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 いつの間にか外が暗くなっていた。おかしいな。俺の記憶ではまだお昼ごろのはずなのに。


「キラ君が死んだ目をしています……」

「正気に戻りなさいよ」

「……だいじょうぶ?」

「すまない」


 心なしか肌がつやつやしているミライ、カオリ、サクラ、クレアが俺に声をかける。やっぱりみんな可愛いな~あははは。


「うわ、キラ、その顔は気持ち悪いわよ」

「壊れてしまったのでしょうか?」

「……そんなに、イヤ、だった?」

「……すまない」


 少し心配そうに見つめられる。

 ……そろそろ正気に戻らないともう戻れないような気がする。


「キラよ。やはり妾のわがままのせいかの?」

「……そんなことはない。大丈夫だからそんなしょんぼりするな」


 クレアの頬に触れ、頭を撫でる。それだけでクレアは笑顔になってくれた。うん、クレアには笑顔が似合う。


「どうにか戻ったみたいね」

「いつものキラ君です」

「……おかえり」

「張本人たちがそれ言う?」


 俺をあんな風にした犯人たちがまるで人ごとのように……流石に四人相手は無理だよ。死ぬかと思った。


「……ねぁ、キラ? 今、夜よね?」

「? そうだな」

「夜に夫婦がやることと言ったら?」

「……夫婦の営み?」

「そうね。私の言いたいこと、わかるわよね?」

「わかりたくない」


 俺、そんなにカオリに恨まれるようなことした!?

 ……過去に弄りまくったから根に持ってんのかなぁ……。


「ま、冗談よ」

「心臓に悪い」


 まったく、皆ノリノリでやるんだもん。俺の身が持たない。もう少し限度というものを勉強した方が良いと思う。


「二ヶ月も何もしてなかったのですよ?」

「……そそ」

「お前らそんなにアレだったっけ?」


 俺の中のイメージと合致しないんだが。


「わ、妾は初めてだった故、その……」

「クレアは良い。クレアは」


 初めてがアレって言うのもどうかと思うが。……そもそも高校生でやることじゃないよね。


「とまあ冗談はここまでにして。クレア、いつ移る?」


 俺の一言で全員の顔つきが変わる。先ほどまでのニヤニヤした表情から、キリッとした真剣な顔つきに。


「うむ。妾はいつでも大丈夫じゃ」

「わかった、じゃあ明日には移ってくれ。それを確認した後に俺達も落ちる」

「わかったのじゃ」

「ミライ達もそれでいいか?」

「大丈夫です」

「わかったわ」

「……わかた」


 明日クレアがパソコンに移ることが決まり、今日はゆっくりすることになった。

 え? 続きはしないのか? するわけないじゃん俺斃れるよ?


 そして日が昇り、朝を迎えた。

 昨夜はみんなで一緒に寝た。俺の隣にミライとサクラがいて、その隣にカオリとクレアがいた。しかし、朝起きてみると、何故かクレアが俺の上に乗っていた。それほど重くはなかったので数十分間はそのままにしておいた。


 クレアの寝顔を見れたし、ずっと頭を撫でていたりしたので暇だったわけじゃない。

 んでミライが一番早く起きて、俺の上にクレアが乗っている状況を見た。それからミライは俺の上からクレアを落とし、自分が乗ってこようとした。


 が、そこでクレアが目覚め、カオリが目覚め、サクラが目覚めたために俺も起き上がった。なのでミライの野望は打ち砕かれた。滅茶苦茶落ち込んでいた。


 朝食は俺が作り、クレアが創ったイスとテーブルで食べた。

 その後は世界神を呼んできた。少し頼みたいことがあったからだ。


「あ、そう言えば」

「どうしたんですか?」

「カオリ、お前のパソコンにも容量あったよな」

「あるわよ?」

「シロ、どうする?」

「どうする、って……できるの?」

「やろうと思えばできるんじゃないのか? どうなんだ、クレア?」

「恐らくできるのじゃ。世界神、手伝ってくれるかの?」

「あいわかった」


 クレアができるのならば、シロやクロもできるはずだ。

 カオリはバルコニーに行き、大声でシロを呼んだ。


「シロー!」

「じゃ、ちょっと行ってくる」


 俺は【探査(サーチ)】でクロの場所を探し、【転移(テレポート)】でその場所に向かった。

 クロがいたのは城の庭だった。今は肉を食っている。ご飯中だったようだ。


「クロ」

「キュウ」


 クロの名を呼ぶと、返事をしてくれた。大急ぎで肉を食べ、俺の所に向かって飛んでくる。


「キュウ!」

「よしよし、じゃ帰るぞ」


 【転移】を使い、元の場所に戻る。

 戻った時にはカオリもシロを抱えていた。


「世界神、どうだ?」

「……ふむ、二匹とも一緒の所に行けるのぅ」

「カオリ、クロを頼んでもいいか?」

「わかったわ」

「キラ君、私もいいですか?」

「ん? いいぞ」

「では、シエルの場所を教えてください」

「ちょっと待って」


 【探査】を使って調べてみると、かなり遠いところにいた。二十年も経っていたら住む場所くらい変わるか。


「連れてくるな」


 【転移】でシエルのところまで移動する。

 シエルがいた場所は森の中だ。朝ということもあって霧が発生している。

 この世界でも普通に魔物が出現するらしい。森の中に入った俺に次から次へと襲ってくる。

 軽々と処理しながら探すこと数分。森の中を歩いているシエルを見つけた。


「シエルー!」


 大声で呼びかけると、シエルがこちらに振り返った。


「キラさん!?」


 ダダダダッと駆け寄ってくるシエル。俺は勢いを殺すように足を撓ませ、シエルを受け止めるために抱きしめた。


「もう会えないかと思ってましたぁー!」


 涙を浮かべながら俺の胸に顔をこすりつけるシエル。俺はシエルの背中を撫でて落ち着かせつつ、【転移】で戻った。




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