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Save122 久しぶりに出てきた脳内アナウンス

 【名もなき平原】へと【転移】してきた俺は、頭を悩ませていた。


「どうやって世界神にコンタクトを取ろう……」


 龍神やクレアシオンは、頂上に行ったりダンジョンの最奥に行くことで会うことができたけど、世界神はどうすれば良いのかさっぱりわからん。

 山はないしダンジョンもない。ただただ自然豊かな緑の芝生が続いているだけだ。


「そんなところで何をしておるのだ若人よ」


 その声は、俺の後ろから掛けられた。

 嘘、だろ……? 一瞬前まで、というか今もマップに映ってないぞ、こいつ。

 すさまじいプレッシャーを感じながら振り向くと、そこには。


「わしに何か用か」


 木でできた杖を持ち、顎に長い白色のひげを生やした好々爺という風貌の、一人の男性が立っていた。

 間違いない。こいつが世界神だ。クレアシオンが言っていた通り、放たれる圧が、クレアシオンとは段違いに強い。

 だが、勝てない訳じゃない。


「ちょっとお願いがあって」

「ふむ。言ってみるがいい」


 強張る口を強引にこじ開け、声を絞り出し用件を簡潔に言うと、今までがまるで嘘だったかのように圧が消えた。

 目の前にはニコニコとした優しい印象を受ける好々爺の姿のみ。マジかよ強すぎだろこのじーちゃん。

 とにかく、俺は用件を伝えなければならない。


「クレアシオン──創造神と協力して、ハード操作プログラムとやらに介入してくれないか」

「わかった。協力しよう」

「やっぱり戦うことに──え、いいの?」


 まさかの即答に、惚けた声を出してしまう。恐らく顔もとても面白いことになっているだろう。


「勿論だとも。そもそもわしでは君には勝てんよ」

「は、はぁ……」

「君の力はErrorだからのぅ」


 待ってそれってこの世界神他人のステータス見れるの?


「だがのう……創造神はわしの力を見積もりすぎだな。君、この世界にはどんな神がいるか知っているかね?」

「あ、俺はキラ。えっと確か……龍神、創造神、世界神、魔神、悪神、戦神、神帝の七柱だったはず」

「そうだ」


 このうち、俺は三柱の神と接触している。そして、俺が目をつけている神が、神帝。恐らくこいつが、全ての元凶。

 世界神の話は、まだ続くようだ。


「そして、この七柱の神にも、大きく分けて三つの階級がある。まずは普通神。これは龍神、魔神、悪神が該当する。その上の階級として上級神。創造神、戦神、世界神がこの階級の神だ。そして最後に、唯一無二の神、唯一神として存在する、神帝。これが、神の階級だ」


 つまり、俺の読みは当たっている可能性が高いってことか。

 神帝。つまりはゲームマスターを意味するであろうその言葉から察するにつまり……神帝はNPCではない可能性の方が高い。


「もし、キラが望むハード操作プログラムへの介入をしたいのなら、神帝以外の全ての神に力を借りる必要があるだろう」

「全ての神の力……」

「少なくとも上級神は揃わないと厳しいだろうな」


 なるほど。だからこの後戦神の所に行け、と。そう言うことか。


「戦神の事だ。必ずと言っていいほど高確率で戦うことになるだろう。十分に準備し、いかなる時にも対応できるように行動せよ。油断するのではないぞ。それほど、キラがしようとしていることは至難だ」

「ああ、わかってる」


 なんせ相手はゲームマスターだ。どんなチートがあるか想像もつかない。いや、想像以上のチートを使うという想像はしているな。だから俺と同じ土俵にまで引きずり落とすことができたら、ワンチャンあると思ってる。

 俺は世界神に別れを告げ、【始まりの街】へと【転移】した。


 家に帰ると、やっぱりというかほとんど誰もいなかった。いるのはブルーとレッドだけ。俺もカムイの所に行こうかな。

 べ、別に、ミライ達がどうやってカムイ達のレベル上げをしてるのかが気になるだけで、ミライ達に会いたいとかそういうことじゃないんだからねっ!

 というか、そろそろ本格的にモミジを戦力として数えられるようにしないとな。目下の目標は【種族転生】ってことで。


「なぁ、今日はどこでやってるか知ってるか?」

「「今日も【始まりの森】でやるって言ってました」」


 俺への対応が日々冷たくなっていってると感じる今日この頃……。気にしないけどね! キラ強い子っ!……うぅ……。

 水も滴るいい男こと俺、キラは、目尻から滴る水滴を拭いつつ、徒歩で【始まりの森】へと向かった。


 【始まりの草原】に足を踏み入れた俺は、そのあまりの変わりように驚いた。


「地面が、見える……」


 俺が初めてこの場所に来たときは、プレイヤーで埋まって見えなかったからなぁ……感激。

 サクッとスライムやゴブリン、ハピナスボアを倒して【始まりの森】に向かう。

 周りではちらほらと、プレイヤー以外の冒険者の姿も見受けられた。プレイヤーが冒険者ギルドでNPC冒険者をスカウトしたのかな。


 と、観察しながらゆっくり歩いていると、ハピナスボアに突進され、宙に投げ飛ばされた冒険者が目に映った。目測だが、丁度落ちるところにハピナスボアが待ち構えている。

 久しぶりに【完璧鑑定】を使ってHPを見てみると、レッドゾーンに入っていてあと一発受けると終わりだろうなと思った。


 そこからは速かった。大地を踏み砕かんばかりの力で一歩を踏み出し、一気に加速。その冒険者目掛けてジャンプし抱きかかえながらハピナスボアの上に着地し爆散させる。我ながらスマートに出来たと思う。


「あ、ありがとうございます……」


〈女性冒険者NPCの好感度が上がりました。〉

〈スキル【NPCからの好感度上昇確率アップ】を自動取得しました。〉


 おい久しぶりに出てきた脳内アナウンス。何報告してくれてんだ。そんなスキルいらねぇよ。


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