Save42 ……馬カオリ?
『ゴホン。気を取り直して。────よくぞここまで辿り着いた、人間共よ。だが残念だったな。貴様らの命、ここで尽きるであろう。我が奪う故にな』
「あ、はい」
龍神が偉そうに語り始めたので、相槌だけ打って静かに聞く。
『だが、ただ奪うのも面白くない』
「はぁ」
そりゃあ、なぁ?
『故に貴様らには我と戦ってもらおう。安心せい。手加減してやる。それでもし我に勝てたならば、貴様らの願いが叶うであろう』
「……」
もう相槌も打つのが面倒になってきた。
『して、誰から来る?』
ちょっと確認したいことがあるから質問を。
「最初に一つ、いや二つ良いか?」
『ふむ……良かろう。許可する』
「じゃあ、一つ目。俺達四人で一斉にやっちゃダメか?」
『なんだ? 怖気づいておるのか? ならば仕方ない。許可しよう』
「次、アイテムは使ってもいいのか?」
『もちろんだとも。アイテムを駆使しようが、それでもなお我には勝てぬであろうがな』
俺がした質問は、俺達の作戦『龍神をビビらせて情報を聞き出そう!』にかかわる大事な質問。それらに対して龍神は、俺達が望む通りの答えをくれた。ならば最後に。
「やっぱり最後にもう一つ」
『なんだ?』
「降参する気は?」
『馬鹿め。我が降参するなど有り得ん』
「いつ降参しても良いからな?」
最後に保険をかけておいて。さぁ、準備は整った。いざ、勝負!
「ミライ、カオリ、サクラ」
「はい!」
「おっけー!」
「……了解」
俺の言葉を聞くのと同時に、ミライ達は自分が持っているNPCを全て繰り出した。
ミライは天照大御神、伊弉諾、伊弉冉、月読、素戔嗚尊、ルシファー、玄武、鳳凰、麒麟。
カオリはゼウス、ゼウス、阿修羅、ペガサス、ユニコーン。
サクラはオーディン、トール、フレイヤ、スレイプニル。
うわぁ、こうしてみるとサクラは仕方ないとしてもカオリのNPCが少ないな、それに比べミライの神様率……。
『え?』
ほら、龍神も驚いてるよ? そこに俺が追い討ちをかける訳ですが。
「最後は俺だ。全員出てこい!」
俺は素早くメニューウィンドウのアイテム欄を操作し、沢山いるNPCを召喚した。
出てきたのは、ミカエル、ラファエル、ガブリエル、ウリエル、ヘラ、アテナ、バステト、白虎、蒼龍、朱雀、黄龍。
『こ、降参! 降参するから!』
当然の結果だけど、龍神は降参してくれた。おい、それでいいのか神様。意地悪してみるか。
「降参しないんじゃなかったのか?」
『圧倒的な戦力差があるのに立ち向かう馬鹿がどこに居るんだ! せめて互角の勝負してから倒せ! しかも龍の神話級のNPCが二体いるんだぞ!? 勝てるわけないだろ!?』
口調も変わってるし。
「さて、じゃあ約束守ってもらうぞ」
『あぁ、何でも言え』
「“創造神”ってどこにいる?」
『創造神? 彼奴なら確か【マジエンスシティ】の地下に居たはずだ』
「情報サンキュ。じゃあな」
「え!? 待って、それだけ!?」
「何騒いでんだよカオリ。龍神に会いに来ただけだろ?」
俺はそこまで龍神に何かしてほしいとは思っていない。
「そうですよ。流石馬カオリですね」
「まだそれ言うの!?」
「……馬カオリ?」
「サクラは知らなくていいわよ!?」
カオリが騒いでいるが、俺達は帰ることにした。あ、最後にお願い言おうかな?
