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Save148 おやすみ。

 クロのレベリングを始めてから三日後。ようやくシロのレベリングが終わったらしい。クロは初日で終わったぞ。


 二匹は既に片手に乗せることはできないほどにまで成長していた。かといって大きすぎるわけではなく、いつもは抱っこができるほどの大きさでいてもらっている。


 変な言い回しから想像できるかもしれないけど、シロとクロは自分の大きさを変えられる。生まれた時の大きさから、人を二人ほど乗せられる大きさまでという制限は付くが、かなり凄い能力だろう。質量保存の法則? 知りませんね。ゲームだし。


 今日はクレアシオンと話し合うつもりだ。この三日間の内に思いついたことがあるのだ。

 同行者はいない。俺一人で行く。


「なぁクレアシオン。今までやってきたプレイヤー集めって意味あったのかな」

「なんじゃ藪から棒に」

「いや、神様全員倒せば脱出できるのにって思ってな」

「……」


 お昼ごろに神界に【転移(テレポート)】してきて、少し雑談した後で、俺は今日ここに来た本題を切り出した。


 俺の言い方が悪いとは思ったが、それは後の祭り。既に口から出てしまった言葉は取り消せない。

 クレアシオンは俺から目を逸らし、若干下を向いた。気のせいかもしれないが、目が潤んでいるように見える。


「ごめん。言い方が悪かった。俺はクレアシオンを倒そうとは思ってないし、勿論世界神だって倒す気はない。他の神もだ」

「……ならば何故に、かようなことを言うたのじゃ?」


 いつもより少しだけ小さな声。気のせいではなかった潤んだ瞳が、俺の目を覗き込む。


「この前、クレアシオンと世界神は自分のコピーを作っただろ? アレを、今のクレアシオン達と入れ替わるようにプログラムを組み替えて、本物のクレアシオン達は新しい方の世界のプログラムに組み込めば、簡単に攻略できたんじゃないかなって」

「……それは無理じゃ。組み込むことはできるかもしれぬが、書き換えることなど不可能じゃ」

「やってみないとわからないだろ。俺の予想だと大丈夫だと思う。クレアシオン達を構成するプログラムの主軸となっている部分だけ完璧にコピーできれば、後は勝手にこの世界にAIがプログラミングしてくれるはずだ」

「……ふむ。やってみる価値はありそうじゃの」


 もしこれが成功したのならば、俺達は遠慮なく攻略に勤しむことができる。

 と、言うことでまずはクレアシオンからやってみることにした。が。


「む。予想以上に簡単に出来たのじゃ」


 結果は大成功。数分もしないうちにクレアシオンは新しい世界に転送された。

 慌てて追いかけてみると、きょとんとした表情のクレアシオンがいた。その気持ちわかる。俺も同じ気持ちだから。


「これで出来るってことは証明されたから、後は全神でやればいいだけだな」

「……キラよ」

「ん?」


 今後の計画を急速に組み始めた俺の脳に、クレアシオンの声が届いた。どうしたのかと思い彼女の方を向くと、驚いたような表情に変わっていた。


「キラよ。妾……強くなったようじゃ?」

「俺に聞くなよ」


 首を少し傾げながら俺にそう言ってくるクレアシオン。俺に聞かれてもわからないよ。


「妾、色々創れるようになったようじゃ。戦ってみるか?」

「うん、気になるし」


 と、言うことで戦ってみました。結果。クッソ強くなってました。


「これ世界神とかもかな」

「恐らくそうじゃろうな」

「……まじか」

「まじじゃ」


 かなり強化されていたから、全神がこれほど強化されるとヤバいな。

 この後二人で元の世界に戻ってみたが、神界に戻ると新しい創造神がいた。戦闘になるのは勘弁なので、すぐさま【転移】で家まで帰ってきた。


「おかえりなさい」

「おかえり」

「……おかえり」


 出迎えてくれたミライ達にただいまと言い、俺はここにいる全員に今後の計画を話した。

 明日はカムイとサナとドーターをここに呼び、本格的に動き始めるとしよう。ゲーム攻略が現実味を帯びてきた。


 唯一心配なのが、ブルーとレッドとクレアシオンの合作であろう装備品の数々。説明を受けただけで寝込みたくなった。


 それと俺のステータスがとうとうバグった。ところどこと文字化けしてるし、ログに表示されるHPやMPの回復量も数えるのが面倒くさいくらいに桁数が多くなってしまった。


 さらにあの装備を身に着けると、ステータス画面が開けなくなった。これは一体どういうことですかね。俺には全く意味が分からないな、うん。


 でも、まぁ。俺達が戦う相手は神帝──ゲームマスターだ。相手にならないほど弱すぎるならともかく、強すぎるのならば、それに越していい事はない。大は小を兼ねる、だ。……違うかな?


 文字化けしたのは俺だけでなく、ミライやカオリ、サクラもだ。アンラ達も装備とかのお陰で十分に強くなっているし、流石にすぐに倒されることはない。それにいざという時のためのアイテムもクレアシオンと世界神に創ってもらったし、最悪の事態だけは免れることができるはずだ。


 明日から激動の日々が始まることだろう。だから俺は今──寝る。おやすみ。


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