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Save115 いただきます

 寒さに身を震わせながら起きた翌朝。何故か掛布団を全てカオリに取られてました。ミライとサクラは気持ちよさそうに寝てるし。

 暖炉の火はまだついている。俺は暖炉のそばまで近づくと、その熱気に頬を緩めた。温かい……


「おはようございます」

「おはようミカエル、ウリエル、ラファエル、ガブリエル。薪の補充ありがとうな」


 一晩中交代で薪を追加してくれていた熾天使たちに、お礼を言う。


「とりあえずこいつら起こす前に朝ご飯作るか」

「お手伝いします」

「頼む。ウリエルたちは……まぁ、好きにしててくれ」


 ミカエルが俺の手伝いを申し出てきてくれたので了承し、他の熾天使たちには自由にしててくれと言う。


 今日の朝食はどうしようか。いつもはミライとかサクラとアンラが作ってたから、俺が料理をするなんて久しぶりだ。スキルのレベルも既に追いつかれてるだろう。


 今日は簡単にフレンチトーストとスクランブルエッグにサラダ。それとコーンクリームスープでいいか。

 【オーネスト】には固いパンしかないので、そのままとかトーストにしてしまうと凄く食べずらい。なので卵で出来た液体にパンを浸してから焼くフレンチトーストが一番食べやすい。


 因みにいつもの朝食は他の街で買った高級パンだ。高級と言っても現代日本で食べられるパンより品質は低い。が、柔らかい。

 さささっと固いパンをブルーとレッドが鍛えた【凄い切れ味の包丁】で【居合】を使って分厚くスライスし、ミカエルが作ってくれていたアパレイユに浸す。アパレイユとは卵液の事で、アイテム名を見て初めて名前を知った。


 浸すのをミカエルに任せ、俺はコーンクリームスープ作りに移行する。粉末があればいいのだが、当然あるわけがないので一から作ることになる。

 コーンはいつの間にか庭の片隅に作られていた畑で取れたものだ。誰が畑を作ったのだろうか。


 他にもたくさんの種類の野菜があったので、冷蔵庫(キッチン設備は完璧に近いほど整っている)の中にはかなりの種類の野菜で埋め尽くされていたりする。

 まずバターを溶かしたフライパンで薄く切った玉ねぎを炒め、炒め終わったらコーンと共にミキサーへ入れる。ペースト状になったら鍋に入れ替えて色々入れる。

 で一煮立ちさせたら完成! 多少おかしくてもそこはAIが補正してくれるから大丈夫!


 フレンチトーストの方はバターを溶かしたフライパンでこんがりとした焼き目がつくまで焼いて、人数分できたら完成。

 スクランブルエッグはバターを溶かしたフライパンに溶いた卵を流し込んでパパっと菜箸でかき回せば完成。サラダは野菜を切って盛り付けただけのお手軽料理。

 それらをテーブルに運び、並べる。すると湯気が香り運ぶおいしそうな朝食の完成!


「ミカエル、みんなを起こしてくてくれ」

「はい」


 ミカエルに皆を起こしに行かせ、俺はコップに牛乳を注いで置いていく。


「キラ君おはようございます……」

「き、キラ、おはよう……」

「……おは」

「おっはよ~!」

「「おはようございます!」」

「おはようございます」


 少し眠そうなミライと、ほんのりと頬を赤く染めたカオリ、いつもと変わらないせいでまだ眠いのかわからない半目のサクラ、朝から元気なアンラ、すっきり目覚めたのであろうブルーとレッド、ぺたんと耳が折れた状態のモミジが挨拶をしてくる。


「ああ、おはよう。さ、早くご飯食べろ。今日は引っ越しだぞ」


 それに返事をし、朝食を促す。各々が席に座り、胸の前で手を合わせる。


「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」




 朝食が食べ終わると、リビングにて今日の予定を伝える。


「さっき言ったように、今日は引っ越しだ。場所は【始まりの街】のどこかだ。何か質問は?」

「どこかってどこ?」

「まだ決まってない。見に行ったところでもいいが、他の土地でも構わない。他に質問は?」


 候補地として見に行ったところでもいいけど、【始まりの街】は広いから他の所もいいと思うんだよね。


「……ないな。じゃ、【始まりの街】に行きますか!」


 あ、説明してなかったかもしれないから一応言っておこう。もし説明してたら読み飛ばしていいよ。

 プレイヤーが寝泊まりできる場所には、基本的には三種類ある。


 一つ目は、屋外。これは説明するまでもないよな。外のどこでも寝れるってことだ。

 二つ目は、設置型建造物内。これは野宿する時のテントなどが該当するな。これらは簡単に言うと、その建造物を他の場所に移動できるタイプの建物だ。

 三つ目は、建設型建造物内。これは宿やギルドハウスがそれだろう。一度建てたものはずっとそこに立ったままの建物だ。


 で、俺達のこの家は、なんと二つ目に該当するのだ。まぁ、クレアシオンからアイテムとしてもらってるからな。テントのようなものだ。こんなテントがあったら誰でも否定するだろうけど。なんだよ。畑があるテントって。豪邸だろ、それ。


 あ、補足すると、一つ目以外は別ディメンション扱いなので中にいる限り外からの攻撃は一切受けない。

 だが、二つ目に関しては建物の耐久値が無くなると強制的に戻されるので、夜などは見張りが必要だ。魔物に攻撃されるからな。ま、俺達のは防衛設備がえげつないうえに耐久値が馬鹿みたいに多いから壊れないんだけども。


「それと引っ越しが終わったらやりたいことあるから皆は好きにしてくれて構わない。できれば俺に着いて来て欲しいが」


 最後に追加の予定を言って、俺達は行動に移した。


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