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Save86 自分を除いたときの女子率

 さてっと、こんなこと話してる場合じゃない。早速二対一で戦ってみよう。

 今回は、いつも剣を使ってるから体術にしようかな。俺の印象だけど、【武神】って言ったら体術って感じがするんだよな。なんの関係もないけど。


 俺が構えるのを見ると、サクラは一瞬で矢を放ってきた。マジで手加減してないやつだ。それを俺は少し後退しながらも全ての矢を避けたり掴み取ってへし折ったりしした。これくらい余裕です。


「はぁぁぁあああああ! 【居合】!」

「おっと」


 俺が全ての矢をいなし終わったと同時に、今度はカオリが【居合】を使って切りかかってきた。まぁ、【居合】だから余裕で避けられるんだけど。


「隙あり! 【天衣無縫】!」

「なっ!?」


 これまた俺が移動し終わったタイミングで、アンラが【天衣無縫】を使って攻撃してきた。アンラさんよ、それは卑怯じゃないかね。俺はサクラとカオリしか指名してないはずだけど。しかも地味に一番ダメージデカい奴だし。


「飛び入り参加! さぁキラ! 出来るもんなら倒してみなさい!」

「え、いいの?」

「え、出来るの?」


 え、アンラ達倒していいの? ほら見てみろよ。胸張ってドヤ顔決めてるお前の後ろ。サクラとカオリが一生懸命首振ってるぞ。


「できるかできないかって言われたら楽勝」

「ふ、ふ~ん……あ、分かった! ブラフでしょブラフ! はい見破った~! そんなの私に効かないからね!」


 だから後ろ見ろって。あ、アンラの後ろには誰もいなかったわ。もうサクラ達はミライの所に移動し終わったらしい。倒さないよ? 安心して?


「キラと誰かが戦ってるところにいたら余波とかで死ぬわ!」


 その言いようは酷くにかねカオリさんや。それとミライを盾にして何してんの?


「わかった。もういいよ。今のを見れただけで勝てないってわかった」


 と、俺がカオリの姿に笑いをこらえていると、カムイが言ってきた。ようやっとわかってくれたか。もっと早く分かれと言いたい。てか俺戦ってない。避けただけだ。


「キラは回避が上手だね。いくら僕が攻撃しようと躱されたらダメージが入らない。勝てるわけがないよ」

「斃す。絶対に斃す」


 こいつ俺にチキンだって言いたいんだろ? 攻撃はカスだけど回避に全力だから仕方ないって。はは~言ってくれるなぁ。よし斃そう。


「俺が攻撃できないとでも思ってるのか?」

「ソンナワケナイジャナイカー」

「きゃー! 初めてカムイ君の棒読み聞いた! どうしよー!」


 うるせー! なんで邪魔するかな!? 反応してもいいからせめて小声にして!?……いや、邪魔だし倒すか。

 サクラにアイコンタクト──視界に表示されているメッセージアイコンを目で操作し、選択したプレイヤーにメッセージを送る。【愛縁】のお陰で出来るようになった事。多分普通のプレイヤーに送ることはできない──で指示を出し、サクッと射抜いてもらった。流石。


「サクラちゃん強いね。どう? 僕のギルドに入らない?」

「……」


 カムイよ、俺のパーティーメンバーを誘うか。引き抜きってやつ? でもそれって、喧嘩売ってるのと同義だよな?

 そんなことを思ったが、サクラが抱き着いてきたので許してやった。うん、可愛いは正義だよ。怒りなんて感情は可愛いの前では無力。これ常識。


「……やだ……キラ、と、いる」


 俺はミライだけだ。俺はミライだけだ。俺はミライだけだ。俺は───


「でもキラにはミライがいるだろう? 女の子は1人で十分じゃないかな?」

「……ちがう……私、キラ、好き……ハーレム、おっけー……一緒、いる」


 ──ミライだけのはずなのにその意思が亡くなっていく……

 それよりもカムイよ。なにが『女の子は1人で十分』だ。自分を取り巻く状況をよく見て考えろ。俺より女子いるだろ……自分を除いた時の女子率は考えてはいけません。


「それは納得しているのかい?」

「……してない」

「じゃあ……」

「……キラが」


 そこまで詳しく言う必要はないんじゃないかな。事実だけど。でもそれを聞いたカムイはなんて思うと思う?

 多分『女の子に好意を寄せられてるのに無下にするなんて許せない。ハーレムが許されるんだろ? ちゃんと答えろ』とか思うんだろうな。結婚してるから無下にはしてないぞ。


「それはそうだろう。キラにはミライがいるんだ。そこに自分を想ってくれてる子が現れたらいい気分じゃない」


 およ? 俺の予想と違う。カムイなら俺に怒ってきそうだったのにサクラを説教してるのか?

 説教されてるサクラは全く聞いていないように見えるが。


「だからサクラちゃん。二人の邪魔をするのはやめて僕のところに来ない?」


 それが狙いか貴様ぁ!


「……やだ」

「でも……」

「……しつこい」


 サクラにぴしゃりと言われ、カムイは押し黙った。や~いビビってやんの!……俺とミライ? はははっ、忘れろください。


「んで? どうすんの? 降参?」

「……」


 今現在のカムイの戦力は、カムイとイシス、それだけだ。俺にわかる限りは。ギルドメンバーは全員倒されている。まさに四面楚歌状態だ。


「僕は……僕は最後まであきらめない! イシス! 僕を回復して少しの間守ってくれ!」

「わかりました。ですが10秒も持たないかと」

「わかった。それだけあれば十分だ」


 何が始まるんだ?

 イシスはカムイの前に立ち、俺達と相対した。イシスの強さは、ミライでも勝てるほどに弱い。正直、5秒持てば凄いと称賛できる。


「では、私の全身全霊全力の時間稼ぎ、始めましょうか」


 イシスがそう告げ、俺達とイシスの戦いが始まった。

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