Save2 頑張るぞー
「《ダイブ・イン》!」
すると、俺の意識は暗転した。が、次の瞬間、目の前が真っ白になった。そして次に、半透明なウィンドウが出てきて、キャラクターメイクが始まった。
キャラクターは、人間、亜人、魔族から選べるようだ。俺は人間にした。外見に関して俺はあまり変えたくないので、髪の色を白、目の色を青色にしただけで終わらせる。
次に出てきたのは、スタートスキル選択画面だった。この画面は数多あるスキルの中から、3つだけ選ぶことが出来るのだ。
俺は悩んだ末に、【HP自動回復量増加】【MP自動回復量増加】【苦痛耐性】を取った。理由は、【HP回復量増加】と【MP自動回復量増加】は早めに強くなるためで、【剣術】とかもあったけど、それは剣を使えば取得できそうなので却下した。【苦痛耐性】は攻撃を受けても大丈夫なように、ということで取った。
その次に出てきたのは、スタートアイテム選択画面だった。コレもスキル同様、3つだけもらえる。
俺はあまり悩まずに、【槍】【刀】【杖】を選んだ。何気に【刀】があったのには驚いた。
さて、やっと始められる。そう思った時だった。
ピロン
そんな音と共に、目の前にウィンドウが現れたのは。
俺は4つ目のウィンドウなんてパンフレットに書いてあったかな。と思いつつ、そのウィンドウを見た。
──────────────────
スキルの素
好きなスキルを10個作ってください。
ただし、すでにあるスキルは作れません
残り10個
──────────────────
と、書いてあった。
え? スキルを作る? マジで? とりあえず作ってみるか。
……どうやって作るんだ? 念じてみればいいの? よし、それでやってみよう。
………………
…………
……
〔スキル【身体強化】を取得しました〕
うわっ! ビックリした! でもこれで出来るんだ。それじゃあ、どんどん作ってみようかな。
〔スキル【武神】を取得しました〕
〔スキル【賢者】を取得しました〕
〔スキル【経験値自乗】を取得しました〕
〔スキル【ステータス上昇値自乗】を取得しました〕
〔スキル【スキルレベルアップ速度上昇】を取得しました〕
〔スキル【ストレージ】を取得しました〕
〔スキル【完璧鑑定】を取得しました〕
〔スキル【完全偽装】を取得しました〕
〔スキル【レアアイテムドロップ率上昇】を取得しました〕
これはチートですわ。
大体は名前通り。【ストレージ】はゲーム内にある【アイテムボックス】と違い、死んだときに中身をばらまかない。【完璧鑑定】はどんなに偽装がかけられていても、見破ることができるスキル。【完全偽装】は、どんな鑑定でも欺くことができるスキル。こんな感じだね。
あ、【武神】と【賢者】は、全ての武器と魔法が使えるだけでなく、【武神】は持っているだけで【剣神術】などの最上級武器スキルよりも強い。
【賢者】も同様で、【炎属性神級魔法】などの魔法よりも強い。それにプラスで、魔法の威力を調整出来たり、詠唱をしないで魔法を使える【無詠唱】も使える。正直、この二つがマジチート。
さて、今度こそ、始めよう!
ゲームを始めてまず目に入ってきたのは、たくさんのプレイヤーだった。まぁそれもそうか。だってこのゲーム世界同時リリースだし。
周りを見渡すと、今自分がいるところがどこかの街の広場だということがわかった。始まりの街だと思うけど。そんなことはどうでもいいとして、今すぐやらなければいけないことが一つ。それは……
「《ステータス》!」
ステータス確認だ。本当は声に出さなくてもいいんだけど、気分で出してみた。で、俺のステータス。
キラ
男
種族:人
状態:正常
Lv.1
HP:1500
MP:300
体力:30
攻撃力:15
防御力:20
魔法攻撃力:15
魔法防御力:20
俊敏:25
運:10
〈スキル〉
[ユニークスキル]
・身体強化Lv.1 ・武神Lv.1 ・賢者Lv.1 ・経験値自乗 ・ステータス上昇値自乗
・スキルレベルアップ速度上昇Lv.1 ・ストレージ ・完璧鑑定 ・完全偽装
・レアアイテムドロップ率上昇Lv.1
[コモンスキル]
・HP自動回復量増加Lv.1 ・MP自動回復量増加Lv.1
[耐性]
・苦痛耐性Lv.1
〈称号〉
・βテストクリア者
〈所持金〉
3000G
お? HPだけ高くなってる。それ以外はβテストの時とあまり変わらないな。
でも〈称号〉の欄が増えてる。【βテストクリア者】? ならこの称号を持っているのは俺だけかな? 何か特別な感じがするな。何か効果とかあるのかな?