「やっぱりお願いあったわ」
『なんだ?』
今まで空気になろうと頑張っていた龍神に、お願いを言う。
「【荒れ果て荒野】の魔物出現率もっと上がらない?」
『上がる』
「じゃ、上げといて」
『わ、わかった。やっておこう』
「よろしく~。それじゃ、出てきてもらってすぐで悪いけど、皆戻ってね」
俺達は出したNPC達をアイテムの戻し、【龍神の間】から出た。【龍神の間】の名前は勝手につけた。良いよね?
「さて、もうここに用事はないか?」
「ないです」
「あるわよ!」
「なにが?」
「PP貯めないと」
「え~」
「後でやってください。【オーネスト】の外に行けばいいじゃないですか」
「ここだと攻撃受けないし効率良いのよ」
「知らん。あとでやれ」
「そんな~」
カオリのPP稼ぎとかどうでもいいし。これがミライかサクラなら手伝うけども。
「帰ってガチャ引くか?」
「引くわ!」
「PP稼ぎは?」
「後回しよ!」
切り替え早いな。
「じゃ、帰るぞ。 ──【転移】」
【転移】で【オーネスト】の借りている宿の部屋に帰ってきた。今日はレベルも上げたし、PP稼ぎもいいらしいからすることがない。一応、ガチャをする予定はあるけど。
「ガチャ引いた後は何するんだ?」
「何しましょう?」
「何する?」
「……?」
え、皆決めてなかったの? これじゃあ、家を見に行くまで暇じゃん。どうする?
「とりあえず、ガチャ引きましょう!」
「流石ガチャに目がないカオリですね」
「それバカにしてるの?」
「知らなくていいです」
それは俺にもわからないや。
「まずは私からね。キラ、お金」
カオリのガチャのお金は俺が負担することになったから、俺がパーティー全員分のガチャのお金を負担することになった。最低でも40万だよ?
そんなどうでもいい事は置いておいて、カオリのガチャの結果は……?
白:たわし
白:たわし
・
・
・
と、こんな感じでたわしだけが出た。ゼウス出したせいだな、うん。
「さて、次は私ですね」
次にミライが引くことになった。結果は、NPCが出たけど、そこまで強くないし、アイテムも鉄鉱石とか鉱石系だったから何の面白みもなかった。いや、これが普通なんだけどね?
「……次」
次にサクラが引いた。出たのは不動明王で、それ以外はNPCのレベル上げるアレと、チート性能の防具。
どんな防具かというと、俺が出した純白翼のコートを二着出していた。これで俺とサクラ、ミライの分が揃ったから、あとはカオリの分さえ手に入ればパーティー全員で同じ防具を着ることができるて、ユニホームみたいになるな。
「俺が最後だな」
最後に俺が引いて、ガチャは終了になった。
何が出たのか、だって? 全部被ったよ。NPCだけど。バステトとかアテナとか。ガブリエルとかも出たな。あとは、ミライが持っていたり、サクラが持っているやつも出た。
「さて、本当にやることがなくなったわけだが、どうする?」
「どうしましょう」
もうすることが無くなっちゃったんだよな。どうしよう。
「そういえばキラ、ここから【マジエンスシティ】までどれくらいなの?」
「ここから【マジエンスシティ】まで? う~ん、7,8日くらいじゃないか?」
「ならそこに行くのはどう?」
「いいけど、この宿どうすんだよ」
「あ」
あ、じゃねぇよ。230万出してんだぞ。
「寝るときだけここに帰ってくるのはどうでしょう?」
「それいいな」
ミライの案なら230万が無駄にならないから別にいい。ただそうなると……
「毎回【転移】で戻ってくるのか? 面倒くさくないか?」
「そうですけど……」
「だからさ、あとは朝だけレベルアップの為に一緒に【荒れ果て荒野】に行ってレベル上げして、その後は自由行動でいいんじゃないか?」
「それが一番ね」
「それでいいですよ」
「……賛成」
ミライ達から賛成をいただいたので、各自自由行動になった。