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Save130 確かに可愛いことは認める

 カムイと共に現れたのは、数人の幼女……小学生たち。恐らくサナの友達だろう。パッと見た感じ種族がそれぞれ均等にばらけている。パーティーを組むのだとしたらバランスのいい編成なのではないだろうか。

 平均的な人間に、物理戦闘能力が高い獣人族。遠距離攻撃や魔法を得意とする森霊族に武器や防具を修復できる地霊族。うん、かなりの良パーティーだ。


「ひさちぶり!」

「久しぶりだな。ちゃんとレベル上げしてるか?」

「うん! パパとやってるよ」

「そうか、偉いぞ~。で、後ろの子達は?」

「おともだち。キラにあいたいっていってたからつれてきちゃった」

「そ、そうか」


 予想はしていたが、本当に的中するとは……できればしてほしくなかった。

 それにカムイ達がこんなに疲弊してるのはなにも強行策だったからというだけではなさそうだな。そりゃこんな子達を守りながらここまで来ればあれだけ疲れるわ。


 だがな。如何に疲弊していようとも目の保養にミライを見つめるのはやめろ。確かに可愛いことは認めるが、そんなにじろじろと見るな。見るならカオリにしろ。カオリだって十分可愛いだろ。ただし三秒だけだが。


「ミライとサクラが見ちゃいけないのに何で私だけ三秒も見ていいのよ?」

「お前いつからそこにいた? 俺のマップに映ってなかったぞ?」

「今来たのよ」

「それはわかったから俺の足を踏んでる足をどかそうな?」


 自然に俺の思考を呼んだカオリが、俺のすぐ近くまで一瞬で近付くと、勢いよく足を踏んできた。少しだけさっきよりも地面が凹んでいるような気がする。ダメージはそれほどでもないんだが、普通に痛い。絶対設定弄って無かったら悶絶してる自信がある。


「カオリおねえちゃん?」

「どうしたの? サナちゃん」


 サナに呼びかけられたカオリは、俺に向けていた責めるような表情を一変させてサナに向き合った。女子って怖い。


「なんか、怖い……」

「仕方ないわよ。ここってものすごく強い魔物が出てくるところだから」

「ううん、ここはこわくないよ。こわいのは、カオリおねえちゃんだよ。おこらないで?」

「そうだぞカオリ。そうやって怒ってばっかりだと将来はげるぞ」

「余計なお世話よ!」


 俺はカオリの将来を慮って言ってあげたのに……。

 それはともかくとして、俺達は早速カムイ達とモミジとシエルのレベル上げをしなければならない。カムイ達の疲労も回復しただろうし、シエルも既に戦う準備は整っているはずだ。モミジはもうレベル上げをサクラと一緒に開始している。


「……そっちいった」

「任せて!」


 サクラが矢を放つことでうまく魔物を牽制し、モミジが倒しやすいように誘導する。そしてモミジはやってきた魔物を仕留める。そうやってこれまでレベル上げをしてきた。

 シエルでも同じようにやっているのだが、何故か毎回攻撃を外す。そして痛めつけられるというパターンまで出来た。


 モミジはサクラに任せておけばいいだろう。問題なのはシエルだが、彼女もミライとカオリが上手く連携してサポートしているので順調にレベルが上がっている。シエルも問題なしっと。

 残ったのは、カムイの方を任せているアンラだが……。


「どんな感じだ?」

「あ、キラ。【始まりの森】の時と同じで安定して戦えてるよ」


 カムイ達の戦い方は、四人程度でパーティーを組んで、一体の魔物を全員で協力して倒すやり方だ。一人だけダントツでレベルが高い奴を入れてのレベリングは、今のところしていない。

 俺達は俺がレベリングしていたので、カムイ達とは逆のレベル上げ方法だ。


「はぁぁぁぁあああああああ!」


 カムイの鋭い斬撃が、魔物を切り裂く。その攻撃が止めになったのか、ポリゴンとなってその魔物は消えていった。

 ふむ、あの攻撃……


「カムイ」

「ん? なんだキラか」

「何だとはなんだ。それよりも、お前。今いくつだ?」

「僕? キラと同い年だよ?」

「そういうことを言ってるんじゃない。今何レベルなのかと聞いてるんだ」


 こいつ、わかってて惚けただろ。


「175だよ」

「なっ!?」


 カムイが口にしたその数字は、ここでレベリングするには圧倒的にレベルが高すぎた。そのレベルだとほとんど経験値は入ってこない。


「カムイ、なぜ黙っていた?」

「だってキラに言うことではないだろう?」

「そうだが、言ってくれればサナたちと【龍神山】に行ってレベル上げしてこいと言ったのに……」

「僕はみんなと一緒にレベル上げをしたいんだ。万が一のことがあった時に、皆を守れるように」

「俺らの内の誰かが付くんだ。万が一は起こらない」


 モミジなどに任せるときもあったが、あれは【始まりの森】という比較的安全な場所だったからだ。【荒れ果て荒野】でレベル上げをしている今、十分すぎるほどに安全には考慮しているはずだ。

 サナたちは俺達に何も言わないで勝手に行くのでフォローのしようがない。いつでも見張ってると言う訳にはいかないし。


「これからは俺達にちゃんとレベルを報告してくれ。そうしてくれないとレベル上げの効率が落ちるだけだ。そうなると【種族転生】も遅れるし、攻略だって遅れる」

「わかってはいるんだけど……」

「それに、一定数適正レベルになったらブルーとレッドの武器を貸し出して【種族転生】させる気なんだ。そうすればもっと大人数でレベル上げができるだろ?」

「……そうだな。悪かった、これからはちゃんと伝えるよ」

「頼む。俺達に何かしてほしかったら言ってくれ」


 さてっと。カムイのレベルが予想以上に高かったので驚いたが、低いよりはましだ。この調子でレベル180台を突破してくれれば、カムイは【種族転生】しても死にはしないだろう。


 全員のレベル上げが一区切りついたころ、空は既に暗くなり掛かっていた。丁度いい時間なので、今日は解散となり、また翌日現地集合でまたレベル上げをすることになった。

 モミジとシエルは上限の20近くまで上げることができたが、カムイ達の方は15もいっていないやつの方が多いらしい。人数が多いので仕方ないとは思うが、もう少しばらけさせた方が良いのだろうか。

 だがばらけさせると何かあった時が怖いからなぁ……。ま、そこはみんなで相談しておこう。


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