カバンひとつで異世界転移?!
「遅刻、遅刻〜」これを聞けば皆、食パンをくわえながら走る女子高生を思い浮かべるだろう。でも残念。平凡な男子高校生である。さっき言ったように今まさに遅刻するか否かの瀬戸際だ。なぜ遅刻しているのか、その説明の前に自己紹介をさせてもらおう。
俺は山本桜。家族と住んでいた奈良から1人引越し今年から東京の高校に通う1年生だ。今日は授業初日だが、あろう事か遅刻しようとしている。その理由は深夜アニメをリアタイで見ていたからだ。うん、夜更かしは良くないね。それもあるんだが、1番の理由は現在進行形で道に迷ってることだ。やばい、東京全然分かんない。今までも何回か学校には行って道も覚えたものの、今日に限って新しい登校ルートを開拓しようと思ってしまったのである。気づけばよく分からない道、そしてもうすぐ始業のチャイムである。ここがどこかも分からないが、とりあえず目の前の曲がり角へ走る。もしかしたら、意外に近かった。なんてこともあるかもしれない。そして、曲がり角を曲がった時に誰かとぶつかった。ぶつかった衝撃で意識が朦朧としながらも俺は心の中で思った。「これは定番の曲がり角での運命の出会いイベント!」今思えばそんなことはあるはずがない。それに男子高校生が曲がり角で運命の相手とぶつかって気絶するほどの衝撃を受けるはずもない。あんなに固い体であるはずがない。何はともあれこの出会いが俺を非日常へと誘うのだった…