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Save111 キラって実は

 翌日、俺達は昨日と同じく分かれて行動する。ただし、今日はカムイ達の方をブルー達二人だけで担当してもらうことにした。

 理由は、家を設置する場所を見に行くためだ。ミライ達の意見は取り入れたい俺は、必ず三人を連れて行き、自宅兼ギルドハウスであるためギルド長のアンラにも着いて来てもらう。


 よって、鍛冶ができればどこでもいいというブルー達には、カムイ達の訓練を見守る者として今日は働いてもらうつもりだ。

 そして、肝心の家の方だが、昨夜サクラに頭を撫でられながらいくつか候補地を選別しておいたので実は大体決まってたりする。


「まず二人を送ってくるからその間に準備しとけよ」

「わかってるって~」


 パパっとカムイのギルドハウスまで二人を送り、軽くカムイと話してから帰る。早く【オーネスト】まで来て欲しいものだ。

 帰ってきた俺は、ミライ達を連れて【荒れ果て荒野】まで移動し、モミジのレベル上げ。帰ったら新しくできた闘技場で訓練しようと心に決めながら最初の候補地へ移動する。




「ここなの?」

「あぁ、まず最初の候補地は、ここ【レーム】だ。簡単に言うとゲーム最終盤の街だな」

「それって危なくない? 大丈夫なの?」

「キラ君がクレアシオンに創ってもらった家は最強なので大丈夫です」

「それにNPCもいるしね」

「……いざとなたら……メッセ送れば……キラ来る」

「本当に安全だね……態々引っ越す必要がないくらいに」

「元所属ギルドとは大違いの安全性です! でもあっちの方がボクは好きです」

「いつか帰れるから今は辛抱な。お前の方が早くレベル上がってるんだから最高まで強くなったら今度はお前がカムイ達を強くするんだぞ」


 【レーム】はゲーム最終盤の街と言ったが、半分嘘だ。

 まぁ、このゲームにストーリーがない時点でクリアというものが無いのが察せるので、最終盤がどこを指すのかわからないからだな。

 だが、最後に解放される街なので最終盤というのも嘘ではないと思う。


 この街にはそれほど人がいない。近くに【魔境】と呼ばれる大森林があるから。なんでも、一足踏み込めば凶悪な魔物がうじゃうじゃと集団で襲い掛かってくるのだそうだ。

 さて、ここで何か察したことはないか? 魔境、凶悪な魔物……そう、魔王だ。この森林の奥には魔王城がある。そして俺は魔王を倒すことが魔神へと挑む何らかのキーであると思っている。

 何故か? ふっ……


「勘だ!」

「う~わ言い切っちゃったよこのだにぃ」

「人をダニみたいに言うなよ我が妹」

「ありえなくはないですが勘が理由ですか」

「もし魔王を倒して本当に行けたらどうするつもりだったのよ?」

「……()す?」

「流れに身を任す」

「つまり行き当たりばったりってことね」


 いや別に今更魔神とかどうでもいいし。てか魔王すら倒す気ないし。


「で、どうするんだ? ここは」

「う~ん、どうしようかな~」

「次行くか?」

「そうしようか。とりあえず保留で」

「りょーかい」


 次の候補地はここだ!


「なに、ここ……」

「見ての通り草原だが?」

「いやそれもあるけど。ここ街でもないじゃん」

「もっと詳しく言うと、ここはマップにも載ってない」

「え」


 ここは【名もなき草原】。たまたま俺が見つけた場所だ。特筆すべき場所がない。


「それと多分この近くに世界神いるぞ」

「え」

「え」

「え」

「……ぇ」

「え、ぇぇぇえええええ!?」


 おう、一人うるさい奴がいるぞ。

 世界神がいるかもしれない、というのも俺の勘だが、マップにすら載っていない場所があるとしたら、新しく造られたかマップから排除されたかのどちらかだろうけど、恐らく創られたんじゃないかなって思う。

 それで、そんなことができるのは創造神のクレアシオンの他にもう一柱。世界神だけ、って訳。

 これは結構説得力があると思うぞ。


「次行こ、次」

「なんで」

「ここ何もないじゃん」

「その代わり何してもいいんだぞ?」

「じゃー保留で」

「へいへい」


 ここも保留となり、次の候補地へ向かう。

 そして、その候補地というのが、


「次行こー」

「ちょなんで?」

「だってここヤダもん!」

「なにが……ってアンラって確か怖いの嫌いだっけ」


 【恐怖の森】。ゴースト系の魔物が出る森で、四六時中森の中は闇の閉ざされていて、空、陸、地中とどこから魔物に襲われるのかわからないと言う恐怖もある。勿論普通に怖い。

 そんな森の近くにある寂れた町、【アブケドマ】の一角が、候補地だ。まぁ、ここはアンラが怖がってるから却下だな。


「き、キラ……一応聞いておきたいんだけど、ここって何かいるの?」

「悪神がいると思うぞ」

「……キラさ、神様がいるところの近くに住もうと思ってない?」

「な、ナンノコトカナー」

「あのねミライさん。キラって実は、虫が……」

「さぁ次行こうか!」


 強制的に転移して、最期の候補地に移動した。その最後の候補地というのは……


「【始まりの街】? なんでここなの?」


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