Save54 ……乙
「ここってどうやって攻略するんですか?」
「多分、武技と魔法をたくさん使って攻略するんだろうね」
「でも、それって他の所と変わらないですよね? それにここじゃあまりダメージ入らないどころか魔法は無効化じゃないですか」
だから武技と魔法をたくさん使うんだよなぁ。名付けて、『防御が高すぎてダメージが入らないなら防御無視すればいいじゃない』作戦!
「【一刀両断】と【一点突破】を前衛は使って、後衛は概念【空間】の魔法を使うんだよ」
「そんなことできるんですか?」
「たくさんの人数で尚且つ全員が最大レベルなら、ね」
補足として説明すると、【一刀両断】は空間ごと切り裂く剣神専用武技。【一点突破】は空間ごと貫く勇者専用武技。剣神と勇者はどちらか一方しか選択できないので、一人で攻略は相当プレイスキルが高くないと不可能だ。
「私とサクラちゃんはここからは何もできないですね。ごめんなさい」
「……ごめん」
「仕方ないだろ。ここからは俺に任せとけ」
ミライとサクラを守るためにしっかり殲滅していこう。
「【一刀両断】!」
あれから少し探索しただけで下へ続く階段を見つけたのですぐに降りた。するとそこで待ち伏せしていたかのように即攻撃を仕掛けてきたところを、俺が即対処した。
「危ないですね」
「ここからは気を付けろよ。何かあったらすぐに呼ぶこと」
「わかりました」
「……わかた」
「さぁキラ行くわよ!」
因みにカオリは戦闘に参加するそうだ。曰く、『ダメージが少しでも入るなら私でも倒せるわ!』だと。
「一応【神護】かけておくからな」
「ありがとうございます」
襲われても少しは耐えられるように【神護】をかけ、俺はカオリと並んで歩き出した。
少し経って、今はかなりの数のオリハルコンゴーレムに囲まれている。
何故こうなったか? それは、オリハルコンゴーレムと戦闘しながら少しづつ移動していると、ばったりとスポーンした直後のオリハルコンゴーレムに会ってしまったのだ。この多さからして、スポーンさせたあとばらばらに散らせていたんだろう。
数十分かけて全滅させた。固すぎだろあいつら……。その代わりオリハルコンをたっぷり得られたけど。鉱石系のゴーレムは名前についている鉱石が取れるのが良いところだよな。だから【鉱山迷宮】って名前なんだけど。
「お疲れ様です、キラ君、カオリ」
「……おつ」
「けがはないよな?」
「あぁ、やっと普通に労ってくれたわ……!」
「大丈夫です」
「良かった。少し休憩したら先に進もう」
「あ、安定の無視ね」
「……乙」
本当は少しも疲れてないんだけど、カオリは疲れているだろうから休憩しないとね。
「さて、進むか」
十分ほど休憩し、12層への階段を探しに探索を再開することにした。
「はぁぁああ!」
早速出てきた一体のオリハルコンゴーレムにカオリが大声をあげて攻撃していった。……ん? 何か違和感が……【完璧鑑定】使ってみるか。……ん!?
「カオリ! そいつに近づくな!」
「へ?」
咄嗟に注意したが、少し遅かったようだ。
「くそっ! 【神足通】!」
魔法も間に合いそうになかったので、一瞬で移動できる武技【神足通】を使いカオリの前まで移動する。と、同時に、俺達の前に居るオリハルコンゴーレムの姿が歪んだ。間に合うか!?
「[障壁展開]!……ぐっ」
お、重い……。何とか間一髪攻撃を防ぐことができたが、想像以上の攻撃の重さに呻いてしまった。
「キラ!?」
「今すぐここから離れろ!」
「え!? なに!?」
「ここから離れろって!」
どうにかしてここからカオリを離したいのに、言うことを聞いてくれない。こういう時に心読めよ!
「キラ君!──【束縛】」
あ! こいつに魔法はダメなのに!
「きゃぁあ!?」
ミライもなんで自分が動けなくなったのかわからないのだろう。
「とりあえず離れろ!」
「いやよ! 私も戦うわ!」
「だめだ!」
「……っ」
「俺もこいつとは戦わない! 撤退だ!」
そう言うとカオリはすぐに離れていってくれた。そして、カオリが十分離れたところで、
「──【転移】!」
動けないミライのところまで【転移】で移動、そこからまた【転移】でサクラとカオリがいるところまで移動した。
だが、ここからアイツまでの距離はそう遠くない。なのでさらに【転移】でさっきの安全地帯まで移動した。流石にMPも表示される。あ、カンストした。あ、わからなくなった。




