことに怯えながら、旅を続けています。
たぶん、明日も。
そして、その先も。
ボクという船が止まるまで。




