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Save135 んなことするわけないだろ馬鹿なのか

「で、お前は誰だ」


 拘束した男性プレイヤーに問いかける。


「……アンノウン、と名乗っておこうか」

「──【電撃(ショックボルト)】」


 うざかったので【電撃】を食らわせ、口を噤ませる。なんだよアンノウンって。てか【完璧鑑定】のお陰でもうこいつらの事はほぼ全てわかってる。


「…………you0(ユーレイ)だ」

「目的は?」

「さっき言ったろ」

「カムイに許可は?」

「取ってない。だが、ぺガスには取った」

「ぺガス? 誰だそれ」


 なんかペガサスみたいな名前だな。

 カムイに許可を取っていないことはなんとなく察していたので、今回はそのぺガスという奴が主犯らしい。どう料理してやろう。とりあえずカムイに報告だけはして、どこか遠くの地に拘束しておこうか。


「キラ君キラ君」

「ん、なんだミライ」

「多分天之川先輩じゃないですか?」

「どうしてそう思う?」

「勘です!」

「だろうと思た」


 どや顔で俺に自分の勘を言ってくるミライ。可愛いから許す。


「当たってるよ」

「じゃあ【ゴットギャラクシー】は潰すか」

「なぜそうなる」


 急にユーレイが真顔のマジトーンで俺にツッコミを入れてきた。その豹変ぶりに思わず吹き出してしまった。


「失笑。理由なんて単純明快。面倒臭そうな奴がいるギルドは潰すに限るからだ!」

「マジで単純明快だ!? で、でもよ。お前らが一緒に攻略してるカムイってやつはどうすんだよ」

「ん? 【明誠の誓い】に強制的に入れるが?」

「扱いが酷い」


 いやだって【ゴットギャラクシー】が潰れたらカムイ無所属になるじゃん。それで目の届くギルドと言ったらここ、【明誠の誓い】しかないっしょ。


「じゃなくて! 潰す必要があるのか」

「……そんなに潰れて欲しくないのか」


 俺は優しいからね。絶対に嫌だと、【ゴットギャラクシー】を潰すなら俺を潰してからにしろと、それができないなら潰されることは断固拒否すると。そういうならば考え直してあげないこともない事もないような気がしないことも無きにしも非ずだ。これ結局どっち?


「【ゴットギャラクシー】も、【明誠の誓い】と共同して攻略に励んでいる、という噂から、かなり有名になったんだ。それなのに潰されるとか、ぺガスの顔に泥を塗るようなことはしたくない」

「おいそれどの口が言っている」


 ぺガスが主犯だとしても、うまく計画を実行できなかったお前にも責任があると思うんだが。したくない以前に、もうしてるんだが。


「ま、潰すと面倒だしやめておくよ」


 これは本心だ。最悪全員【明誠の誓い】に所属させればいいのだが、もしかしたら拒否するやつがいるかもしれないので、潰さない方がいいと考えた。


「ありがとう」

「それはそうとお前らはどうされたい?」

「解放されたい」

「んなことするわけないだろ馬鹿なのか」


 誰が襲ってきたやつを開放すると言うのか。

 とかなんとか話しているうちに、来客が来たようだ。マップに見慣れたマークが表示されている。


「なにかあったようだね」

「確かにあったな。さて、カムイ。どうする?」

「できれば追放したいところだけど、それは悪手だしとりあえずこのまま連れ帰るよ」

「頼んだ」


 現れたのは、カムイだった。護衛は一人もつけていない。まぁ、ここ周辺ならカムイに勝てる奴はあまりいないだろう。絶対、と言い切れないのは俺達が含まれているからだ。俺達ならばカムイに勝てる。サナでさえも。


「キラ、NPCを借りても?」

「お前も持ってるだろ」

「万一のために備えておきたくて」

「その時は俺達が戦うからお前の出る幕はない」


 正確に言うと俺達のNPCになるだろうけどね。


「わかったよ。まだレベルが低いから心配なんだけどなぁ」

「50もあれば安全だぞ」

「魔物じゃなくてプレイヤーだよ」

「両方に対して言ったんだが」


 今現在で、レベルが100を超えているのはカムイ達くらいではないだろうか。


「頼んだよ、ニケ、イシス」


 結局ニケとイシスに頼んであいつらを連れ帰ってもらった。

 さて、やっと話し合いが始められる。……あれ、何を話し合うんだっけか。


「冒険者ギルドの事ですよ」

「あぁ、そっかそっか。ありがとな」


 長すぎて今日来た理由を忘れるところだった。

 椅子を一脚ギルドの者が持ってきて、そこにカムイが座った。誕生日席みたいな感じだ。


「今日は、冒険者ギルドを取り込むべきかどうかについて是非を聞きたい」


 その俺の一言で、話し合いが始まった。

 俺がミライ達に説明したとおりに説明し、サナ、ドーター、カムイの意見を仰ぐ。サナに聞くのはどうかと思ったが、仲間外れもあれなので聞いておく。


「サナはね、いーとおもう! それでこーりゃくがはやくなるなら、それをちたほうがいーとおもう!」

「俺もサナに同意だ。確かに怪しさ満点だが、攻略を急ぐのならば仕方ない事だろう」

「僕もそう思う。神帝(ゲームマスター)がギルドマスターである可能性を考慮しつつ動かなければいけなくなるから、かなり難しいことになりそうだけど、僕も攻略を優先したからね」

「話し合うまでもなく満場一致、か」


 薄々そうだとは思っていたが、実際にそうだったら少し驚く。


「だけど、問題はどうすれば取り込むことができるか、だよね。キラ、そもそもの話、冒険者ギルドを取り込むことってできるの?」

「可能なはずだ」


 カムイの質問に、俺は素早く答える。

 このゲームは何でもできることが売りだ。ギルドを作ることも可能だと言っていたし、国を作ることだって可能だとも言っていた。故に冒険者ギルドを取り込むことは可能なはずだ。買収ではなく、他ギルドとの併合という形にすればできるはず。


「なるほどな……それでキラ、いつからやるんだ?」

「俺達はいつでも大丈夫だ。そっちの都合で決める」


 今度はドーターからだ。

 俺達には準備らしい準備は必要ないので、ドーター達【明誠の誓い】とカムイの【ゴットギャラクシー】の都合によって実行日は決められる。

 正確に言うと、俺達にも少ししなければいけないことがあるが、それは数十分あれば終わると思うのであまり考えなくて大丈夫だ。


「僕達の方は訓練があるだけで大丈夫……いや、あいつらの事があったよ。でも多分大したことないから大丈夫だと思う」

「俺達は各自でレベル上げとかやらせてるから、大体問題になることはない。いつでも大丈夫だぜ」

「じゃーあちたにしよー!」


 サナが日程を決めてしまった。明日はカムイ達の訓練があるんだが、サナが一度言って決めてしまうと、ドーターが無理にでも押してくるので引くしかない。

 ということで、明日冒険者ギルドに乗り込み、ギルドマスター──推定神帝に直談判しに行くことにしよう。


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