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Save95 カムイの次に面倒くさいかもしれん

 翌朝、何故か床の上で目が覚めた俺は、痛む体を気にしながら起き上がった。

 ベッドの上を見てみると、アンラが昨日の三倍ほどの面積を使っている。ミスったな。端に寝かせるべきだったかもしれん。

 幸いにも、落ちそうになってはいるがギリギリ俺以外に落ちたやつはいなかったのでよしとしよう。……アンラはこれから床で寝てもらおうかな。


「……おはよ」

「おはよう、サクラ」


 一番最初に目を覚ましたのはサクラだった。ベッドの上から俺の方を見ている。上目遣いっていいよね。

 それからすぐに全員が起きて、朝食を食べることになった。やっぱりおいしかったです。


「さて、今日もレベル上げをしに行くんだが、早速遊びに行こうと思う」

「良いですね。私も決闘(デュエル)してみたいです」

「え、もう?」


 ミライとサクラは昨日話したのでわかっているが、カオリたちはよくわかっていないようで、首を傾げている。


「本当は【種族転生】してドヤりに行きたかったんだが、暇だし今日行くことにした」

「えっと、つまり暇だからカムイを助けに行くってことでいいのよね?」

「違う。からかうために遊びに行くんだ。勘違いするな」

「キラ、男のツンデレは需要ないよ?」


 アンラの言葉が痛い。べ、別にツンデレじゃないし。勘違いしないでよねっ! ……うん。気持ち悪いな。


「とりあえずミカエルを出して探索させておくか。まだまだレベル上げに時間掛かるかもしれないし今は一体でいいだろ」


 ミカエルを呼び出し、空へ放つ。鳥みたいだな。


「よっし、じゃあ今日はどこに行こうか……」

「キラキラ!」

「俺は輝いてないぞ」

「世界神の所に行こうよ!」

「それは章的に違うからなし。行くとしたら次の章だな」

「章? 何それ」

「お前は知らなくていい」


 知らなくていいんだ。こんなことを言わせた誰か(作者)、恨むぞ。何故こんな(メタイ)ことを言わせた。


「じゃあさ、パパっとレベル上げてササっとカムイのところに向かおうよ!」

「さらっとカムイを呼び捨てにしたな。キャラネームだから別にいいんだが。ま、アンラの言う通りか。早く遊びたい」

「でも場所知っているんですか?」


 フフフッ……俺を甘く見られちゃあ困るよ。


「当然知らん!」

「威張ることではないですね」

「ぐふぅ……」

「何よそのドヤ顔は」

「ぐは……」

「……」

「むぐぅ……」

「おにぃ……」

「も、もうやめて」

「「誰にも知らないことはあります! 大丈夫です!」」

「その気遣いが逆に心を抉る……」


 それと地味にサクラのジト目を直視できません。


「はぁ、【始まりの街】かその次の街に居ると思うぞ。ギルドを創設したってことはギルドハウスもあるだろうし」

「さ、キラ。早く【転移(テレポート)】で【荒れ果て荒野】に行こう!」

「俺の話は無視かねアンラよ」

「何してんの早く!」

「もういいや……」


 俺はおとなしく【転移】を発動した。最近慣れてきた浮遊感を感じる。


「──【水爆(ウォーターボム)】!」

「……──【水素爆弾(ハイドロジェンボム)】」


 ミライとサクラから放たれた魔法が、密集した魔物の中に吸い込まれていく。そして、衝撃。

 着弾したところから魔物が吹き飛び、空に大きなキノコ雲を創造した。ミライの【水爆】はともかく、【水属性最上級魔法・水素爆弾】を使うってどうなんだよ。てか水属性なのかよ。


「サクラ……威力過剰すぎだろ」

「……ん?」

「ここはな……──【火災旋風(ファイヤートルネード)】とか──【天変(カオス・オブ)地異(・ワールド)】とかで十分なんだよ」

「……まだ、できな、い」

「そうじゃなくて! キラのも過剰威力だよ!」


 因みにミライ達が魔法を打つ前に【神護(ゴッドプロテクション)】を使っているので安心安全。簡単にレベルが20上がる。


「終わりましたよね? ではカムイ君の所に行きましょうか。キラ君、お願いします」

「ほいほい」


 また【転移】を使っての移動。【始まりの街】にやってきた。


「──【探査(サーチ)】【昇華】」


 サクッとカムイを見つけ、そこまでゆっくりと走っていく。


 そして、ギルド【ゴッドギャラクシー】のギルドハウスに到着した。

 外見は他の家と似ていて、一見NPCの家かと思うが、近づけばウィンドウに小さく表示されるので間違えることはない。


 それから、俺は無断で家に入った。ま、当然強制的に戻されたが。当たり前だよな。良かった。普通の家にもこの機能はあるんだ。俺達の家だけかと思ってたわ。アイツならやりかねんし。


 そんなことを考えていると、その家から一人のプレイヤーが出てきた。見た目からして少女。所属は、獣人族(ビースト)かな。狐耳あるし。


「誰ですか……?」


 俺達を知らないってことは、あれ以降に入ったプレイヤーかNPCにボコられたプレイヤーだな。


「カムイに会いたい」

「ダメです。神威さんは只今お忙しいので」

「『キラというプレイヤーがカムイに会いたいと言っている』と言えばいいだけだ」

「それができないと言っているんです。大体、貴方たちは誰ですか? 特にあなた」


 俺が指さされた。おい、人を指さすんじゃない。


「俺はキラだ」

「はぁ。で、なんで防具を身に着けていないんですか? 見たところそのコート、高級品ですよね? もしかして稼いだお金全部それに使ったんですか? どう見ても防御力低いでしょそれ。なんで鎧じゃないんですか」


 いや、確かに同レアリティなら鎧の方が防御力高いけど、こことか今ほとんどのプレイヤーが着ている防具よりは断然強いよ?


「俺の事は良い。早くカムイに合わせろ」

「だ、か、ら。無理ですってば。あ、もしかしてギルドに入りたい人ですか? でしたらボクが手続きするのでカムイさんに合わなくてもいいですよね?」

「ギルドに入りたいとかそういうことじゃなくてだな……」

「じゃあカムイさんへの決闘の申し込みですか? それもボクがやるので」

「ダメだこいつ」


 カムイに伝言するだけだよ? 早くしろよ。それとボクっ娘らしい。


「人に向かってダメとはどういうことですか」

「要求を素直にこなせないとこだよ」

「仕方ないですね。少し待っていてください」


 ようやくボクっ娘はカムイに取り次いでくれるらしい。長かった。本当に長かった。カムイの次に面倒くさいかもしれん。


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