Save47 働け俺の【賢者】!
【マジエンスシティ】に向かう前に、もう家が手に入るまで帰ってこなくてもいいように買い出しをしてから【オーネスト】を出た。今はそれから時間が経って、夜になっている。
「久しぶりの野宿ね」
「そうですね」
「……嫌い」
今みたいにサクラの言葉がわからない時がある。慣れてきたと思ったんだけどな。
「何が嫌いなんだ?」
「……ご飯」
あ、そう言うことね。普通野宿だと、【アイテムボックス】(全プレイヤーにある)に食料とかを入れておくんだけど、【アイテムボックス】には量制限があるから、鍋とか、沢山の食料を持つより【回復薬】とかをたくさん入れるせいで、大体がそれだけで食べられる干し肉とかパンなんだよな。それがサクラはイヤだから野宿は嫌いなのだろう。
だが安心して欲しい。俺には無制限に入る【ストレージ】というスキルを持っている。つまり、野宿だろうが何だろうがおいしい料理を食べられるのだ!
「ご飯に関しては心配無用よ」
お? 何故カオリが胸を張っているんだ? しかも少しドヤ顔なのがイラッ☆とくる。
「なんでカオリが胸を張ってんですか? 自慢ですか?」
ミライが言ってるのはミライと違いカオリの豊満なとある部分の事かな?
「違うわよ! 私、【料理】スキル買ったから料理はお任せよ!」
なんだ、そう言うことか。多分レベルはそこまで高くないんだろう。そもそもレベル10までしかないスキルは最大までレベル上げるの大変なんだよな。俺は最大だけど。
楽したいからカオリにご飯を任せた結果。
「なにこれ」
「キラ君新しいのを作ってくださいお願いします何でもしますからこれは食べたくありません」
「……」
ダークマターが出来たんだが? いや、紫色してるからパープルマターかな? 何それ。ってか紫色の食べ物ってどうやって作った? ジ〇イアンマジック?(なにそれ)
「い、一応聞くが、これはなんだ?」
「これ? どう見てもカレーライスじゃない」
は? カレーライス? ご飯とカレールウ共に紫っぽい色してるんだが? そもそもご飯とかどうやって色付けた。まさにジャ〇アンマジック。(なにそれ)
「カオリ、【料理】のレベルは?」
「6よ!」
6!? おいおい6って結構高いぞ。このレベルなら幼稚園児でもプロ級の料理を作れるんだぞ? 因みに、8レベル以上からは人外レベルを競うレベル。
って、そんなことよりこれでレベル6ってことはリアルでどんな料理作るんだよ。サクラなんて顔真っ青だぞ?
「……野宿怖い」
ほら! 野宿“嫌い”から野宿“怖い”になっちゃったぞ!
その後は、カオリが作った料理(?)を消滅(魔法)させて俺が新しい料理を作った。面倒だったからスープとサラダくらいだけどな。それでもミライとサクラは泣いて喜んでくれた。理由は察してくれ。
「で、なんでミライがここに居るんだ?」
ご飯を食べ終わったあと、テントを張り、すぐに寝ることになった。そこでさも当然のように俺のテントに入ってきたのがミライだった。
「だって、私はキラ君の彼女ですよね?」
「そうだな」
間違っていないので肯定する。
「だから彼氏のテントで寝ても何の問題も無いのです」
「いやあると思うよ!?」
「何ですか?」
「そ、それは……」
あれ? なにかあるよね? 絶対にあるはずなんだ。でもおかしいな、俺には何も思いつかないぞ?
「何もないじゃないですか」
「……」
何も言い返せなかった。
「──【結界・音】」
ミライが何故か音を遮断する結界を張った。いやな予感がする。そもそもなんで使えるんだよ。【魔法神】のスキルで【聖属性魔法】だけ即育てたのか?
「ミライさん? 何故結界を張ったのです?」
「ふふっ、そんな分かりきった事質問しないでくださいよ。 ──【魅了】」
キラは ミライに 魅了されている !
違うそうじゃない!ってか働け俺の【賢者】!
「さぁキラ君? ナニをするかわかりますね?」
「はい」
くそっ! 逆らえない!
「それじゃあ、楽しい事しましょうか」
「……はい」
せめてもの反抗をと思って硬い意志で口を閉じてたのに5秒も耐えられないだと!?
「キラ君。私、初めてなので、優しく、して、くださいね?」
「……」
あぁ、もうどうにでもなれ!
───
──────そこからの記憶は、あるけれども絶対に話したくない。と、キラ氏は言った。




