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Save114 チェックメイトだ

 なんかもうカオスになってる。

 一行目から何言ってんだって感じになってそうだけど本当の事だから仕方ない。

 全員がNPCを出したせいで俺は全方位を囲まれている。一斉に攻撃されたらひとたまりもないだろう。


「ま、数が多いだけなら楽勝なんだけどね」


 数が多い事はたいして問題でもない。問題なのは、倒してはいけないと言うところにある。

 NPCが倒された場合、魔物と同じく爆散し二度と戻ってこない。つまり、一人のプレイヤーであると言えよう。


 そんなNPCが、現在総勢30体以上も俺を包囲していらっしゃる。人型だけでなく動物や神獣などもいるのでそれなりの数になる。

 さて、どうしたもんかね。ミライ達をすぐに倒すのが簡単な方法だが、絶対に壁になってくる。

 ……いや嘘。倒すだけなら普通に出来る。防御張ればいいだけだし。でもそれだとあまりにもつまらなすぎるので却下。


「ゼウス、【万雷】!」


 初めにカオリがゼウスに指示を出し、それに反応して二体のゼウスが恐らく魔法であろう攻撃を仕掛けてくる。

 それは、文字通り万雷で。天から垂れ下がるカーテンのように迫ってきた。俺を挟むようにして。

 普通に考えて回避は不可能だ。全体攻撃だし、逃げる場所ないしな。


「──【神護(ゴッドプロテクション)】」


 防御障壁を展開し、攻撃を防ぐ。が、すぐさま怒涛の攻撃が開始される。

 いくら【賢者】のお陰で耐久度が上がっているとはいえ、流石にこれほどの攻撃の嵐は防ぎきれないのか所々ひびが入ってくる。


 ミライは天照大御神(アマテラス)伊弉冉(イザナミ)に遠距離から俺を燃やし尽くすように指示を出し、サクラは接近して俺を細切れなりミンチなりにしろと命令している。

 やばい、こいつらガチで殺しに来てるように見えてきたぞ。カオリはいつまで【万雷】使い続けさせるの?

 てか今更だけどフレンドリーファイアは無い設定なのね。


「──【銀世界(シルバーワールド)】」


 俺が魔法名を一言呟くと、今までの攻撃が嘘だったかのようにぴたりと止んだ。

 【風属性最上級魔法・吹雪(ブリザード)+土属性最上級魔法・永久凍土(パーマフロスト) 最上級合成魔法・銀世界(シルバーワールド)】。あたり一面を純白の雪で包み込み、吹雪が晴れるとそこには何物も動けない世界が広がっている。

 攻撃魔法なのでダメージはあるが、この魔法の使用用途は集団の足を止める役割なのでダメージは少ない。


 が、勿論寒いわけなので炎系のNPCは既にHP半分切ってたりする。

 さらにこの凍結状態は、体が拘束されているのではなく状態異常として付与されている為、一度付与されれば一定時間動けなくなる。


「さ、チェックメイトだ」




「むぅ~ひどいですよ~あんな魔法使うなんて」

「ごめんて」


 闘技場から戻り、今は寒い寒いとうるさいカオリとアンラの要望で暖炉を焚いている。

 それを遠目で見ながら実は五メートルも離れていない所でミライは俺で暖を取っていた。俺は暖炉じゃないよ?

 サクラはどこからか薄い毛布を取り出してきて俺の膝の上で丸まって寝ている。猫か。


「「ただいま!」」


 お、ブルー達が帰ってきたみたいだ。俺は起こさないようにサクラを抱き留め、ソファーに横にさせた。ついでに体を温めていた。誰でも使える【(ヒート)】という魔法だ。その名の通り体を温める。


「どうだった?」

「「特にありませんでした。あ、でもオークの集団が深部の方から来ました」」

「わかった。明日も頼む、と言いたいところだが明日はおやすみにしよう」

「「何故ですか?」」

「引っ越すからだよ」


 どこに引っ越すかが決まったので、ブルー達に教えておく。

 もしかしたらお昼ごろから訓練できるかもしれないけど、ちょっとしたいことがあるからどっちにしろ明日は訓練なしだな。


 今日はもうこれくらいにして、この後は楽しく遊んで終了した。

 意外にもブルーとレッドが一番ババ抜きが上手かった。頭脳戦である将棋やチェス、リバーシはサクラがこの中では一番強いかもしれない。


 カオリは運が勝敗を左右する人生遊戯とか。ミライはどれも下手ではないがうまくはない感じ。

 アンラは格ゲーが得意だ。ゲームの中のゲーム機でゲームをするってなんか不思議な感じがするよな。

 俺? 全部二位だけど? 全部強いのにそれよりも上の人がいるから反応に困る立場の人だけど?


 それと、今日は暖炉を焚きっぱなしにすると言ったら全員がリビングで寝ると言い出した。

 薪の補充はNPCを何体か出して交代でさせればいいから大丈夫だけど、皆で寝れるほど温まらないと思うけどなぁ。絶対一番遠い人寒いぞ。


 俺? 勿論リビングで寝たよ? だってミライとサクラに引き留められたんだもん。それなのにあの二人は俺を一番遠くに突き放して温かいけれども熱くない丁度いい場所を見つけて寝やがった。

 ふてくされた俺はカオリを抱き枕兼湯たんぽとして抱きしめながら寝ました。


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