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Save152 奥義【エターナルフルバースト】

「【神力全開放】……奥義【エターナルバーストストライク】」


 十分に間合いを取った創造神から放たれたのは、クレアシオンがキラに使ったことのある奥義だった。

 クレアシオンの周囲に幾つもの物質が創造され、次々にクレアシオンへと襲い掛かる。


「【震牢】」


 クレアシオンがそう唱える。するとクレアシオンに向かっていた全てがクレアシオンから一定の距離で爆発した。

 【震牢】。使用者を空間ごと隔離することで一切の攻撃を無効化する絶対の防御。


「奥義【エターナルフルバースト】」


 今までは【神力全開放】を使用したうえでしか使用できなかった必殺の奥義【エターナルバーストストライク】を昇華させ、【エターナルフルバースト】として新たに奥義を生み出した。

 さらにこの奥義を使うのに【神力全開放】を必要としないのでクレアシオンはまだ本気を出していない。


 創造神が創造した物質に対抗するように空中に造物された物々は、創造神が創り出した物質を悉く相殺し、遂には上回る。

 創造神が対抗できなければそれはもう障害物がないのと同じ。故にクレアシオンの【エターナルフルバースト】が段々と創造神に当たることになる。一つ一つの攻撃が重い衝撃となって四方八方から創造神をゆする。


 それもそのはず。クレアシオンは【概念属性重力魔法】にプラスして【昇華】も使っているのだから。

 危機を感じた創造神は奥義を止め、防御に徹する。


「妾、これほど弱かったのじゃ?」


 クレアシオンは昔の己の弱さに絶望した。この場合今のクレアシオンが強くなっているだけなのだが、それを伝える者は誰もいない。


「片手間にこの奥義も使えるようになっておるし……よし、前々からやってみたかったことをするとしようかのう」


 クレアシオンは戦闘中だと言うのに目を瞑り、瞑想を始めた。

 向こうの世界のプログラムと繋がり、自分の脳の代わりとする。そして構築されていく幾つものスキル。否、それはたった一つだけのスキルで構築される新たなスキル。


 そしてその新たなスキル同士を掛け合わせ新たなスキルを創りだす。そしてさらにそのスキル同士を組み合わせ新たなスキルを創造する。


「【一刀両断】」

「ぐっ……【震牢】!──【再生(リジェネレーション)】!」


 針に糸を通すようなわずかな隙間を縫って創造神がクレアシオンに攻撃する。その一撃でクレアシオンは上半身と下半身に分断される。

 感じるはずのない激痛に顔を歪めながらも【震牢】で創造神を突き放し【再生】で体を回復する。【震牢】だけは維持するために少しそっちに意識を割きながら、作業を続ける。


「【一刀両断】」

「──【再生】。それを使われては【震牢】の意味がないのじゃ」


 空間ごと切り裂く武技には、空間が隔絶されていようとも関係ない。


「仕方ない。まだやっておきたいところじゃが、実験ということにするのじゃ」

「【神足通】【神足通】【一刀両断】」


 またもや空間ごと切り裂きにかかってくる創造神。クレアシオンの目の前に現れたかと思うと姿を消し、すぐに背後に現れる。そのまま二振りの大剣を重ね合わせ、横一文字に無防備な背中を狙う。


「【昇格】」


 おもむろにクレアシオンの口から紡がれたその言葉。そして数舜の内に切り裂くかと思われていた二振りの大剣がクレアシオンに当たって止まっているという事実。

 空間さえ関係なく切り裂く必殺の刃は、小さな神様の肌を傷つけることさえできずに止まった。


 それもそのはず。何故なら【昇格】は【昇華】に【昇華】を使ってできたスキルなのだから。詳しく言うと、2の1677216乗(256の3乗)にまで激増され、その上一つに圧縮されたスキルだ。全コンピュータを総動員することでこの短時間の間に実現することができた。


 効果は【昇格】が示す通り、存在の昇格。今やクレアシオンはキラをも超越しこの世界で最強の──否、無敵の存在へと昇格したのだ。彼女を制御できるのは向こうの世界のシステムとキラのみ。ほぼ全てのこの世界の者が彼女を止めるとこはできないのだ。


 ただし、このスキルを使用すると使用後に酷い倦怠感を覚え、3分ごとに半日寝込むことになる。


 クレアシオンの体から溢れ出るその圧力は、地上で戦っているプレイヤーにまで影響を及ぼし、クレアシオンから半径500メートルにいる者は全てが地にシミを作っていた。汚い。

 が、次の瞬間にはその圧が消え去り、今までのが嘘だったかのように全てが元通りになる。


 【昇格】を解除したわけではない。今まで周囲に向けていた圧力を創造神にだけ向けただけだ。それだけで創造神はエラーでも起こしたのか白目をむき、地に落ちていった。

 最強無敵の神、クレアシオンは、キラがゲームマスターと戦っている方を向き、少し不安げな表情を見せたあと、止めを刺すために地上に降りて行った。


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