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Save20 カオリは却下で

「ねぇ、キラ? あと何を買えばいいのかしら?」

「う~ん。カオリは自分が食べたいの買ってきていいよ?」

「本当!? あっ、でもお金ない……」

「金ならあげるから。……はい」


 俺はメニューウィンドウを開き、〈所持金〉欄をタップし、10万Gほどカオリにあげた。……当分のお小遣いなしだな、うん。


「こんなに!?」

「当分のお小遣いだ。気にするな」

「お、お小遣い……やっぱり自分で稼がないと!」

「じゃあ、それ要らないな?」

「ありがたく貰っておくわ!」

「どうぞご自由に」

「わーい!」

「じゃあこれ、ミライの分」


 俺はそう言い、〈所持金〉欄から100万Gほどだし、ミライに渡した。


「こんなに貰えません!」

「これくらい大丈夫だよ。あと、これ今日の分だから。明日も同じだけあげるよ?」

「ちょっとキラ! 私との差がありすぎじゃない!?」

「運命共同体とヒモ、どっちを優先する?」

「うぐぐ」

「早く買うもの買ってきなよ」

「私も嫁になれば100万貰える?」

「あ、カオリはいらないかな」

「嫁は私だけです」

「むきーー! いらないって何よ!」

「言葉の通り」

「嫁は私だけです」

「うん。ミライ、わかったから黙ってような?」


 ミライが背後にドヤッって文字が見えそうなくらいドヤッって胸張ってる。そのせいでミライの小さな胸が協調されて目のやり場に困る(虚しくなる)。カオリはなんでそんなに金が欲しいんだ? ガチャか? ガチャなのか!?


「はぁ、ガチャ引きたいなら10連分は毎回あげるから、それだけで我慢しろ」


 ガチャ10連分、つまり10万Gをガチャ引くごとにあげるってさ、俺甘すぎね?……お金沢山貯めよう。【竜神山】行こうかな? 【天変地異】でも使えば10億くらいもらえるんじゃ……?


「10万くれるの!? わかったわ! これで我慢してあげる!」

「いいな……」

「ふふん!」

「ミライの分は俺が全額負担するぞ? だから好きなだけ引いていい」

「本当ですか!?」

「ああ」


 何だろう。カオリを弄りたいが為にミライ甘くなっていってるような気がする。……俺、この二人をニートとか引きこもりにしそう。……カオリだけはさせないけど。ミライは……別にいいかな? また危険な目に合うかもだし。


「私ってキラの何……?」

「カオリか? う~ん、そうだな……ミライの下位互換?」

「それは酷すぎるわよ!」

「ごめん?」

「なんで疑問!?」

「まぁまぁ許せ。それより早く買い物終わらせないと置いて行くぞ?」

「あと一時間待って!」

「わかった」


 一時間後。


「なぁ、それは?」

「これ? テントにシートに鍋と包丁とか、野営に必要なの全部よ?」

「俺全部持ってるぞ?」

「……」

「さて、出発しようか!」

「……」


 カオリが落ち込んでいるのを見つつ、俺とミライは並んで、手をつないで歩き出した。



 【ポートタウン】を発った俺たちは、【オーネスト】に向けて徒歩で移動している。馬車もあったが、徒歩での移動だ。何故徒歩かと言うと、もうそろそろアレが来るのではないかと思ったからだ。


「キラ? 本当にそんなことあるの?」

「ああ、【お知らせ】の方かもしれないけど、万が一に備えてな」


 俺が言っているのは、ログアウト不可になったこのゲームのログアウト方法の提示だ。わかりやすく言うと、このデスゲームのクリア条件。異世界召喚された勇者の故郷への帰還方法だ。


 長く感じたが、ログアウト不可になってからまだ数時間しか経っていない。なので、そろそろ、何かしらの方法でクリア条件を伝えてくると考えた。強制転移によって全プレーヤーを一か所に集めるというパーターンも考えられるため、馬車での移動はやめた。

 ……だって、いきなり馬車に乗ってた人が消えたら不気味だろ? 金ももったいないし。


「でも、なんでこんなことしたのかしらね?」

「興味、でしょうか?」

「さぁ? ただの遊びじゃない? 大丈夫、ミライだけは俺が守るから」

「キラ君……! はい! 頼りにしてます。あ・な・た」

「そ、その呼び方はやめてくれ。頼むから」

「前向きに検討します」

「それ結局変わらないやつだよね」

「あのさ、キラがミライに惚れてるのは分かるよ? ミライもね。でもさ、私を守ってくれてもいいんじゃない?」

「俺がミライに惚れてる? ありえないね」

「え!? わ、私は、き、キラ君の事、好きですよ?」


 ……わかってる。友達としてとかだよね。


「一人の男性として」


 前言撤回。そうだよね。ただの友達なら裸見せないよね。……でも、片思いの相手に裸見せるのもどうかと思うんだ。


「ありがとう?」

「あのさ、私いるの。それにさ、なんでミライは今告白すんの? ムードとかさ、無いわけ?」

「ありますよ? でも、キラ君と付き合うためにはムードとか言ってられないんですよ。そんなしょうもないものに付き合ってたら、一生キラ君に振り向いてもらえません」

「だ、そうよキラ。で、どうなの? ミライのこと好き? 付き合っちゃえば?」

「う~ん。嫌いではないけどな」

「どっち!?」

「保留で」

「ミライ、キラ貴方の事キープしてるわよ。都合のいい女ってことで」

「違うだろ。このことはちょっと考えさせてくれ」

「はい。いつまでも待ちます」

「いや、そういうわけにもいかないだろ。そうだな……【オーネスト】に着くまでに答えを出すよ」

「! ありがとうございます!」

「あ! じゃあさ、私もキラの彼女に立候補するわ! どうキラ! ハーレムよ!」

「カオリは却下で」

「なんで!?」


 と、ワイワイと話しながら歩いていると、視界が暗転した。この感覚は……



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