・βテストクリア者
βテストをクリアした者だけに与えられる特別な称号。
レベルアップ時のステータス上昇値倍化。
何このチート。レベルアップした時にHPが10アップするとしたら、倍化されて20になるってことでしょ? ヤバ。多分、誰もクリアできないと運営が思い、ふざけて設定したのだろう。
と、そんなことを考えていると、とある人物がやってきた。それはログインしたら始まりの街の広場で落ち合おうという約束をした———
「おに──キラ、遅かったね?」
「まあな。スキルと装備選びに悩んじゃって」
「あ~、わかる。私もめっちゃ迷ったから」
「へ~、アンラはどんなスキルにしたんだ?」
「それ聞いちゃう? ホントはそれ、聞いちゃいけないやつなんだけどな~」
「教えてくれよ~。俺のも教えるから、な?」
「はぁ~、仕方ないな~」
「よっしゃ!」
「私のはね~、【MP自動回復量増加】【水属性魔法】【光属性魔法】だよ」
「後衛オンリーか」
「そうそう。で、キラのは?」
「俺のはな、【HP回復量増加】【MP自動回復量増加】【苦痛耐性】だ」
「何この組み合わせ」
「効率重視。魔法剣士みたいなのやってみたいし」
「ふぅん」
その後も、アンラと雑談しながら、冒険者ギルドまで来た。俺たちはここで冒険者登録をするからだ。
冒険者ギルドは、周りの建物と比べても、2,3倍くらい大きく、建物は木で出来ているがとてもしっかりした作りになっていた。建物の真ん中に両開きの扉があり、その上には、盾の前で交差した剣と槍が書かれていた。
俺たちは扉を開け、中に入っていった。NPC達はAIが入っているので、異世界でお決まりのあれは無い。正直、やりたかった。そんな気持ちを抑えて、ギルドの中を観察してみる。
入って右側にカウンターがあり、その奥に受付嬢なのであろう、若くてきれいな女性が五人ほどいた。
左側には、食堂のようになっており、そこには、こんな時間から酒を飲む者、ご飯を食べる者など様々な人がいた。
正面にはボードがあって、おそらくここにクエストが貼ってあるのだろう。ボードの裏には、食堂の席が置いてあった。
俺たちはカウンターの方へ歩いていく。そして、カウンターの前についたところで、受付嬢に話しかけられた。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。私は受付嬢のアーシャと申します。本日はどのようなご用件ですか?」
「俺たち二人で冒険者登録がしたい」
「冒険者登録ですね。お任せください。お二人ですので、2000Gかかりますが、大丈夫ですか?」
「ああ、問題ない。……2000G、確認してみてくれ」
「……はい。確かに、2000G受け取りました」
「キラ? 自分の分は自分で出すよ?」
「いや、大丈夫だよ、アンラ」
「そう? ありがとう」
「それでは、この水晶に手で触れてください」
そういって受付嬢はカウンターの上に重そうな青色の水晶を置いた。俺はそれに触れた。すると、水晶が光り、水晶からカードのようなものが出てきた。
「はい。ありがとうございます。では、そちらの方もよろしくお願いします」
そう言われたアンラは水晶に触れた。すると、またカードのようなものが出てきた。
「はい。ありがとうございました。それでは次に、冒険者ギルドのルールについて説明いたします」
「よろしく」
「お任せください。まず、ランクからご説明いたします。ランクとはその人物の強さを表すものです。ランクにはSSランク、Sランク、Aランク、Bランク、Cランク、Dランク、Eランク、Fランクの8ランクあります。Aランク以上、上に上がるためには実技試験があります。しかし、SSランクだけは違います。SSランクになるためには、何か大きな功績を上げなければなりません。なので今現在、SSランク冒険者は世界中に3名しかいません。
次に、クエストについてです。クエストは、入り口正面にあるクエストボードから、自分に合ったクエストを選び、ここのカウンターまでお持ちください。冒険者にもランクがあるように、クエストにもランクがあります。これは初心者冒険者が高難易度クエストに行ってしまうのを阻止するためです。自分よりも一つ上のランクのクエストまでしか受けられません。
次に、パーティーについてですが、パーティーにもランクがあります。このランクは、パーティー内の冒険者のランクの最高ランク者の一つ下のランクになります。ただし、全員が同じ冒険者ランクの場合、冒険者ランクとパーティ―のランクが同じになります。パーティーの場合でも、クエストはパーティーランクより一つ上のランクまでしか受けることはできません。
次に、倒した魔物に関してですが、自分で剥ぎ取り、冒険者ギルドに売ることは可能です。剥ぎ取りが出来ない場合は、有料ですが、冒険者ギルドで引き受けることも可能です。
最後に、冒険者同士の争いごとには、自己責任でお願いします。冒険者ギルドは基本的に無干渉です。
ご清聴ありがとうございました。
何かご質問はありますか?」
「いや、大丈夫だ。ありがとう」
「それではこれが冒険者カードです。お受け取りください」
そう言われ、俺はカードを受け取った。カードには、名前、冒険者ランク、パーティーランクの欄があり、
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キラ
Rank:F
Party Rank;───
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こう書かれていた。
俺はとりあえず、アンラとパーティーを組もうと考え、アンラに提案してみた。アンラも反対意見は無いようなので、パーティーを組んだ。
因みに、この冒険者ギルドでパーティーを組むのと、ゲームのシステムを使ってパーティーを組むのとでは少し違うことがある。それが、経験値だ。ギルドの方は、倒した人にだけ経験値が入る。しかし、システムの方は倒した人、パーティーで貢献度別での分配、パーティーで公平に分配、の3パターンから選べる。
俺とアンラはもう既にシステムの方は組んであった。ギルドの方でパーティーを組むか聞いたのは念のためだ。
俺たちはレベルを上げるために、クエストを受けることにした。Fランクなので、EかFランクのクエストしか選べない。したがって選択肢は少ない。この中で俺たちが選んだのは、
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ゴブリンの討伐 Rank F
討伐数:いくらでも
報酬:1体につき500G
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オークの討伐 Rank E
討伐数:10体
報酬:6000G
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この二つにした。がんばるぞー(棒)