第1章《日の当たる場所で》 第1話 おもひで
「さあさあ!!いいもんが入ってるよ!!!」
客が騒ぎ興奮しているこの場所は、とっても立派な作りの無駄にでかいステージがある二段階ぐらいの普通の大きさのお城の地下。いくつもの電球がぶら下がり、明るさで目がくらみそうだ。
客から発せられる汗やなんやらの匂いに鼻をつまみたくなるが、手枷をはめられているからできない。こいつらはいわば“貴族”というものだろう。しかも上流階級の……。
「今回売り出すのは!こちら!!琥珀色の目を持つ少年!!それにみてください!この真っ白い肌!!これに印を押すのはあなたです!!始まりは200万から!!」
「220万!!」「280万!!」
耳障りな声が響く。死んだような目で、目の前の群衆に目をやる。
(あぁ鬱陶しいなぁ)
嫌気がさす。
僕は半ば呆れた気持ちでしょうがなく目を閉じた。
「1億」
えっ
空気が固まるのを感じた。とても透き通るような声。
(聞いたことない)
当たり前だ、でも昔…
ザワザワ
商人、客が皆ざわめく。
「……っは!!い、い、一億より上の方はいますか!!!」
「……。」
そりゃそうだ一億なんて大金誰が払えるか。
(面白い)
僕は何年かぶりに目を輝かせる。
「それでは一億で締め切ります!下ろした方は別室で現金と交換させていただきます!!これにて終了です!!!」
一つため息をつく
目を伏せて考えるのは、これから起きるであろう僕の残酷な未来……それでも胸の奥に芽生えた好奇心に身を任せた。