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Save107 キラ馬鹿なの?

 ブルーとレッドが【種族転生】をしてから少し時間が経ち。今、俺達は一つの会議を開いていた。

 場所はリビング。即席で誰かが作られたような『第一回 ゲーム攻略会議』と書かれた横断幕が天井からぶら下げられ、その下にはコの字型に並べられた机があった。


 『コ』の横棒の場所にはそれぞれ、ミライ、カオリ、サクラ、アンラ、ブルー、レッドが座っている。俺は縦棒の所だ。一人だ。独りだ。誰か一人くらい来てくれてもいいと思う。


 そんなことは置いておいて、今は会議に集中しよう。今この場にいる皆の顔は引き締まり、いつも笑顔を絶やさないこのギルドには不釣り合いの光景が、俺の前に広がっている。

 まずは、この会議を開いた張本人の俺から、議題を発表する。


「えー、今日この会議を開いたのは他でもない。後ろにある横断幕に書いてある通り、このゲームを攻略するために諸君らと共に考察していこうと考えたからに他ならん」

「はいはーい!」


 俺が議題を発表すると、間髪を入れずにアンラが手を挙げた。


「何だねアンラよ」

「その喋り方気持ち悪いからやめて欲しいのと、どうして会議をする必要があるの? 攻略したいなら勝手にすればいいじゃん。あ、私は抜けるけどね?」


 気持ち悪いとかお兄ちゃんちょっとショックだぞ。知ってたことだけど。

 さて、それで? 何故勝手に攻略すればいいゲームのために、こうやって会議を開いたか、だっけか? 答えてやりましょう。


「それじゃあダメなんだ。勿論、俺はこのゲームをクリアできるけど、それだとミライやアンラの主張と反することになる。それだけはイヤなんだ。だから、どうにかして解決しよう、というのがこの会議の目的だ」

「ふ~ん。よくわからない」

「なんだと!?」


 わかりやすいと思うのだが!? (読者)でもそう思うよね!?


「どうしてそこまでするの? 面倒くさくない? キラはさ、攻略するための力があるんだから私達に構わずすればいいじゃん」

「だからそれだとお前らの主張に反することになるだろって」

「それってそう言ってるだけでキラのエゴじゃないの?」

「エゴ?」


 俺、自分のエゴで動いていたのか? そんなわけはないと思うが。てかそろそろ他の人も発言していいんだよ?


「これは憶測も交えて言うんだけど。つまりキラは何か目的があって急に攻略しようなんて言い出したんじゃないの? だけど自分だけ攻略してリアルに戻ってもそれが達成できなくて、私達も含めてこのギルドだけで攻略するのが危険も少ないし、早くできるし、キラの目的も達成できるから一石三鳥っていう考え。だけどそれだと私が反発しそうだからそれっぽい理由を述べてたんでしょ?」

「……」


 間違ってはいない。俺の目的は、次の誕生日などのイベントはリアルでやることだ。それには俺だけじゃできない。だからこうやった。そこまでは合ってる。だけど、アンラやミライの意志に逆らわないような方法で攻略したいと言うのは本音だ。

 折角のゲームだっていうのに、楽しまないでどうする。楽しんで終わりたいだろ? だから俺は会議を開いた。


 俺は自分の考えを皆に伝えた。それでアンラが落ち着いた。


「そう言うこと。なら協力するよ!」

「勿論私もやります」

「私もやるわよ!」

「……やる」

「「やります!」」


 皆が協力してくれるらしい。そもそも、皆が協力しないとダメだから、これでやっとスタートラインに立てたと言う訳だ。

 ここからは、難関ばかりが俺達の前で待っている。が、その前に。ルールでも設定しようかと思う。


「今から攻略するにあたって遵守すべきルールを設定しようと思う。

まず一つ目。【誰も殺してはならない】。今現在どれほどのPKや空腹などで死んだ人がいるか知らないが、これから攻略するにあたって、一人も被害を出してはならない。

二つ目。【出しゃばってはいけない】。俺達が出しゃばると、余計な試合が起こってしまうから。試合でも武具の耐久は減るので、少しでも新品のままで保っておきたいから。

三つ目。【決して分かれてはいけない】。ブルーやレッドなどは、いくら【種族転生】しているからと言って、大人数には敵わないから。

四つ目。【どんな手を使ってでもクリアする】。それが、第一目標であり、最終目標だから。

そして最後、五つ目。【必ず、全員一緒に戻ること】。この場にいる全員が、この場にいる誰とも離れたくないから。

以上五つを守って、このゲームをクリアする。行けるか?」


「キラ馬鹿なの? こんなのルールにするまでもないよ」

「そうですね。全て当たり前の事ですから」

「当たり前のことを再確認してどうするのよ?」

「……今更」

「「当然できます!」」


 俺が言い終わると同時。アンラが先陣を切って意見を言ってきた。それに続くようにミライ、カオリ、サクラ、ブルー、レッドの順で発言する。


「ま、一応な。それじゃ早速、一つ目の難関に立ち向かってみようか」

「「「「「「……難関?」」」」」」

「そ、難関」


 このゲームをクリアするのにルールとして一番初めに言った事柄。一番初めに巨大な難関が俺達を待ち受けている。

 すなわち───


「ほぼ全てのプレイヤーを、同一ギルドに所属させること。もしくは全てのギルドの長及びプレイヤーを集め、束ね、最高司令部を造ること。つまり、全プレイヤーを一つの団体にさせること、だ」


 全ての年層、性別、レベルが違うプレイヤーをまとめ上げる組織を立ち上げること。それが差し当っての、俺達の最初の難関だ。


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