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Save120 ミライさんマジ最強

 俺がサナたちが手加減していると気付いたのは、攻撃が始まってすぐだった。サクラの攻撃に対する動きが、どう考えてもレベルと釣り合っていないほど遅かった。

 もう一つ理由があるけど、それは別に言わなくても良い事だから省略する。


「ほんきだす?」

「……出し惜しみしても仕方ない。サナ、行くぞ!」

「うん!」


 どうやら本気を出すらしい。


「「【制限(リミッター)超越(オーバー)】!」」


 へぇ……。流石にこれは手加減したらヤバそうだな。

 それを感じ取ったのかカオリとサクラの表情が、より一層深まった。


「俺も得意なやつで行くぜ! もう魔法なんて使わねぇ!」


 そうドーターが叫ぶと、彼は手に持っていた杖を放り投げ、新しく一振りの剣を取り出した。ドーターは前衛職だったか……。

 あれ、でも魔法も使えるってことは【魔法剣士】になれるはずなのに、なんでなってないんだろう。


 もし【魔法剣士】系の職があるなら、威力は下がるが杖でも相手を切りつけることはできる。それを剣にしたら魔法の威力が落ちることは前にも説明したと思う。

 魔法は使わない宣言をしたということは、本当に【魔法剣士】系職を取っていないか、ただのブラフということになる。

 果たしてどっちだろうか。


『カオリ、サクラ。気を付けろよ』

『わかってるわよ』

『……だいじょう、ぶ』


 一応カオリとサクラに注意を促しておき、それから一拍後、勝負は再開された。


「おるぁぁぁぁああああああ!」


 ドーターの動きが格段に上がり、鋭い剣戟が、カオリの胸や腹、足を狙う。

 それに対しカオリは攻撃を捌くことしかできていない。それほどドーターの攻撃速度が速いのだ。

 今の攻防を、レベル一桁の者に見せたら、何が行われているかわからないだろう。正直ドーターがここまで素早い攻撃を仕掛けられているとこに驚きだ。


 カオリは、この攻撃よりももっと早い俺の攻撃を捌くことができるので、ダメージを食らうことはないかもしれないが、絶対ということはないので油断はできない。


「はぁぁぁぁぁああああああ!」


 サナも、ドーターと同じく凄まじい攻撃を仕掛けている。

 サクラから放たれる矢を切り伏せ、瞬く間にサクラとの距離を詰めた。後衛職であるサクラには弓で攻撃できないのでキツイ距離だろう。


 それでも何とか弓を使って攻撃を凌いでいる。これも俺との模擬戦のお陰と言っても過言ではない。まぁ、最高難易度だったのがサクラ対俺達全員という鬼畜ゲーだったから、それを考えると凌げているのも納得かな。


「ね、キラ。この動きさ、可笑しくない?」

「ああ、攻撃の仕方も速さに任せているだけで倒そうとは思っていないように感じる」

「え、それってどういうことですか?」

「普通に考えるとカオリたちを自分たちに都合がいいところに誘導している、ってことだけど、たまたまということもあり得る。どちらだ?」


 攻撃速度に任せた攻撃だけでなく、動きも所々不自然な所があるので、何かを狙っているという可能性の方が高いな。

 だけど、一体何を狙って……?

 と、俺達が悩んでいると、カオリとサクラが背中合わせになるようにぶつかった。


「……カオリ」

「私なら大丈夫よサクラ。あなたは?」

「……よゆー」


 そんな会話してる暇があるなら攻撃仕掛けろよ。

 ……二人の攻撃が止まった? 絶好の攻撃チャンスなのに?……まさか。いや、そんな……マジであれ使えるプレイヤーいるのか?


「「【合わせ鏡】」」


 俺が予期したと同時、その武技が使用された。

 【合わせ鏡】。種類は問わないが、同じ武技を持ったプレイヤー同士で、同じ武技を使うと使用可能になる武技だ。

 一見簡単そうに見えるこの武技だが、ある条件のせいで使えるプレイヤーを俺は知らなかった。


 その条件というのが、名前からもわかる通り、鏡のように全く同じ動きをすること。

 この条件のせいでこれを使えるプレイヤーは居ないと思っていたんだが。俺達はなんかミライが勝手に合わせてきて一発で使えるようになったけど。ミライさんマジ最強。


 そして、合わせ鏡に使った武技は【居合】らしい。これまた面倒な武技を……。


「今!」

「……んっ!」


 しかし、今更【居合】がカオリたちに通ずるわけもなく、ギリギリまで近づかせてから、上へ跳んだ。

 すると、ドーターはサナを、サナはドーターを攻撃した。


「ごめんよぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 うるさいよドーター。

 シュタっと着地した二人は、ゆっくりと二人に近付くと、無慈悲に宣言した。


「これからは私達の独擅場だから。もう勝敗は決しているけど、逃げたいなら、戦いたいなら、好きにして頂戴」

「……シュパ」


 謎の掛け声と共に、サクラが矢を放つ。その掛け声気に入ったのかな。

 その矢をかろうじて捌いた二人だったが、結局攻め手になることができずにHPを尽かせた。


 因みにカオリとサクラも攻撃しているときに全くダメージが入らなかった訳ではなく、カオリなんかは手痛い反撃を食らったりしていたので、残りHPかなりヤバかったりする。


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