Save67 お腹いっぱいだよぉ
『そろそろ疲れてこぬか?』
「ああ、疲れてきた。だからすぐ終わらせるって言ってんだろ。早く倒れろ」
『先に倒れるのはお主じゃ。奥義【刹那】』
「まだ早い技持ってんのかよ!? 四神霊獣奥義【朱雀炎舞】!」
クレアシオンの使った武技は一瞬で相手に肉薄し、一刀で断ち切るという完全初見殺しの技だ。
それに対して俺は、【朱雀炎舞】を使い、舞うように回避。それから連続の切りつけ。上、下、右上から左下など様々な角度からクレアシオンを切り刻む。
【刹那】を回避できたのは【覇龍滅翔陣】と【四神霊獣憑依一体】のお陰でゆっくりとまではいかないけど反応できる速度までスピードが落ちてるからだ。これが無かったら【邪帝炎殺白龍刃】の時点で俺は死んでいた。本当にありがとう。
俺の攻撃を回避は困難と判断したのかクレアシオンはまた俺から距離を取った。
『まだ抗うのか? 早く妾に倒された方が良いと思うのじゃ』
「それはコッチの願いが叶わなくなるからできないな。そんじゃ、さよなら~」
『は? 何を言って──』
「四神霊獣奥義【蒼龍の咆哮】」
クレアシオンが何かを言っていたが、そんなの無視して【四神霊獣憑依一体】で使用可能になる奥義の最後の技、【蒼龍の咆哮】を使った。
効果は、一撃ごとにHPが減っていくが、目の前にあるもの破壊しつくすという、かなりヤバい技だ。
そんな斬撃をクレアシオンは防ぐことが出来ず、もろに食らってしまった。死んでないと思うけど……大丈夫だよな?
「キラくーん! お疲れ様でーす!」
「キラー! お疲れ!」
「……おつ」
ミライ、カオリ、サクラは一度俺とクレアシオンが戦っている所を見ているからか、そこまで、というか全く全然これっぽっちも驚くことなく俺へ労いの言葉をかけてきた。
対して、アンラ、ブルー、レッドは愕然としていた。
『見事じゃ。約束通り、オリジナルスキルを創ってやろう。して、お主は如何様なスキルを望む?』
「え、あ、は、はいっ! えっとえっと……か、鍛冶系のスキルをこの二人にください!」
え、なんできょどってんのアンラさん? まぁ、珍しい光景だけど。
『心得た。ではお主は何を望む?』
「わ、私!? えっと、じゃあ、お、オリハルコンをたくさんください!」
『それならここに来る前のダンジョンに沢山おったであろう?』
「え?」
あ、ここに来る前に沢山いたってオリハルコンゴーレムの事だよね。
「オリハルコンゴーレム、怖い……」
何故かカオリはトラウマってるし。はぁ。
「アンラ、オリハルコンは俺が沢山持ってるから他のにしな?」
「えー!? 持ってるの!? ならなら! 私だけの奥義が欲しい!」
「それは無理があるんじゃ……」
『できるのじゃ』
「できんのかい!」
できるんだ! システムに介入するってことだよな、それって! あ、でもオリジナルスキルの件もあるし今更か! ははははっ!……はぁ。
『そりゃできるのじゃ。奥義とはつまり、武技の組み合わせ。それ即ち、オリジナルスキル同士を組み合わせれば一人専用の奥義と同義なのじゃ』
「あ、ごめんなさい」
『? 何故謝る必要がある?』
「いえ、何でも。気にしないでくれ」
オリジナルスキルができても【武神】のお陰で俺が使えるなんて言えないよ。
『少し待っておれ』
そう言ってクレアシオンは目を瞑り、集中状態に入った。それくらい大変で神経を使うのだろう。……ただの演出かもしれないが、というかそれが一番濃厚な説だが。
『できたのじゃ』
そうなどうでもいい事を深く考えているうちにクレアシオンの作業が終わったらしい。
『そこの二人には【万物鍛冶】を与えるのじゃ。効果は名の通り、鍛冶で出来ることは何でもすることができる、という効果じゃ。レベルに依存するがの。そしてお主には武技【天衣】と武技【縦横無尽】を与えるのじゃ。この二つを組み合わせると【天衣無縫】という攻撃にも防御にも回避にも使える奥義が生まれる。有効活用するのじゃ』
「「ありがとうございます!」」
「ありがとう。私はアンラ。次からはそう呼んでね」
『わかった。そして次に』
え、まだあんの? そろそろ帰れると思ったんだけどなぁ。
『キラよ。お主には【永遠の力】というオリジナルスキルを与えよう。これは、レベルの上限を突破するスキルじゃ。一緒にパーティーを組めば使用者を含め7人まで効果がある。その場合、経験値の上積みがレベルとなる。パッシブスキルに入るの』
「えぇ、まだチートあんの……」
もういいよチートは。え、もう貰っちゃったの!? いつの間に!?ってか強制!? 辞退とかできないの!?
……れ、レベル264だと!? 高すぎだろおい!
いや、正直もっと上だと思ってた。でも64レべも上ならステータスがヤバい事になってそうだよね。流石にそこはErrorのままだけど。レベルがわかるだけでもいいのかなぁ。俺のチート化が進んでいくよぉ……。
『喜んでくれて何よりじゃ』
喜んでないんだよなぁ。現実にげんなりしてただけなんだよなぁ。
『そして───』
「まだあんのかよ!?」
もういいよ……お腹いっぱいだよぉ。




