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Save11 わからなくはないけど

「レベル上げの場所は、【龍神山】の麓の【荒れ果て荒野】にしようかと思ってる」

「ちょ、そこって結構危険なところじゃない。私たちを殺す気?」

「殺すわけないだろ。大丈夫、俺が守るから」

「不安ね……」

「わ、私は! キラ君を信じます!」

「よし、ならミライだけ連れていくか」

「え? 待って! 私も行くわ!」

「無理しなくてもいいんだぞ?」

「行くったら行くの!」

「わかった、わかった。だから首を絞めるのはやめて」

「あ、ごめん」

「よし、なら行くか!」




 【荒れ果て荒野】。そこはこのゲーム七大危険地域に指定されている【龍神山】の麓に位置する。【始まりの街】からは乗合馬車と呼ばれる馬車で3時間ほど揺られ、港町【ポートタウン】まで行き、そこから船で隣の大陸まで行く。そこからは徒歩で6時間ほど。


 尚、マップで見ると、現実ならば1ヶ月ほどかかる距離だ。このゲームではフィールドをエリア分けしていて、エリアを移動するときに軽くワープをしているため、かなり早く着く。

 しかし、ワープの長さは限界があるのでワープをしてもかなり時間がかかる。 


 閑話休題(それはともかく)

【荒れ果て荒野】は【龍神山】の麓にあるが故に、強力な魔物が現れる。


 例えばサラマンダー。火を司り炎を操るとされるトカゲ型の魔物。その灼熱の炎の色をした鱗は絶対に燃えないと言われている。

 他にも、水を司り大量の水を生み出し操るとされている魔物、ウンディーネ。電気を司り雷を操るとされている魔物、ヴォルト。風を司り暴風を操るとされている魔物、シルフなど。まだまだたくさんいる。月を司る魔物、光を司る魔物、闇を司る魔物、氷、山、谷、草原、泉……と、留まるところを知らない。


 此処では関係ないが、【龍神山】ではどんな魔物が出てくるのか。それは……1体だけ教えよう。

 イフリート。炎を司り爆炎を無数に生み出し、操るとされている魔物。サラマンダーを配下に持っている。その強さは、一息で草原を焼け野原にし、海を一瞬で蒸発させる。そんな魔物が複数体、この【龍神山】にはいる。


 っと、また話が逸れてしまった。つまり、ここはレベルが一桁台のやつが来たらすぐにゲームオーバーになるということ。それがレベル20であっても、だ。

 しかし、今回に限ってはそんなことはない。チートキャラ──俺がいるからだ。9000以上のステータスを持っている俺がいるのだから、そうそう死なないと思う。【武神】と【賢者】もあるし。


 ……万が一、と言うか、ほぼ確実にばれると思うが俺の能力がバレてもこの二人なら大丈夫だろうと思った。本当は隠しておきたいが、ミライがログアウトできない状況で隠し事をしておくよりも、俺が強い事を伝えて安心してもらった方が良いと思ったのだ。

 カオリも知らない仲ではないし、他のゲームでも一緒に遊んだりするゲーム仲間なので信頼している。


 最初はパワーレベリングだが、そのうち自分でも倒せるようになるだろう。……なってもらわないと困る。


「ここが【荒れ果て荒野】か……」


 俺がしんみり呟くと、それに続いてミライとカオリも呟いた。


「強そうな魔物しかいないですね……」

「本当に。幾つ命があっても足りなさそうね、ここ」

「ま、大丈夫だろ」

「余裕そうね」

「まぁな」

「頼りにしてますからね、キラ君」

「任せとけ。何があってもミライだけは絶対に助ける」


 ミライから頼りにしてますと言われたので、必ず、絶対、何があってもミライだけは助けよう。


「ちょ、私は!?」


 ……仕方がないのでカオリも追加で。


「ねぇ、なんでそんなイヤそうな顔してんの? ねぇ、なんで?」

「……」

「無言はやめてぇ!」


 さて、そろそろおふざけはやめて気を引き締めないと。


「ねぇ! ねぇ! 聞いてるの!?」

「はいはい、聞いてる聞いてる」

「嘘よね!?」

「そんなことより集中しろ。周り魔物だらけだぞ?」

「え!?」


 カオリが騒いでいる間に、遠くの方に見えていた魔物が俺達を取り囲んでいた。


「気づかなかったんですか?」

「気づかなかった……。あれ? でもどうして襲ってこないの?」

「それはキラ君が牽制してるからですよ」

「え?」


 そう言われて初めて気が付いたようだ。因みに俺が何をしていたかと言うと、【賢者】で使えるようになっている、PP(プレイヤーポイント)50000程で買える【無詠唱】を使い【聖属性上級魔法・聖域(サンクチュアリエリア)】で俺達を中心に半径5m内に魔物を入れなくさせたのだ。

 この魔法は、展開する範囲と時間によって消費する魔力が変わる。俺の場合、【賢者】で凄く少なくなっているが。


「さてと。とりあえず、パーティー組もうぜ?」

「あ、そういえばまだしてなかったわね」

「そうですね。早く組みましょう」

「わかった。……ほら、送ったぞ」

「あ、来た来た。……了承っと」

「来ました!……勿論、了承です!」


 素早くパーティー申請をミライとカオリに送り、すぐに了承された旨のウィンドウが表示された。

 ちなみにアンラともパーティは組んでいる。最大三つまで掛け持ち可能なのだ。ただし判定範囲内で最も近くにいるプレイヤーのパーティとして認識される。

 つまり複数のパーティを使ってレベリングはできないということだ。


「んじゃ、ちょっと約束事が一つ。ここで見たことは絶対に、何があっても内緒にすること。いいな?」

「? 別にいいですよ?」

「別にいいわよ?」

「よし。言質取ったからな? ……大きな声出すなよ。●●■■──【水球幕(フルウォーターボール)】」


 俺が魔法を唱えると、俺達の周囲に数十の水球が出現し、一斉に魔物に向かって飛んでいった。

 飛んでいった水球は魔物に当たると当たった魔物を巻き添えに爆発した。


「「な、なにこれー!?」」


 【水属性中級魔法・水球幕】。【水属性初級魔法・水球(ウォーターボール)】を弾幕上に放射する魔法だ。その飛び散る方向は決められる。今回は全方位に打ってみた。威力は過剰なほど。

 

 二人は途轍もない威力の魔法を見て、呆気にとられていた。まぁ、わからなくはないけど。


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