Save68 助けてミライ!
『そこの三人には【愛縁】というオリジナルスキルじゃ。効果は……自分で確かめる方が早いの。ほれ、何か感じぬか?』
もう既にミライ達に【愛縁】というスキルを与えたらしいが、全員いまいちわかってないようだ。
『なんじゃお主ら。未だに結婚しておらんのか? まぁ、予想外じゃがそれは良い。結婚するとわかる』
結婚か……。このゲームそういうシステムあるんだ。結婚……プロポーズ……アレが役に立ちそうだな。
『早く結婚せんか。この戯け者』
戯け者て……俺は悪くない! だから俺にそんな冷たい目を向けないで! そしてミライ達に同情の視線を向けるのもやめろぉ!
『さて、他に何か妾に用はあるかの?』
もう頼むことはないよな……?
うん、なさそう。よし、帰ろう! 俺はクレアシオンと戦って疲れた!
「もうないです! さぁキラ! 帰りましょ!」
「「ありがとうございました~!」」
この双子すっごい自由だなぁ。良い事だと思うけどね?ってかアンラ達切り上げ早すぎじゃない!?
「またな、クレアシオン」
「ちょっと待ったぁ~!」
俺が綺麗に別れようとしていたところをカオリがストップをかけた。いきなり大声出すなよ。びっくりしただろ、少しだけ。
『まだ何かあるのかの?』
「まだ何かあるのか?」
俺とアクレシオンの疑問の声が重なってカオリへと届く。はて、何か忘れてたことなんてあったかな?この俺が忘れるなんてこと──
「アンラちゃん達のギルドで使う鍛冶場はどうするのよ!」
「あ……」
あ、ありましたね。うん、完全に忘れてたよ。このまま帰ってたらもう一度来てクレアシオンと戦わないといけない所だった。それだけは絶対に嫌だ。
一日に二回もクレアシオンと戦うとか絶対に精神が持たない。必ずどこかで発狂する自信がある。
『鍛冶場? それは以前妾が創ったあの家に組み込むのかの?』
「そうね」
『なら少し待っておれ。アレの付属ならすぐに創れる』
その言葉に従い、少し待つことにした。
『できたのじゃ』
「早いな!?」
只今の記録、10秒! 早い! 速い!
『これで本当に用事はなくなったかの?』
「ええ、もう大丈夫よ」
「ありがとな」
『これくらいお安い御用じゃ。またの』
「あぁ、また」
そうクレアシオンに別れを告げ、今度は本当に神界から出た。
神界から出た俺達は、早速クレアシオンに創ってもらった鍛冶場を、家に組み込み使うために俺の【転移】で【アーネスト】にある拠点へと帰ってきた。ただ、ここで問題が一つ。
「これ、どうやってくっ付けるんだ……?」
どうやって家とくっつけるかがわからない! と、思ったら。
───────────────────────────────────────
所持アイテムの中に現在地付近にある建物と合成することが可能なアイテムがあります。
合成しますか? 〈Yes/ Nao〉
───────────────────────────────────────
というウィンドウが目の前に出てきた。
文の通り、俺が持ってる鍛冶場と、目の前にある俺達の拠点を組み合わせるかどうかのウィンドウだろう。思ってたより簡単だな。勿論俺は迷わず〈Yes〉を押す。
すると、目の前にあった拠点に隣に、渡り廊下が架かり、その先にかなり大きな建物が出来た。大きさは拠点よりは小さいくらい。でも、周りの家と比べたら1,5倍くらいある。
この中には鍛冶師に向いた環境が整ってるんだろう。これなら同時に訓練場とかも頼めばよかったかな?
「「わー! 鍛冶場だー!」」
ブルーとレッドの双子姉妹は元気に叫びながら鍛冶場に特攻していった。元気だなぁ……。
それを見送った俺達は、一度リビングに来た。広さは、一人暮らしができるんじゃないかというほど広い。
掃除が面倒そうだなぁと思っていたら、掃除マシーン動いていた。なんという高性能。そこにフカフカのソファや、パソコンのようなものが置かれている。
今頃双子姉妹は武器作ってんのかなぁ。今度作ってもらおうかな? 今俺が使ってんのが【しらゆり・くろばら】だから普通の剣が欲しいんだよね。【武神】のお陰で攻撃力とかはあんまり考えなくてもいいし。
おっと、話が逸れてしまった。それで、ここに来たのは、アンラ達のこれからを話し合うためだった。
「で、仕掛けられたって言うギルドバトルはいつやるの?」
一番重要なことをまず俺が質問しておく。ギルドバトルまでの期間によって、どれだけ準備ができるかが変わる。できれば長めがいいけど。
「来週だよ」
「意外に早いな」
アンラ達をなめてるのか? 如何に戦闘職がアンラしかいないからってアンラはβテストクリア者なんだぞ?
まぁ、物量作戦で来ることは分かったな。一対一より多対一の方が勝率も上がるし。
「とりあえず、明日詳しく話し合おう。今日はもうすぐ暗くなる」
リビングにある大きな窓から外を見ると、すでに空の一部分が橙に染まっていた。あと数時間もしないうちに真っ暗になるだろう。
「それ、何だけどね?」
「どうした?」
何か問題があるのか? 宿を取る金がないとか?
「私たちの家、ここ」
「え……」
「小さな小屋があったでしょ? あれは元々あったものだけど、態々新しく家を建てるのは面倒だし、お金がなかったからそのまま使ってて、用事があってみんなこの家からいなくなる時に防御用に魔法をかけておいたのに、どっかのばかにぃが壊しっちゃったから、私たちの家ないんだよね」
「……じー」
あの小屋アンラ達が使ってたのかよ!? そりゃ魔法かけておくよな、壊されたくないし。それを俺が壊したと。完全に俺のせいじゃないか!……いや待てよ?
「俺は悪くない! カオリが壊そうと提案したんだ!」
「私のせい!?」
そうだ! 元凶はカオリ、お前だ!
「人のせいにしないの! これだからくそにぃは……」
「く、くそにぃ……」
女の子がそんな言葉を言っちゃだめだと思います。しかも本当にカオリが言い出したのに俺が一番悪いみたいになってるし……理不尽! 助けてミライ!……こら! 目を逸らすんじゃない!




