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Save12 小鳥の囀り亭

「秘密にしておけよ?」

「秘密にはしますけど、これ私がいる意味ないですよね……」

「何なのよこれ! ……秘密にはするわよ? 女に二言はないわ」

「あぁ、頼むな? それとミライ、俺は剣士でやろうと思ってるからミライは必要だぞ? カオリはともかく」

「え? そうなんですか? よかったぁ……」

「え? ちょっと、私っていらない子なの?」

「いらない子だな。それよりどれくらいレベル上がった?」

「! わ、私! 50近く上がりました!」

「私もそれくらいね」

「結構上がるな」


 確か、15体くらいだったから、結構経験値あったのかな? ……俺? 80以上だよ。ほんっとチートだよな。はははっ。……レベル上げの楽しみがぁ…………

 あ、因みにスキルの方はカンストしました。……新しいの買わないと。


「そろそろ帰ろうぜ。暗くなってきたし」


 【始まりの街】を出たのが午前8時頃。そこから移動に9時間でここに到着したのが午後5時頃。そこから楽しく雑談などしてたから今現在の時刻は午後5時半過ぎ。そろそろ暗くなり始める時間だ。


「そうね。で、どこに泊まる?」

「そうだな……どこがいい?」

「ここから一番近いところでいいわよね」

「なら【ポートタウン】だな」

「わかったわ。……って、着くの深夜じゃない!」

「なら野宿するか?」


 野宿だとしても、俺テント持ってないから全員寝袋……いや俺寝袋一つしか持ってねぇや。どのみち俺は地面で寝ることになるのかなぁ。


「……そうする?」

「どっちでもいいぞ?」

「なら野宿にしましょう。歩きたくないし」

「あ、俺【転移(テレポート)】使えたわ」


 今更だけど【賢者】のお陰で魔法全部使えること忘れてたわ。


「何で使えるのよ……ま、いいわ。それなら早く行きましょ?」

「そうだな。なら俺のどこかに触れてくれ」

「わかったわ。……ほら、ミライも早く」

「え、えっと……」

「ん? どうした?」


 カオリが俺の手を握り、ミライを急かす。何故手を握るんですかねぇ? 服とかで良くない? 男の手を握るのに抵抗無いの? ゲームだからなのかもしれないけど。

 カオリに急かされたミライは、何故か下を向き、固く両手を繋いでいた。


「あの、もう落ちちゃうんですか……?」

「あー、いや、俺はもう落ちないぞ」

「わたしも落ちないわよ」

「え? な、なんでですか?」

「え、だって、ミライ一人になっちゃうだろ。昨日は1人にしちゃったけどもう一人にしないからな」

「キラ君……」


 上目遣い気味に俺の事を見られ、自分で言ったことの気恥ずかしさとも相俟ってミライを直視できずに視線を逸らす。


「それにすぐにログアウト不可になるだろうし、こっちの生活にも慣れないとね」

「………………カオリ」

「何よ今の間は」


 多分、多分だけど、俺と二人きりの方が良かったんじゃないか? 多分だけど。ってかヤバいな。どんどん魔物が集まってきてる。


「早く帰るぞ。だんだん魔物が集まってきてる」

「そうね。早く帰りましょ。ほらミライも早く」

「はい!」

「よーしそれじゃあ! ■■◆▲●▲◆●●▲───【転移(テレポート)】!」


 魔法名を言った次の瞬間、俺の足元に純白の魔法陣が出てきた。それは次第に大きくなり、直径1メートルほどになると足から脛へ、脛から太ももへとどんどん上がってきた。……演出だけど。そして、ついに顔もすべて飲み込まれ、視界が暗転した。


 ……詠唱は本来必要ないけど気分で言ってみた。


 視界が元に戻ると、【ポートタウン】の転移水晶前広場の転移水晶の前に居た。ここに来ているプレイヤーは居ないので、宿はどこも空いている。日が暮れ始め、空が綺麗な茜色に染まっていた。

 さて、ここはご飯を先にするべきか、宿を取るのを先にすべきか。しかしこれは俺一人で決めていい事ではないので、二人のも聞いてみる。


「なぁ、宿と飯、どっち先がいい?」

「う~ん。正直言うとこのゲームってご飯いらないですよね。だから宿が先でいいと思います」

「私もそれに賛成よ」


 このゲーム、空腹パラメーターと言うものがない。しかし、スキルに【料理】はある。何故か? それは料理を食べることによって一時的にバフを付けることができるからである。それが目当てで【料理】スキルを手に入れるプレイヤーもいるとか。……俺ですね。


「じゃ、どこの宿にする? 決めといてくれ」

「キラは決めないの?」

「ん? どこでもいいし。でも、あんまり高いところはダメだぞ?」

「そんなのわかってるって~」

「んじゃ、頼んだ」

「任せてちょうだい」


 宿選びを二人に任せて、俺は何をしようかな~。……何もすることなくね? あ~暇だ~。


「キラ! 決まったわ!」

「お、どこにするんだ?」

「ここです!」

「【小鳥の囀り亭】か」

「はい! 名前で決めました」

「何と適当な……」

「でもでも、それだけじゃないんです! なんとここ、お風呂があるんですよ!」

「へぇ~お風呂か……」

「あぁ、早く入りたいなぁ」

「よしっ! じゃあ早速行きますか! 【小鳥の囀り亭】!」

「「おー!」」



「んで、着いたけど……」

「これはねー」

「す、すごく、大きい、です……」


 【小鳥の囀り亭】はヤバかった。うん。ヤバかった。ぼろいとかじゃなくて、メッチャ豪華だった。まだ外見しか見てないけど、周りの建物の2,3倍はある。……お金足りるかな? 


「と、とりあえず入ろう」

「そうね」

「そうだね」


 うん。そうだよね。そりゃそこが豪華なんだもん中も当然の如く豪華だよね。


「ね、ねぇ、ここ泊まれるの?」

「私、お金持ってないよ……」

「ちょ、ちょっと待ってろ」


 俺も宿泊料金が心配だったので女将と思われるNPCに話しかける。


「あの、すみません。ここに一泊したいんですけど一人いくらですか?」

「何人で泊まるんだい?」

「あ、えっと、三人です」

「三人だね。えーと。一人部屋が15,000G、二人部屋が20,000G、三人部屋が30000Gだよ」

「ありがとうございます」


 俺は女将さんにお礼を言い、二人のところまで戻る。にしても一人部屋で15,000Gか……高いなぁ。俺が昨日まで泊ってた宿屋一泊一人1000Gとちょっとだったぞ? 払えなくはないけどさ……。

 これ、二人は払えるのかな?……最悪俺が払えばいいか。


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