Save13 違うって言ってんだろ!?
「お、戻ってきた。ねぇねぇ、どうだった?」
「一人15,000Gだってよ」
「うぐっ……そ、そんなに?」
「あぁ、マジだ」
「お財布に響くよぉ……」
「わ、私、そんなにお金持ってないです……」
「はぁ、いいよ。ミライの分は俺が払うから。その代わり──」
「えぇ!? ミライだけずるくない!? 私の分も払ってよぉ!」
「いいのか? 俺が払うってことは三人部屋になるぞ?」
もちろん嘘である。一人部屋を三つ取ればいいだけだ。
「え、そうなの!?……お金を取るか、貞操を取るか…………非常に悩ましい……」
「なんで女子ってそんなに頭の中ピンクなの? それともこの二人だけ?」
「わ、私はキラ君になら襲われてもいいです!」
「なぁ、もう少し自分の容姿気にしよう?」
「えっ。わ、私が可愛くないから襲う気になれませんか……?」
「え? いやいや違うから。その逆だよ。ミライさ、可愛いんだからそんなこと言ったら本当に襲われるよ? 俺じゃなかったら。現に俺も理性を保つので精一杯だからね?」
「か、かわ~~~///」
俺が事実を言っただけなのに、ミライは顔を真っ赤に染め上げて頭から湯気が出ていた。……そんなエフェクトあったんだ。初めて知った。
「決めたわ!」
俺が初めて見るエフェクトを眺め、ミライがさらに顔を真っ赤に染め上げていたところでカオリが大声を上げた。どうやらお金か貞操、どちらを残すか決まったらしい。……別に襲わないし、お金を残せばいいのに。
「で、どっちにしたんだ?」
「キラ! 私を襲ってもいいわよ!」
「あーうん。了解」
どうやらお金を取ったらしい。んじゃ、部屋をどうするかが決まったところで、部屋を取りに行きますか。
「どうも。さっきぶりです」
「おや?……あぁ! さっきの子か」
「あ、はい」
忘れてたの?
「んで? 泊っていくのかい? 後ろの二人と」
妙なところ強調しなくていいから。違うから。別部屋だから。
「一人部屋と二人部屋をお願いします」
「おや、一人ずつ? てっきり三人全員でかと思ってたよ。ごめんなさいね。勘違いしてたわ。えっと、一人部屋に二人部屋だね。……35,000Gだよ」
「違いますから。俺が一人部屋で後ろの二人が二人部屋だから。……はい。35,000G」
……女性は皆頭の中ピンクなのかな?
「はいこれ。部屋の鍵。……この宿は防音設備完璧だよ?」
「だから違うって言ってんだろ!?」
「それでじゃ楽しんでね~」
もうヤダ。今すぐ落ちたい……。でもミライの為だもんな。もうミライが悲しまないように、一緒に居てやらないとだよな。……部屋は別だけど。
「よし、部屋取ったし、これからどうする?」
「ねぇ、キラ君。私と二人部屋ですよね? そうですよね?」
「ん? 違うぞ? ミライとカオリで二人部屋だ」
「……はぁ」
「ねぇ何よその溜め息は。私とじゃ不満なのかしら? 理由を聞こうじゃない。言ってごらん?」
「……はぁ」
「……コロス」
「はいストップな」
「ぐぎゃ!」
何故か二人の間で喧嘩が起きそうだったので仲裁に入ったら、カオリが女の子の発してはいけないような声を発しながらすっ飛んでいった。……力加減ミスった。
「大丈夫か?」
「心配するなら最初からやらないでくれる!?」
「大丈夫だな」
「ちょっと!? 無視しないでよ!」
「あの、キラ君。私、冒険者ギルドに登録してないので登録したいです」
「そうか。でもこの時間だと明日の方が良さそうだな。明日でもいいか?」
「勿論です! よろしくおねがいします」
「おう、まかせとけ」
「……私が騒いでるのを華麗に無視し、さらに明日冒険者登録と言う名のデートに誘うとかマジでヒロインね……。私も入りたいけど、ミライからこっちを見てないのに“入るな来るな。入ってきたらコロス”と言う圧が来ているような気がするし……私の存在意義って何……?」
カオリが何か言っているが無視することにする。だって、一人でブツブツ呟いてるんだぜ? 不気味すぎるよ。っていうか怖い。このままだとカオリが闇落ちしそうだから切り上げさせないと。
そもそもカオリってこんなキャラだったっけ。ミライを元気づけようとしてるのかな?
「もう夜だし寝よう?」
「そうだね」
「……えぇ、そうね…………」
まだ暗いよこの子……。
「カオリ、元気出せよ」
「なら一晩くらい一人にさせて?」
「それくらいでいいなら、全然いいぞ? な、ミライ」
「はい! ぜ~んぜんいいですよ♪」
なんでこんなに機嫌がいいんだ? ま、いいか。
「なら風呂入って寝るか」
「おー!」
「……おー」
元気ないなぁ。明日には治ってるかな? 治ってるといいんだけど。治っててください。
なんでこうなった。
それは俺が部屋に入って、風呂に入っている時に起きた。ミライと同じ部屋なのは初めてじゃないし、カオリのためにも一緒の部屋じゃないとダメ、と言うことで割り切った。……気合で。割とマジ。
美少女と一夜を共にするとか理性保つかなぁ……。昨日は俺が落ちてたから大丈夫だったけど。まぁ、そんなことはいいんだよ。大事なのは今の状況。
「~♪~~♪~~~♪」
俺は風呂で鼻歌なんて歌わない。ここは部屋についていたお風呂場。
このお風呂場がとても広くて、2,3人程は入れそうな広さがあった。二人部屋だからかもだけど。んで、お風呂に入るわけですよ。グラフィックも気になってたし。そしたらね、入ってきたわけですよ。もう一人のこの部屋に泊まる人が。
そう、ミライが。湯浴みなんて持ってない。だからだろうけどタオルを巻いていた。まぁ、入ってきたときは巻いてたからいいけど……いや本当は良くないけどそれは置いておいて、ミライが体に水をかけるとタオルが体に引っ付いてミライの体のラインがわかっちゃうんですよ。
後ろからだけど、脇からお尻にかけてのほっそりとしたラインが目に毒だ。実際は保養になるんだけど、目の前にそう言うのがあると理性にダメージを与えてくるので。