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残念な戯言的散文

SUKIYAKI ~移り変わりゆく“何か”~

作者: 残念な戯言遣い

 ご存じですか?

 肉や野菜を浅い鉄鍋で焼いたり煮たりして調理する日本の料理のことを。

 その名もスキヤキといいます。


 今回は「上を向いて歩こう」の別名の話ではありません。

 その名を冠する料理のお話です。


 味付けは、醤油、砂糖、あとお酒が基本となります。

 割下と呼ばれる前もって作られた物で煮込むこともありますね。因みにワリシタわりしたって言いますが、“割り下地”の略です。

 基本“牛”肉を使用します。“豚”肉なら“豚すき”、“鳥(鶏)”肉なら“鳥すき”と呼ばれます。魚、蟹、うどんなど、その中身とともに名称が変化します。

 余談ですが、子供の頃「今日はすきやきよ」と言われて喜び食べていたら、牛どころか肉が入っていなかったコトがあります。“野菜すき”なるモノがあるなら、きっと我が家のアレをいうのでしょう。

 さて、すきやきというモノの説明も終わりましたし、皆さんに質問です。


 “すきやき”は、皆さんにとって“ごちそう”でしょうか?


 僕にとっては近年稀にみる特異点な設問なのですが、どうでしょうか?

 ここでの特異点ってのは、年齢的な意味合いも含まれます。

 肉を喰らうという行為が十代頃に比べると億劫に感じる様になってしまいました。

 食肉って年齢とともに食べれる量が反比例していくと確信してる今日この頃です。


 すき焼きは果たして“今の時代にも”ごちそうと言えるでしょうか。

 まぁ、人それぞれ“ごちそう”の定義も異なることでせう。

 なので逆説的にごちそうの理由をあげてみます。


 まずは専用の鉄の浅鍋がコトがあげられるのではないでしょうか。

 いわゆる“すき焼き鍋”っていうやつです。あの鍋をつかうと食材が何でも美味そうに見えてきます。

 Theスキヤキといえば、あの鍋だと思うのですが、スキヤキ以外に使用例を知りません。

 その昔、あの鍋で石焼きビビンバをつくろうとしましたが、親に物理的に阻止されたことがあります。

 話が脱線しましたが、あの浅鍋はスキヤキの専用機。でも“赤く”はないのです、“赤く”は。

 専用機は豪華です∴ごちそう。


 続いて、一人一つの卵を使用する。

 “直接食べると熱いので、卵に付けて冷ましてから食べたんが始まり説”、“つけた方が旨くなるじゃろ説”、諸説ありますが、すきやきは割下で煮込んだ食材をといたたまごにつけて食するという食べ方があります。

 ダシにつけた食べるというのは、うどんやら蕎麦やらあると思うのですが、たまごはすきやきオンリーではないでしょうか。

 それに卵を一人一つ使うというのはなかなかに贅沢でありませうか?

 卵って平均単価が二十数円前後。

 一人暮らしをはじめから思い知るタンパク質食材が金かかる事実。まぁ野菜もなんですが。

 すきやきをすると必ず人数分×二十円以上のお金がかかるぜぇ、貧乏臭ぇ(ワイルド)だろ?

 つまり贅沢な喰い方をしている。実感わかない方もいらっしゃると思いますが、贅沢なんです(必死)。


 基本的には牛肉を使う。

 言わずもがな。(ヲイ)

 まぁ、九〇年代に牛肉輸入解禁で格段に安く買えるようになりましたが、やはりたかい。

 毎日は手が出せません。無理です、こちとら、もやし&納豆が定番です。

 つまり“肉”がごちそうです。なかなか手に入れるコトが出来ない、毎日手に入れれない、そう!ごちそうなのです!


 専用のあの鉄鍋必要性もなくなり(フライパンで出来ます、あとIH)、安価な卵、肉が手に入るようになってしまった昨今、すきやきが、ご馳走という王座に、ごちそうオブごちそうの栄光から遠ざかってしまったのは、いつでしょうか。

 「今日はすきやきよ」と言われて心躍らなくなった日からでしょうか。

 忘年会や新年会でメニューは“すきやき”と聞いて、胃薬の用意をしなくてはと思った日からでしょうか。

 それとも肉や幾つかの食材を安く提供するために、輸入を解禁したときからでしょうか。

 すきやき…食べたい物を食べたいというモチベーションが恥ずかしくなったときでしょうか。

 安かろう不味かろうでいいやと諦めたときからでしょうか。


 安価でごちそう(すきやき)を手に入れれるようになってしまったこの時代で、あなたの“ごちそう”が“ごちそう”ではなくなる日がくるかもしれません。



追記。

 食する面子に一人でも“鍋奉行”がいると、あの鉄鍋に麦酒やら日本酒やらをぶち込みたがるのは、何故なんでしょうか。

 生まれてこのかた、素直に割下の味を楽しめたことがありません。

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