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Save131 全くわからん

 相談した結果、ばらけさせることになった。そして、ばらけさせた結果できたグループに、適当なだけNPCをつけることで、安全面はクリアした。

 翌日からその方法でレベル上げをした結果、各人のレベル上げ効率が上がり、全体的に見ても格段に強くなった。


 しかし、やっぱりNPCがついているだけなので、不安な人もいた。その時は近くにいる魔物を瞬殺して力を示すようには言ってあるが、逆にそのせいで怯える奴もいるから難しい。まぁでも次からは大丈夫だったので、そこまで深刻にとらえる必要はないだろう。


 他には、予想以上に強い魔物が出て倒されそうになったプレイヤーもいるらしいが、ちゃんとフォローしたので今のところ死人は出ていないと報告されたくらいだろうか。


 そして、このレベル上げ方法をしてから、数週間が経ち、少し大きな変化があった。

 それは、クレアシオンと世界神が協力して新たな世界を作り出すことができたことだ。

 俺と会った時、俺達の世界にいた世界神は、当然のように俺の前でこっちの世界に渡ってきた。その後クレアシオンがいるところまで移動して、一応しっかりダンジョンを攻略してからクレアシオンの所に行った。


 二人が揃ったところで俺からお願いしてみたところ、かなり難しかったようだが何とか翌々日までには完成していた。そのことが伝えられたのは、昨晩の皆で楽しくミライとサクラが作った晩御飯に舌鼓を打っているときだった。伝えてくれたのはなんと世界神直々だった。


「で、その新しく創ってくれた世界はどうやって行けばいいんだ?」


 今日、俺は一人でクレアシオンの所に来た。そこにはクレアシオンは勿論、世界神までいた。


「簡単じゃよ」

「妾が汝を連れて行くだけじゃ」

「毎回か?」

「何を言うておる。お主は自力で一度行った場所ならば行けるであろう?」

「まぁ、できなくはないが、一回俺だけで移動してみないと」

「そこまでMPは掛かるまい。安心せい」


 世界神が言う『そこまで』は一体どこまでなのだろうか……。どうせ世界神はMP無限だろうな。


「それでは行くのじゃ」


 そう言ったクレアシオンの足元に、小さな円が生じたかと思うと、瞬く間にその面積を広げていき、僅か数秒後には俺と世界神も余裕で入る程の大きさになった。

 それに、今クレアシオンは術名すら唱えなかった。NPCだからできるのかもしれないが、普通に脅威だ。

 俺の視界はなんの前触れもなく真っ白になった。


「汝、目を開けよ」


 耳元でクレアシオンの声がする。俺はいつの間にか無意識の内に瞑っていた瞼を開け、その世界を目に収めた。


「まじかこれ……」


 果たして、そこには今までの世界とも、クレアシオン達がいた神界とも違う世界が広がっていた。

 木などは生えておらず、ずっと向こうまで草原が広がっている。太陽もしっかりとあり、燦燦と地上を照らしている。恐らく月もあるだろう。風もあり、雲もある。そっくりそのまま地形情報だけを簡単に書き換えた、俺達がいたあの世界のようだ。


 草原には花すら生えておらず、風にあおられる背の短い草が生えているだけ。

 後ろを振り向くと、立派な小屋が立っていた。いや、小屋というには少々豪華すぎるかもしれない。ログハウスのような外見をした、普通に住めそうなほどの広さがある建物だ。


「ここはまだ小さいが、既に基盤自体は組み終わっている。つまり、これから広くすることは可能じゃよ」

「汝の注文通り、今までのプログラムとは別のプログラムが管理しておる。それ故、簡単に拡張させることは可能じゃ。これで満足かの?」

「ありがとう。クレアシオン、世界神。移動してみるからちょっと待っててくれ」


 【転移(テレポート)】を使用し、元の世界に戻る。……ふむ、MP消費は激しいが、これくらいなら俺達だけは移動できるだろう。

 MPが回復するのを待って、クレアシオン達の所に戻る。


「して、汝はこれを何に使うのじゃ?」

「ん? 最後に全部種明かして驚かせたいから、一応クレアシオン達にも内緒にしておこうかな」

「汝、それはなくないかの?」

「なぁクレアシオン。もう一度聞くが、本当にこの世界はあのプログラムとは別のプログラムが司ってるんだよな?」

「そうじゃが、ちと違うな。正確には、『あのプログラムが作った新たなプログラムが司っておる世界』じゃな」

「それって結局はあのプログラムが司ってるってことじゃないのか?」

「それもちと違う。ここを司っておるプログラムは、あのプログラムが自身を構成しているプログラムを読み込み理解し、新たに創り出した自身よりもパワーアップしたあのプログラムのコピーじゃ。あのプログラム自体があのプログラムだけで機能しておる故に、この世界のプログラムも自立して機能することは可能じゃ。そしてその機能にあのプログラムは必要なく、さらに言えばこのプログラムに、あのいわば劣化版とも言えるあのプログラムが入り込む余地はない。こんな感じかの」

「なるほど」


 全くわからん。つまり、俺達の世界を構築していたプログラムよりこっちのプログラムの方が良いから、俺達の方のプログラムがこの世界のプログラムに干渉することはできない、ってことだろ? 

 そしてこっちのプログラムはちゃんとそれだけで動くことが可能なので、俺達の世界から切り離しても全く問題がない、と。


「クレアシオン達NPCを、全員こっちのプログラムの方に移動することは可能か?」

「可能じゃが、一気にすることは不可能じゃ。それに、こっちの来たNPCは元の世界に戻ることは恐らく不可能じゃ」


 それは恐らく、こっちに来る時にプログラムが適用できるように書き換えられるからだろう。だが記憶などが変わらないのであれば問題ないはずだ。


「じゃあどんどんNPCをこっちの世界に連れてきておいてくれ。家もどんどん建てて、住居を完備させ、土地も広げてくれ。自然環境は全て任せる。ただし、神だけは移動させずに残しておいてくれ」

「了解じゃ」

「了解じゃよ」

「頼んだ」


 これで何とか攻略への準備は大方整ったのではないだろうか。後はどうにか全プレイヤーを同一のギルドに所属させ、神を倒す。それでゲームクリア、このゲームから脱出することができる。

 この最大の問題さえ解決すれば、ゲームクリアまで一直線だ。


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