Save3 それはそれで面白そう
俺とアンラは今、街から出て、草原に居る。このフィールドの名は【始まりの草原】。そのまんまのネーミング。ここにポップするのは、スライムとゴブリン、ハピナスボアという猪の3種類。オークがいるのは、隣のエリアの【始まりの森】だ。とりあえず、ここでレベル上げをする。
「頑張ろうね! キラ!」
「そうだな。結構スタートが遅れたから、巻き返さないとな」
「そうだね! どっかの兄がスキルで迷ったせいだけどね」
「ぐっ」
「まーいいや! 早く殺ろ!」
「何か文字が違う気がするが、やるか!」
そう意気込み俺は、槍を右手に持ち、草原を歩き出した。
……どうしよう、見つかんないんだけど。この【Another World・Online】は1回目の発売の時は限定1万本。おそらく全員がほぼ同時にダイブしたと思うので、【始まりの草原】はプレイヤーで溢れていた。なので、我先にと魔物を倒してしまい、なかなか魔物が見つからない。
「お?」
が、運よく俺たちの目の前にスライムがポップしてくれた。ありがたい。
「キラ! スライムだよ、スライム!」
「あぁ、やっと見つけたぞ!」
俺はそう叫び、スライムへと走り出し、手に持っている槍をスライムに突き刺した。すると、スライムは呻き声を上げたかと思うとポリゴンになって消えていった爆散した。
「え?」
俺がスライムに対し、弱すぎて混乱しているとアンラがこちらに駆けてきた。
「キラ! 何で先に行っちゃうの!」
「ご、ごめんごめん」
俺がアンラに謝っていると、頭の中にシステム音が流れてきた。
ピロロン♪
〈レベルが1から、3に上がりました。〉
〈必要経験値が溜まったため、スキル【身体強化】がLv.1からLv.2に上がりました。〉
〈必要経験値が溜まったため、スキル【武神】がLv.1からLv.2に上がりました。〉
〈必要経験値が溜まったため、スキル【賢者】がLv.1からLv.2に上がりました。〉
〈必要経験値が溜まったため、スキル【スキルレベルアップ速度上昇】がLv.1からLv.2に上がりました。〉
〈必要経験値が溜まったため、スキル【レアアイテムドロップ率上昇】がLv.1からLv.2に上がりました。〉
〈必要経験値が溜まったため、スキル【HP自動回復量増加】がLv.1からLv.2に上がりました。〉
〈必要経験値が溜まったため、スキル【MP自動回復量増加】がLv.1からLv.2に上がりました。〉
〈必要経験値が溜まったため、スキル【苦痛耐性】がLv.1からLv.2に上がりました。〉
「へ?」
「やった! レベルが上がったよ!」
「あ、あぁ、俺もだ」
え? 何で2じゃなくて3まで上がったの? ……あっ! 【経験値自乗】か! ステータスチェックするか。
キラ
男
種族:人
状態:正常
Lv.3
HP:13,000
MP:11,000
体力:3,500
攻撃力:1,600
防御力:2,000
魔法攻撃力:1,600
魔法防御力:2,000
俊敏:2,100
運:13
〈スキル〉
[ユニークスキル]
・身体強化Lv.2 ・武神Lv.2 ・賢者Lv.2 ・経験値自乗 ・ステータス上昇値自乗
・スキルレベルアップ速度上昇Lv.2 ・ストレージ ・完璧鑑定 ・完全偽装
・レアアイテムドロップ率上昇Lv.2
[コモンスキル]
・HP自動回復量増加Lv.2 ・MP自動回復量増加Lv.2
[耐性]
・苦痛耐性Lv.2
〈称号〉
・βテストクリア者
〈所持金〉
1000G
は? え? 何でこんなにステータス高いの?
……もしかして、【ステータス上昇値自乗】と【βテストクリア者】のせい? レベルアップで10HPが増えるとして、【βテストクリア者】で20になって、【ステータス上昇値自乗】で400まで増えるHPが高くなる、とか?
……これ多分【身体強化】も合わさってるわ。だって【身体強化】の説明、ステータス値×【身体強化】のレベルって書いてあるもん。なんだよこのチートステータス! 強くてニューゲームってか? ……それはそれで面白そうだけど。
「なあアンラ、先にオークからやらないか?」
「え? オーク? 私たちのレベルで大丈夫かな……?」
「大丈夫だろ。あ、慢心してるわけじゃないぞ」
「それは分かってるけど……うん。わかった。じゃあ、行こう!」
「おう!」
【始まりの森】に、少し入ったところ。そこにオークはいる。他にポップする魔物はポイズンビーという蜂型の魔物だけだ。
この【始まりの森】は少し特殊なフィールドで、森の中に入って行けば行くほどポップする魔物の強さが上がっていく。なので、入り口付近にオークの上位種、オークソードマンやオークメイジがポップすることは無いと言っても過言ではない。
何故こんなことを言うのかというと、そのありえないことが今、目の前にあるからだ。
「ちょ、なんでソードマンとメイジ居るの!?」
「キラ! どうする?」
「やってみるか?」
「死んでもデメリットは……アイテム全ロスの可能性があったね」
【Another World・Online】は死ぬと、アイテムボックスの中身がその場にバラまかれる。この点が唯一のデメリットだ。
しかし、俺だけは違う。【ストレージ】は、死んでもアイテムはバラまかれない。つまり、俺にとっては死ぬことにデメリットが無いのだ。異常なステータスを持っているので死ぬどころか、ノーダメージで勝てると思うが。
「なあ、ソードマンとかの上位種がこのあたりにポップするってことは、近くにオークの巣があるのか?」
「十中八九そうだと思うよ」
「だよなぁ~」
【始まりの森】入り口付近に上位種がポップするとしたら、近くにその上位種の括りの魔物の巣があると考えていい。例えば、オークソードマンがいたとすると、その近くにオークの巣があるということだ。
「じゃあ、ここは逃げた方がいいよな。幸い、まだ見つかってないし」
「そうだね。2,3体で行動してるオークを狩った方がいいかも」
「そうするか」
それから数時間、俺たち2人はオークを狩りまくた。その為、俺のレベルが凄いことになっていた。
キラ
男
種族:人
状態:正常
Lv.13
HP:60,000
MP:45,000
体力:14,000
攻撃力:6,400
防御力:7,000
魔法攻撃力:6,400
魔法防御力:7,000
俊敏:7,200
運:48
〈スキル〉
[ユニークスキル]
・身体強化Lv.6 ・武神Lv.6 ・賢者Lv.6 ・経験値自乗 ・ステータス上昇値自乗
・スキルレベルアップ速度上昇Lv.6 ・ストレージ ・完璧鑑定 ・完全偽装
・レアアイテムドロップ率上昇Lv.6
[コモンスキル]
・HP自動回復量増加Lv.6 ・MP自動回復量増加Lv.6
[耐性]
・苦痛耐性Lv.6
〈称号〉
・βテストクリア者
〈所持金〉
1000G
このゲームで超えることのできない数値がここにある。レベル13は今現在、このゲームで最高レベル。ステータスも勿論最高だ。
「よし。これくらいにしておくか」
「そうだね。明日学校あるし、落ちる?」
「ん~? 街まで戻るか。そこで宿とって落ちる?」
「それでいいね」
今日のところはここまでになり、街まで戻ってログアウトすることになった。ログアウト前に冒険者ギルドに寄り、クエスト達成の報告と、その他にも余分に狩った魔物の素材も売った。その時の受付嬢の顔が引きつっていたのは言うまでもない。
ステータスの計算は適当です。
ちゃんと計算した方が良いかな……?