Save57 ほんっとーにバカっ!
◇◇◇
「──【神護】!」
俺が部屋に飛び込んだ時、カオリはオリハルコンゴーレムに囲まれ、今にも腕で押しつぶされそうになっていた。咄嗟に【神護】を使ったが、間一髪だった。
それからカオリのところまで【飛行】を使って飛んでいき、隣に着地した。そして、『だれか、たすけてよぉ……』と聞こえていたのでしっかりと返しておく。
「お望み通り、助けにきた」
「キラ……キラぁぁぁああああ!」
カオリは大声をあげて、泣きながら俺に抱き着いてきた。本人は無意識なんだろうなぁ。俺はどう思ってるか? どこがとは言わんがミライと違って豊かでとても柔らかいです。ごちそうさまです。
あ、ミライに見られた。どうせ、読まれてるんだろうなぁ。ん? 口パク? お・は・な・し・が・あ・る……おっと寒気が。
ま、まぁ、恐怖心を抑えて、どうにかこのオリハルコンゴーレムを全滅させないと。でも、まずは。
「キラ! 私も加戦するわよ!」
「ばか。こんなの俺一人で大丈夫だって。お前は、ミライ達と後ろで観戦してろ。あ、あと涙拭いとけよ?」
カオリを安全な所に移動するのが最優先だ。もう一度危険な目にあったらトラウマどころではないだろうからな。
カオリをミライ達に任せた俺は、オリハルコンゴーレムに切りかかった。
あ、武器は【神剣・デュランダル】ね。今回は良いよね? カオリの自業自得とはいえ、大切な仲間が殺されそうになったんだ。すこーし頭に来ててね。全力で行く!
「【金剛不壊】! 【鏡花水月】!」
防御力と効率を上げる!
「【昇華】!」
そしてステータス全アップ!
「【強化〈攻〉】【昇華】!【強化〈防〉】【昇華】!」
さらに攻撃と防御をアップ!
「──【切断】【昇華】!」
概念【空間】の神級魔法【切断】を【昇華】で威力、効果範囲両方をあげて一斉にうじゃうじゃいるオリハルコンゴーレム数十体を真っ二つに!
「【電光石火】【一刀両断】【昇華】!」
武技にも【昇華】をかけ剣速、威力、効果範囲を大幅パワーアップ! 腕が引きちぎれそうだけど何とか堪え、また数十体を真っ二つに!
「【一点突破】【昇華】!」
またまた【昇華】をかけ貫通力をあげ、部屋の奥に居るオリハルコンゴーレムの腹の部分の風穴を開ける。
ここまでしても残り百数十体! 多すぎだろ。しかもどうやらまだポップし続けてるらしい。
どうする。そうすれば……アレを使うか!?…………迷ってる時間はない! やってやる!
「【魔道王】!」
俺が使ったのは【全概念合成魔法・魔道王】。魔法をノータイムで発動でき、魔法を消し去ることも、さらには、魔法が効かない相手に魔法が効くようにもなる。ただし、毎秒3000のMP消費。流石に回復が追い付かない。
俺はこれを使い、一気に片を付けようと思ったのだ。だから、宣言通り一気に殲滅する!
「【固定】」
全オリハルコンゴーレムを固定。
「【雨】」
これでこの部屋の中を水浸しに。
「とどめだ。【落雷】ッ!」
魔法名を唱えるとどこからともなく黒雲が集まり、一斉に稲妻を放射し始めた。
雷に当たったオリハルコンゴーレムは一瞬で黒焦げになる。完全ランダムに落ちてくるので、運よく雷に当たらないオリハルコンゴーレムもいる。
だが、先に降らした雨のおかげで電撃を食らい、その場に崩れ落ち、はしないか。固定されてるから。
そうやって殲滅する事数秒。俺の周りは真っ黒に焦げたオリハルコンゴーレムの残骸が転がっていた。ということはなく、普通に爆散して今は何も無い。
「キラ君、お疲れ様です」
「……おつ」
「また助けてもらっちゃったわね。ありがとう」
「……やっぱりデレてないか?」
「デレてないっつってんでしょ!? ばかっ! ほんっとーにバカっ!」
「落ちてますね」
「……落ちた」
「は、はぁ!? そ、そんなわけ、ないじゃない……」
カオリが落ちた? なにに? え?……え?
疑問が残ったが、その後は順調に探索が進み、とうとう15層目に突入した。が、15層目はとても狭く、階段を下りた先が一つの部屋だった。
「ボス戦、か?」
「キラ君! 視えました! すぐに大きな魔物が現れます! 数は二体です!」
ミライが視えたと言っていたが、【占い師】の効果かな? 初めてじゃない? それ使ったの。
呑気なことを考えていたが、見るからにボスという風貌の魔物が出現したため、気を引き締めた。
────さぁ、今行くからな。待ってろよ。創造神様?




